森カンナ「たった一人で自分に吹く爆風を受ける」【連載 / ごきげんなさい vol.12】
俳優 森カンナさんが日々の生活のなかで見つけたこと、感じた想いを綴る連載エッセイ「ごきげんなさい」。自分を“ごきげん”にするためのヒントを探しましょう。
「show認欲求」
私が一年のなかで一番好きな季節。秋がやってくる。秋刀魚、牡蠣、梨、柿、松茸、葡萄、栗。くぅー。たまらん。四季があって旬な食べ物があるってなんて幸せなことなのだ。
あー、温泉にも行きたいなぁ。サウナにも行きたいなぁ。あっ美術館とかもゆっくり周りたいなぁ。と、あれこれやりたいことがぽんぽんと浮かんでくる。
というのも、数日前、また一つの作品を無事に撮り終わり、達成感で絶賛ホッとしてる週間だ。
しばらくはSNSを封鎖し、台詞を覚えるのに集中していた。SNS封鎖は外からの情報も入ってこないし、携帯との距離も置けるのでとてもいい。
兎にも角にもSNS時代! 私が通うご飯屋さんのお父ちゃんも、SNS反対派だったのに今や写真が映えるポイントを考えていたり、こないだはドラマの宣伝で音楽に合わせて、フリを踊ってみたりもした(照)。
とにかくSNSを有効活用しよう!の時代だ。
だが、一方でプライベートでのSNS疲れをしている人が増えてきていると思う。私の友人も忙しいときに、友達がみんなで楽しく遊んでいるインスタを見ては凹んでいた。のちに、インスタを卒業したら随分と楽になったらしい(笑)。
いやぁSNSとの距離ってとても難しい。私は最近何をあげていいのか分からなくて、絶賛迷子気味である。
そんなSNS迷子な私だけれど最近少し思うことがある。
例えば、自分は今満たされている。自分は愛されている。自分にはお金にも時間にも余裕がある。自分はこんなにも頑張っている。みたいな、こういったいわゆる分かりやすい「幸せ」とか「努力」みたいなことを他人に託してしまっている気がする。
つまり、本来「自分」がどう思うか、感じるかだけでいいのに、家族、周りの友達、フォロワーがどう思うか、彼らに認められること、が自分のすべてになっている人が多い気がする。
キラキラなSNSばかりを見ていると、見失ってしまうのも良く分かるが。
コロナ前は一人で海外旅行に行ったりしていたのだが、その旅で出会う目が飛び出るかと思うくらいの美味しい食べ物、凄い景色、美術館で鳥肌が立つような作品に出合ったときに、誰ともシェアせず、たった一人で自分に吹く爆風を受けるあの感覚は忘れない。
誰にもシェアせず、誰の目も気にせず、まずは目の前の物、人と向き合って自分がどう感じるか。まず最初にたった一人で感じる何かを大切にしていきたいと思う。
話は変われど、こちらの連載「ごきげんなさい」全12回、1年間続けてきたHummingでの連載が今回でラストになります。
そして、そして、GINGERにお引越しします!(詳細はまたお知らせします)
場所は変われど、これからもどうぞ宜しく。
それではみなさん、ごきげんなさい!
Profile
森カンナ(もりかんな)
俳優。富山県出身。映画やドラマなど数々の作品に出演。2021年には、自身初舞台となった蓬莱竜太演出『昼下がりの思春期たちは漂う狼のようだ』で、600人のなかからオーディションによって選ばれ、観客を魅了した。2022年は、フジテレビ4月期月9ドラマ『元彼の遺言状』1話・2話にゲスト出演、フジテレビ2週連続ドラマ『ブラック/クロウズ~roppongi underground~』にレギュラー出演、7月期カンテレ月10ドラマ『魔法のリノベ』の1話にゲスト出演した。
https://kannamori.com/
Instagram @kanna_mori
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