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2022.05.18 自然との遊びは想定外の連続だから楽しい【現代美術家 山本愛子の衣食住遊学】

エシカルアクションわたしの衣食住遊学山本愛子自分を知る

いつも元気で幸せそうなひとは、自分の周りに“楽しいこと”を育てる種をまいています。そんな魅力的な方にHummingなライフスタイルのトピックスを伺うシリーズ記事「わたしの衣食住遊学」。今回は主に染色技術を用いて創作活動を行う現代美術家、山本愛子さんに教えていただきました。


自然と隣り合わせの生活で、心も身体ものびやかに

『あわいのはた』-2021年​

『生々流転』-2019年

自然素材や廃材を使い、ものの持つ土着性や記憶の在り処をテーマとした作品を制作している山本さん。海、山、川、花や緑など、昔ながらの豊かな自然環境に恵まれた神奈川県横須賀市を拠点に活動し、自らが畑で育てた植物や生活圏に生息する野草から染料を生成することにも注力しています。

『BORO – Blues #2』-2019年

山本さんはインドネシアや中国など、アジア各国の地域で滞在制作を経験。各国の染色技術に触れるうちにどこでも同じように染まる化学染料よりも、その土地にしかない草木で染める文化に刺激されたうえ、自然豊かな土地に身を置いたことで草木染への興味、関心が芽生えたそう。

「衣」

草木で自分の衣服を染める

桜の枝で染めた服。

作品制作などで草木染をよく使い、余った染料で自分の服を染めて楽しんでいます。染料に使用する草木は、自分で育てたり、採取したり、あるいは剪定した枝葉を知人からいただいたりと、その土地の風景やいただいた人の顔がみえるものをよく使っています。自分の服が、そういった思い出のある草木に染まっていくのはシンプルに心地いいです。着るたびに「これは近所の方にもらった梅の枝だったな」とか「2年前に自分で育てた藍の葉だな」とかファッションと記憶が結びついてくるんです。この感覚は、染色をしている身として、貴重で独特な体験なのかもしれないなと思います。

また、草木染の服はお薬のような存在でもあります。草木には抗菌効果や保温効果など、それぞれに効能があります。古来、薬草などを体内に取り入れて身を守ることを「内服」、体にまとって身を守ることを「外服」と考えられていたそうです。草木染の衣服はまさに「外服薬」。視覚的に楽しむだけではなく、体をケアしてくれる優れものです。


「食」

私の元気のモトは自家製野菜!

コロナ禍のステイホームをきっかけに家庭菜園をはじめました。固定種を仕入れて、ナス、トマト、じゃがいも、たまねぎ、オクラ、ピーマン、かぼちゃ、大豆、ゴーヤ、大根、ねぎ、レタス・・・欲張ってたくさんチャレンジしています。といっても、ほとんど手をかけず、種をまいたら基本的には放ったらかしです。無肥料無農薬の自然栽培を行っています。自力で育った野菜たちは、大小さまざま、個性的なカタチで愛おしく、食べるといつも元気になります。朝ご飯には、庭のレタスをちぎって、オリーブと塩をふってワイルドに食しています(笑)。

調理の際に出た野菜くずはコンポスターに入れて堆肥化。自然からの生命を得た素材が持つ循環性や土着性を考える作品制作と同じように、日々の暮らしのなかでも“循環”を意識したいと思っています。


「住」

DIYで暮らしやすい空間を探求中

プランターを制作中。仲間と一緒に和気あいあいと作業しています!

パートナーと一緒にDIYをしながら、常にいじりながら暮らしやすさを模索し続けています。ゆっくりお茶ができる場所が欲しくなってウッドデッキを自作したり、作品制作に使う道具の収納に困ったらロフトを自作したり。リビングのダイニングテーブルも、「あと5cmくらい低いほうがいいね」という話になり自分たちで作ったり。

何となく合いそうなものを買い集めてきても、ちょっとだけ合わないと気になってしまうタイプなので、欲しいと思ったものをその場所に合わせて作るときちんと空間に収まるし、愛着も湧き、暮らしやすさにつながっていくような気がしています。


「遊」

“自然”との遊びはライフワークでもある

子供たちと一緒に藍染に使用する藍の葉を採取。

自宅に友達を呼んで、庭でBBQをしたりお茶をする会を月1くらいで行っています。自然の中で、ただ一緒にご飯を食べておしゃべりをして、周辺を散歩するだけという遊びの時間。庭で食事をして山を歩く、というのが好きです。食事をしていると食の話題になりますし、自然に囲まれた場所を歩いていると生き物や植物の話題になることが多く、「人間」以外の話題が自然と湧き出てくる感じが楽しいです。

人間関係の話や仕事の話が嫌いというわけではありませんが、現実社会もネットの世界も、人間中心の話題があまりにも多すぎるように感じます。だからこそ、自然が相手の遊び時間を作るのは大切だなと感じます。

藍染ワークショップの様子。自然豊かな場所で遊びながら染色を行います。

庭の目の前が小道になっているので、誰かが犬の散歩やハイキングでよく前を通ります。そういう方たちと、たわいもないおしゃべりをするときも、たいてい自然の話です。「あそこの山でふきのとうが出たから食べられるよ」とか「あっちでホタルが見えるよ」とか、「彼岸花がたくさん咲いたから見にいこうよ」とか。自然の中で生きているひとたちは遊び上手、誘い上手だなぁと思います。老若男女だれでも、ホタルが光っているのを見たいと願うはず、と思うのです。

人間にはコントロールできない“自然相手の遊び”は、みんなが楽しめる遊びが生まれ、同時に「これ以上進むと道が崩れて危険だ」「これをしたら川が汚れてホタルがいなくなっちゃうからやめようね」といった、人間が踏み込んではいけないボーダーラインも見えてきます。遊びが教えてくれることは底知れないです。


「学」

植物を研究して、私たちを取り囲む環境を意識する

藍染の研究。植物の品種や生育環境によって多様な表現を生みます。

いま、「植物にまつわる創造力」に興味があります。草木染の衣服の「外服」「内服」の話にも関わるのですが、人間が植物の効能を服用するという意味では、染色や薬学、食や農業には、多くの接点があると感じます。植物は、外敵や周囲の環境から身を守るために自ら効能を生み出しているため、植物を知ることは、その土地の風土、土着性を読み解くことにつながります。

草木染においても、この土着性は色や技法として現れます。植物をはじめとした自然の力を借りなければ成立しない草木染という行為は、自分の力が及ばないものを意識し、自分以外への創造力を働かせる行為です。この「自分以外への創造力を働かせる」というのは自然との遊びの話のように、人間中心的な現代において、とても大切な行為なのではないかと感じています。

染料として使用するヤシ科のビンロウの種子を乾燥した檳榔子(びんろうじ)は漢方の生薬に用いられています。

今年は「植物にまつわる創造力」をテーマに、北海道から奄美大島まで、染織工房、農家さん、植物博士を訪ねてリサーチの旅をしようと考えています。そして、リサーチを経て何かアウトプットできるように計画中です。それがアート作品になるのか、ワークショップになるのか、はたまた一冊の本になるのかは、まだ自分でも決めていません。リサーチをしながら、こういうカタチに残したいと思えるものを探っていこうと思っています。


目まぐるしい生活のなかでは見逃しがちな自然の美しさやかすかな変化・・・。山本さんの作品には繊細さと力強さをあわせ持つ植物、そして自然とのつながりを感じ、自分自身の生活と向き合うきっかけを得られるのではないでしょうか。

6月からは山本さんがリサーチの旅での体験を中心に、日々の発見をレポートする連載がスタート。「ここに行ってみるといいよ」などおすすめスポット情報も随時募集中だそうです。どんな出会いが待っているのか、乞うご期待!

山本愛子(やまもとあいこ)
現代美術家。1991年神奈川県生まれ。東京藝術大学大学院先端芸術表現科修了。平成30年度ポーラ美術振興財団在外研修員として中国で研修。国内外のレジデンスや展覧会に参加。自身が畑で育てた植物や、国内外から収集した植物を用いて染料をつくり、土着性や記憶の在り処を主題とした作品を制作している。主な展示に2021年「Under 35 2021」BankART KAIKO(横浜)、2019年「Pathos of Things」宝蔵巌国際芸術村(台北)、「交叉域」蘇州金鶏湖美術館(蘇州)など。
https://www.aikoyamamoto.net/
Instagram @aiko.yamamoto_


TEXT = Humming編集部

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