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人生の大半を通して、私は「健康的な関係」とは「衝突がないこと」だと思っていました。
「私たち、一度もケンカしたことないんだよね」なんて、恋人や親しい友人について語るとき、その言葉を「良い関係」の言い換えとして使っていたのです。
でも当時の私は気づいていませんでした。自分の人生に衝突が少なかったのは、偶然なんかじゃなく、私がものすごく一生懸命に、衝突を避けようと努力していたからだということに。
母は私が小さい頃から、「あなたのことは心配していない」とよく言っていました。
「あなたは、どこに植えられてもちゃんと花を咲かせるタイプだから」
私はその言葉が気に入って、それを自分の信条のように受け入れてきました。
柔軟性がある、立ち直る力がある、適応力がある——周囲の人たちは私のことをそう褒めてくれました。私は折り合いをつけられる人間だったし、協調的だったし、本当に“問題解決型”の人間だと思っていました。
でもこういう性質を自分の価値の一部と信じ込んでいたからこそ、それを維持することが実は簡単ではなかったことに気づけませんでした。そして、それには必ずしも“代償がなかった”わけではなかったのです。