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「有害物質を含む調理器具の代わり何を使ったらいい?」ドミニック・ローホーさんのアドバイスは・・・

フランス人著述家 ドミニック・ローホーさんの最新著書『少ないもので料理する シンプルな台所で、ミニマム・クッキング』が話題です。“料理する”ことを日常の習慣にするための意識改革、そしてエシカルライフに役立つヒントも満載。コンテンツのなかから、気になるトピックスをシェアします。

ドミニク・ローホー


キッチン道具を減らす、見直す

料理しやすい台所づくりのポイント、それはキッチン空間に置くものをできるだけ少なくすること。「モノが少ないとキッチン内での動作が流れるようになります」とローホーさんは説いています。モノがあふれていると、どれを使うか?と考える手間、たくさんの中から取り出す手間がかかり、そもそもモノを置くスペースも余計にとられてしまいます。

特に、かさばる調理器具は吟味して、数を絞るべき。ローホーさんいわく「小鍋一つと大きな万能鍋一つあれば大抵の料理はできる」とのこと。そして、有害物質を含む調理器具に注意するように、というアドバイスも。


調理器具に無関心でいてはだめ

口にする食材はオーガニックを選んでこだわっていても、身体に害をおよ及ぼす恐れのある調理器具を使っていては本末転倒。テフロン、アルミニウム、セラミック、琺瑯、プラスティック、シリコン・・・有害物質はいろいろな調理器具に潜んでいます。電子レンジの危険性も長年にわたり問題視されていますし、真っ白なキッチンペーパーも漂白されている可能性が高いので気をつけて。


有害物質を含む調理器具の代わり何を使ったらいい?

では、ローホーさんがおすすめする調理器具は? 本書に書かれているのはーー。


焼く、 煮るなどの調理には、ステンレス、鋳物の鍋、 耐熱ガラス

有害物質を含む調理器具の代わりに使えるものは実はあまり多くありません。ステンレス、琺瑯でコーティングされていない鋳鉄、鉄、ボロシリケイトガラス(パイレックスなどの耐熱ガラス)です。
鋳鉄製の鍋の熱伝導は素晴らしく、頑丈でもあるので母から娘へと何世代にも亘って使える鍋です。また使っているうちに油が馴染み焦げ付きにくくなります。ただこの鍋は非常に重く、錆を防ぐための手入れにも手間取ります。一方、鉄製の鍋やフライパンは軽く、使うごとに油の乗りが良くなります。ただこちらも錆び易いため、使用後は毎回よく乾かし、薄く油を塗っておく必要があります。ステンレス製の調理器具は代替品としてはもっとも優れています。とりわけ18・10のステンレスの鍋は最高です。この素材は耐久性に富み、食材本来の味もよく引き出してくれます。購入する際には必ず18・10の鍋であることを確認してください。最後にパイレックスなどの耐熱ガラス。これも重い。またパイレックスのフライパンはお世辞にも便利とは言えません。食材がすぐにこびりついてしまうからです。


食品の保存には、 再利用できるガラス瓶、 蜜蠟ラップを

ジャム等が入っていたガラス瓶は食品保存用に再利用しましょう。水はペットボトル入りのものは買わずに水道水をろ過して使いましょう。炭を入れた縦長のガラスの容器に水道水を注ぎ入れるのです。しばらく置いておくと美味しい飲み水になります。その味がお気に召さないのであれば、フィルター付きの水差しを使うのも良いでしょうし、一旦水を沸かして白湯にしておくのもお勧めです。一番手軽な方法は、レストランで利用されているやり方で、瓶に水道水を入れ一晩冷蔵庫で蓋をせずに冷やすのです。翌日にはよく冷えた無味な水になっています。
キッチンではプラスティック製の食品ラップを蜜蠟でできたものと交換しましょう。こちらは何回でも洗って再利用できます。生野菜にはクラフト紙の袋を使いましょう。火の通った食材は、蒸し器にそっくりそのまま入れられる容器に入れて保存します(そうすれば温め直す際に鍋を汚さずに済みます) 。少人数世帯の場合、食材はできる限りばら売りのものを買うようにして、まとめ買いは避けましょう(ヨーロッパでは、現在、大型スーパーで、最低限全商品の20%をばら売りにする、という法律が2030年までに施行される見通しだそうです) 。
食品ラップの利用を減らす意味で、食品を冷凍しすぎるのも避けたいところです。どのみち冷凍することで食品の味と風味はどうしても落ちてしまいます。友人のマリー・ポールいわく、私たちは「生きている」もの、すなわち「いずれ腐るもの」を食べるべきなのです。


プラスティック製の小物を減らし、その分木製、ステンレス製を増やす

プラスティック、またはシリコンでできたザル、茶濾し、ピーラー、泡立て器、ヘラの数を減らし、その分ステンレスあるいは木製のものを増やしていきましょう。そうすれば壁にそのまま吊るす、またはキッチンツールスタンドに直接立てておいても見た目が美しくなります。あなたのキッチンに「わびさび」の魅力が感じられるようになるでしょう。


調理器具を減らすだけでなく、手元に置くものは、安心・安全に使えるものをしっかりと選び抜いていく必要がありますね。
他にも役立つ情報が詰まった最新著書、ぜひ手に取ってじっくりと読み込んでみましょう。

ドミニク・ローホー

『少ないもので料理する シンプルな台所で、ミニマム・クッキング』
ドミニック・ローホー 著 原秋子 訳/幻冬舎

パンデミックの影響でおうち時間が増え、必然的に料理する機会も増えました。でも「料理は面倒」と考えている方も多くいることと思います。代表作でもあるベストセラー『シンプルに生きる』を自ら実践する著述家 ドミニク・ローホーさんの新刊は、料理に対するそんな思い込みを払拭してくれる気付きとアイデアが満載。

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Profile
ドミニック・ローホー(Dominique Loreau)
フランス生まれのフランス育ち。パリ大学、ソルボンヌにおいてアメリカ文学の修士号を取得。イギリスのソールズベリーグラマースクールにおいて1年間フランス語教師として勤務した後、アメリカのミズーリ州立大学、日本の佛教大学でも教鞭を執る。ニューヨークでは“イメージコンサルティング”法を学び、幾つものセミナーに参加しながら集中的にヨーガを習得。日本在住歴は30年以上。その間、飛騨雅子と萩原朝美に師事し、10年にわたり“墨絵”を学ぶ。さらに名古屋にある愛知尼僧堂と呼ばれる禅寺に6週間籠り、曹洞禅をも学ぶ。アメリカ合衆国、カナダ、南米、アジア(中国、台湾、香港、韓国、タイ、ベトナム・・・これは中国茶の知識を深めるため)、ヨーロッパと広く旅し、特定の宗教団体や、哲学または文化的なグループには属せずに、自分自身の内面に在る様々な観点に基づく意見を尊重し、それを受容することを信条としている。彼女がもっとも大切にしている価値観は自由、美、そして調和である。著書はフランス国内をはじめ、ヨーロッパ各国でベストセラーとなり、『シンプルに生きる』は日本でも話題となっている。他に『シンプルを極める』『部屋とこころのシンプルな掃除』や画家サンドラ・カベズエロ・ベルトッジとの共作である、イラスト版「シンプルに生きる」シリーズなどがある。


PHOTO = 植一浩
TEXT = Humming編集部

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