Humming♪

捨てられる運命が一転、おしゃれに生まれ変わったエシカルアイテム3選

「アップサイクル」という言葉をご存じですか? 使い道のなくなったモノや廃棄される素材に、デザインやアイデアでひと工夫。商品として再び命を吹き込み、元の製品よりも価値を高めるものづくりです。 一旦、「原料」に戻す必要があるリサイクルよりも、よりサステナブルな資源の有効活用方法として注目されています。この記事では、“使って心地よい“、そして“ご機嫌でいられる” をキーワードにHummingおすすめのアップサイクルなアイテムを3つご紹介します。

ひのきチップ

1. お風呂でほっと一息、エシカルなバスタイム

こちら、なんだと思いますか? 大きいティーバッグのようにも見えますが・・・実はフレーク状になったひのきが詰められた入浴剤なのです。

木工製品の製造過程で必ず出てしまう切れ端を、バスアイテムとしてアップサイクルしたもの。ひのきの端材だけでなく、ひのきの葉オイルも独自の配合でブレンドされています。ひのきの葉には、根から吸収した水やミネラルなど多くの栄養素がぎゅっと詰まっているのだとか。

使い方は簡単。湯船にこちらの入浴剤をポンと入れて浸すだけ!

ーー目を閉じれば、 ハイ、そこはもう森林の中・・・。ひのき独特の清々しい爽やかな香りでバスルーム空間が満たされていきます。おうちでひのき風呂なんて、もう最高に贅沢な気分ですよね。

ひのきチップ

バスティー¥440/土佐龍

使用されているヒノキは“四万十ひのき”といって、高知県地元の木材。この商品を手掛けている高知の木工メーカー「土佐龍」では、“すべてを活かす”というコン セプトのもと、間伐材や端材を利用した製品を作り続けてきたそう。

間伐をすると、森の木々がよく成長するようになり、河川もキレイに。森林自体のCO2吸収量を増やすことができます。そして私たちはその間伐材で作られた商品を使用することで、“カーボン・オフセット” と呼ばれるグリーン活動にも貢献できるのです。

ひのきチップ

ジャパニーズ・スパ(1袋入り)¥396/土佐龍 ひのきのドライリーフ入り。

“四万十ひのき”にこだわる理由がもう一つ。地元の木材を地元で製品化することで原料を調達する際の輸送コストをおさえ、環境負荷を減らすことも叶います。

森林サイクルへの貢献、地材地消・・・、知れば知るほど循環の仕組みにも理解が深まる入浴剤。バスタイムのお供にエシカルなチョイス。リラックス気分もサステナブルへの関心もさらに高めてくれそう。

ひのきチップ

パッケージもスタイリッシュなので、ギフトにしても喜ばれそうです。

土佐龍 
https://tosaryushop.com/


のざこ

2. 京都の印刷屋さんが作った、 星屑を集めたノート

京都・二条にある「修美社」は、“おもしろい”をテーマに印刷の枠を超えた取り組みで話題の印刷会社。会社内に「PRINTING Lab.(プリンティングラボ)」と名付けた実験室を作り、世界中の本を展示しています。オリジナルグッズの販売、製本や特色印刷の体験ワークショップイベントも企画しているので、京都を訪れた際にぜひ覗いてみたいスポット。

創業60年、印刷業を続けるなかで常に抱えていたジレンマがあったといいます。 それは、印刷の過程でどうしても出てしまう余り紙のゆくえ。

断裁して使えなくなった紙や半端な枚数の残り紙、間違えて注文した紙など、倉庫にはたくさんの行き場をなくした紙が眠っていました。そんな“紙出(しで)”と呼ばれる、余り紙や切れ端。通常、その紙出は、まとめてリサイクルに出され再生紙となり印刷工場へ戻ってきます。

――そのまま使えるものもある。品質が劣るわけでもない。なのに、使われることなくリサイクルされる・・・。コストと資源の無駄をどうにかしたい、紙のデッドストックでもある紙出を有効活用したい。そんな思いから誕生したのが「星屑ノート」です。

のざこ

行き場をなくしてさまよっている紙出を宇宙の星屑にたとえて商品化。いろんな色、厚み、材質の紙をアソートで1冊に束ねています。ノートとしてはもちろん、ペーパークラフトに使用したり、便せんにしたりと使い道も星の数ほど!

のざこ

星屑ノート(W137mm×H185mm)¥550/syubisya

のざこ

星屑ノートホワイト (W137mm×H185mm)¥550 /syubisya こちらはいろんな白い紙をアソートした白い星屑ノート。

“紙出”ゆえ、一冊一冊中身が違うところもワクワク。 自分だけの「星屑ノート」。 一期一会の出合いから、思いがけない新しいアイデアも生まれそうですね。

修美社 
https://printkyoto.official.ec/

エナッ

3. デザインのチカラでおしゃれに再生、1点モノのアクセサリー

3つめにご紹介するのは、こちらのシンプルな存在感が光るピアス。スタイリスト 二井里佳子さんがディレクターを務めるブランド「ENAK…(エナッ)」のアップサイクルなアクセサリーです。 ほどよく大ぶりで個性的なルックスにご注目を。 アンバランスなフォルムやナチュラルで独特の風合いで、“アクセサリーとジュエリーの中間”を狙ったという遊びゴコロも魅力的です。

エナッ

このピアスのメインモチーフは、廃棄されるはずだった真鍮や銀などの切れ端。あえてそのままデザインに取り入れています。デザイン模型を作った後の地金をバラして、デザインし直したりも。

エナッ

ピアス¥6800〜¥14800(¥1,500にてイヤリングへの変更可能)/ENAK…

切れ端ならではの偶然性やインスピレーションを活かしたというアート作品のようなアクセサリーは、世の中にたった一つというまさに“一点もの”。ますます愛着がわきそうです。

ヴィンテージワンピの日の耳元に、シンプル服のモードなスパイスにと、どんな着こなしにも合わせやすくて活躍してくれそう。そこはやはり、スタイリストが手掛けるブランドならでは。

ブランド名「ENAK…  」は、二井さんがインスパイアされたというバリ島で出合った言葉。“気持ちいい”や“楽しい”“美味しい”などの意味を持つのだそう。ENAK…のアクセサリー同士はもちろん、手持ちのアクセサリーとも重ね付けしやすく、身に着けるだけで気分がアガる!と、2018年のブランド誕生以来モデルやファッション業界人の間で話題になり、愛用者が増え続けています。

切れ端までも無駄にせず、余すことなくファッションとして楽しみ尽くす。まさに、真のアクセサリー好きのためのアクセサリーといえるかも。

ENAK…
https://www.enak.tokyo/


「創造的再利用」とも呼ばれるアップサイクルは、不用品を別の製品として生まれ変わらせ価値を高めるプロセス。再利用するよりも“もの”としての寿命を長くするといわれ、限りある資源を最期まで使い切るための有効な手段です。ご紹介したアイテムは、ものづくりの裏側を知ることで、そのプロセスがより商品の魅力になっているもばかり。自分の暮らしやファッションに取り入れて、その背景もぜひ一緒に楽しんで!


PHOTO = 植一浩
TEXT = 山下優子

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