ボディポジティブとはどんな意味?日本や海外に与えた影響をご紹介
男性・女性といった性差や年齢に囚われず、ありのままの自分を愛せるように変化しつつある現代。
「こうであるべき」といった理想像は次第に崩れ、誰もが自分を愛せるような世界が来ることが理想とされています。
今回はそんな世界の変化の中で、自分の体をまるごと愛するために生まれた考え「ボディポジティブ」についてご紹介します。
今ある理想像を壊し、自分の体のどこが好きなのかを考えることで、さまざまな良い影響を及ぼします。
良い点だけでなく、ネガティブな意見についてもチェックし、ボディポジティブへの理解を深めましょう。
Contents
ボディポジティブとは?
ボディポジティブとは、2010年代に世界へ広まった言葉だといわれています。
それ以前にも体の特徴を愛し、人と比較せずに自分を愛そうとする人々はたくさんいましたが、「ボディポジティブ」という言葉が人々の心を動かしたのも事実です。
ボディポジティブのきっかけは、白人至上主義であった世界に対し反論を唱えた人々が、SNS上で「#BodyPositive」をつけて抗議を行ったことが始まりです。
白い肌、堀の深い顔、スリムで高身長な体型が美しいとされてきた世界において、これらに当てはまらない場合でも自らの体を愛せるようにとの願いを込めて広まりを見せました。
当初は一般人の間で行われていた投稿が、次第に著名人の間でも広まるようになり、結果として世界中で唱えられることとなったのです。
2015年頃になると、アニメ映画の主人公をふくよかな女性に設定したり、有名ブランドがプラスサイズモデルを起用したりといった変化が見られるようになりました。
そして2020年代に入り、これまでに美しいとされてきた価値観は徐々に崩れつつあり、マジョリティ・マイノリティに関わらずありのままの自分を受け入れられる人が増えてきています。
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ボディポジティブが注目されている理由
一般人の間で声が挙げられていたボディポジティブの考え方が世界中に広まることとなったのは、著名人が注目したのが始まりといえます。
一般人であればそのつぶやきは小さなものであり、目に留まる人も少ないのが現実です。
しかし著名人となれば話は別であり、称賛する声もあれば、同時に批判の声も多数集まることでしょう。
これまでにボディポジティブの考えを支持すると公表した著名人の多くは、「太っている」「美しくない」「見たくない」といった批判をはねのけ、堂々と自分を愛している人ばかりです。
そんな凛とした姿に心を打たれ、これまで自分に自信を持てずにいた人が心動かされることもあるでしょう。
ボディポジティブの広まりには、勇気をもって声を挙げた人々だけでなく、著名人の覚悟も欠かせないものであったといえます。
そんなボディポジティブの考え方は、これまで統一された容姿を目標としていたファッション・メイク・ヘアスタイル業界に大きな影響を及ぼしました。
さらには性差や年齢の壁とともに、今後の世界を変える大きな転換点として考えられるようになったのです。
女性が抱える身体のコンプレックス
ボディポジティブでは太っているか痩せているかといった単純な問題だけでなく、多くの人がコンプレックスとして捉えているさまざまな問題から解放され、ありのままの自分を受け入れることを目標としています。
例えば体重が急激に増えた場合などに見られる「ストレッチマーク」や、脂肪とは異なり凸凹とした見た目を気にする人が多い「セルライト」なども多くの女性が悩むポイントです。
ダイエットをして体重が減ってもこれらの症状が消えなければ、結果として自分の体に自信を持てないままになってしまうこともあるでしょう。
また、生まれたときから体にあるシミやあざのことを「バースマーク」と呼びます。特に顔などの目立つ部分にあるものは、取り去りたいと思う女性も多いはず。
中には美容外科や美容皮膚科・形成外科などに通い、治療を受けている方も多いのではないでしょうか。
誕生に絡めていえば、体内の赤ちゃんが成長するにつれ皮膚が引っ張られて起こる「妊娠線」もコンプレックスになりやすいポイントです。
本来赤ちゃんを守り育ててきた証となる妊娠線は決して恥ずかしいものではありませんが、線のない肌に比べて醜く感じてしまい、露出を極端におさえようとする方も少なくありません。
また、性別に関係なく起こりやすい「シミ」も、セルフケアではなかなか消えずコンプレックスとなりやすいものです。
これらのコンプレックスは他人に悪影響を及ぼすものでも、ただちに健康に害があるものでもありません。
これらの症状がある状態を「健康に生きた証」として捉えて受け入れることこそ、ボディポジティブの始まりといえるでしょう。
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ボディポジティブが与えた影響
ボディポジティブの考え方は世界各国に広まり、各地に大きな影響を及ぼしました。日本でもボディポジティブの影響は大きく、私たちの生活は徐々に変わりつつあります。
今後の変化を受け入れるためにも、ボディポジティブが各国に与えた影響を見てみましょう。
海外
流行の最先端をゆく名立たるブランドたちは、ボディポジティブの考え方を受けて次々にプラスサイズのアイテムを取り入れるようになりました。
これまでサイズの大きな女性は専用のブランド内でしかファッションを楽しめず、自然とコーディネートの幅は狭まり、窮屈な思いをしていた人も多かったはずです。
有名ブランドが次々に行動を起こしたことで、今では数多くのブランドが豊富なサイズ展開のアイテムを販売しています。
これに伴い注目されるようになったのは、これまで厳しい基準を設けられていたファッションモデルたちです。
彼女たちはいわば「痩せすぎ」といわれるような条件を課せられており、中には栄養不足による死亡例があるなど状況は極めて悪いものでした。
ボディポジティブの考えが広まった後は、各国でモデルに対する厳しい体重制限を緩和し、モデルの低体重化に歯止めがかかったり、プラスサイズモデルが登場したりといった変化が訪れました。
さらにはディズニー映画をはじめ、「主人公は白人である」というイメージを払拭した作品が多く登場しました。
2023年に公開された「実写版 リトル・マーメイド」では主人公アリエル役にアフリカ系アメリカ人のハリー・ベイリー氏が起用されて話題を呼んでいます。
日本
世界に少し遅れ、日本でもボディポジティブに関するさまざまな意見が飛び交いました。
女優・タレントとして活躍する渡辺直美さんが「PUNYUS」を立ち上げたことも大きな変化の一つで、痩せている女性・太っている女性のいずれも同じファッションを楽しめるのが魅力です。
また、ボディポジティブに当てはまるのは体型の差だけではありません。
コスメブランド・資生堂では、病気で両足を切断した経験を持つローレン・ワッサー氏をモデルに起用。
障害の有無にかかわらず誰もが同じようにファッションやコスメを楽しみ、好きな人生を歩むための大きな一歩となりました。
ボディポジティブにネガティブな意見がある理由
ボディポジティブを素敵な考えだとする一方、受け入れられないなどのネガティブな意見も多いのが現状です。
やはり「美しさとは〇〇である」といった固定観念が人々の中から抜けておらず、自分の求めるものと差があるのが理由といえるでしょう。
肌の色が白く痩せていて、歯並びが綺麗で顔立ちが整った女性を多くの人が目指すあまり、理想像とかけ離れた存在を無意識で避けてしまうのです。
また、「ボディポジティブを理由に自分を磨くのを諦めているように思える」といった意見も多く見られます。
多くの女性が少しでも美しくなりたいとダイエットを頑張ったり、日々のスキンケアを欠かさずに行ったりしていますが、それを行わずに「この状態が美しい」という女性を受け入れられない方も多いのではないでしょうか。
さらに、プラスサイズボディの女性に対し、「美しさは関係なく、そもそも不健康である」といった声もあります。
肥満は現代人にとって生活習慣病の大きな原因となるため、標準体重をキープするべきだと考える方も多いでしょう。
ありのままの自分を受け入れた結果、病気になってしまっては元も子もないため、健康に影響を及ぼす場合は医師と相談の上生活を見直すことも必要だといえるでしょう。
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ボディポジティブ以外にありのままの自分を受け入れる方法
ボディポジティブに限らず、ありのままの自分を受け入れる方法はたくさんあります。
「セルフ・コンパッション」は、自分を労るといった意味の言葉です。
周りの人に優しくできる人は多くいますが、自分自身を心から労れる人は少ないでしょう。
気持ちを紙に書き出して整理したり、目を閉じて自分自身を見つめるための瞑想を行ったりしながら、周りの人と同じように自分を気遣い、褒め、認めることが大切です。
同じような意味の言葉として、自分を愛する「セルフラブ」があります。
自分と深く向き合い良いところを探すために、常に視野を内側に向け、自分中心に考えてみると良いでしょう。
良いことがあったときは素直に自分を褒め、ミスをしたときは次へつなげるために自分を励まします。何も成果を得られなくても、1日を頑張って生き抜いた自分を認めてあげましょう。
「アファメーション」は自己暗示の一種であり、理想を既に達成していると思い込むことでポジティブな気持ちになれる方法です。
「私は成功している」「周りに好かれている」と既に理想が叶ったような文章を作り、自分に向かって宣言することで、心に深く刻み込むことができるのです。
具体的な自分の成功がイメージできるようになり、前向きな毎日を送れるようになるでしょう。
まとめ
ボディポジティブの考え方は、決して世界中の全員に広まったわけではありません。
しかし「自分はダメだ」と思い込むよりも、「そんな自分も好き」と思えた方が、明るく素敵な明日を過ごせるのではないでしょうか。
多くの女性が既にボディポジティブの考えを受け入れ、コンプレックスを自身へと変え、新たな明日へ踏み出しています。
今気になるコンプレックスが理由で前を向けなくても問題ありません。さまざまな世界で活躍する女性たちが、あなたへ勇気と自信をもたらしてくれるでしょう。