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ボディポジティブ:体重計も投げ出して、ありのままを受け入れる 

 

あなたは「ボディポジティブ」という言葉を聞いたことがありますか。

 

英語を直訳すると「体を前向きに」つまり、あなたのありのままの体型を受け入れてあげようというメッセージで、欧米を中心に広まった考え方です。

 

 あなたは、今まで自分の体型とどう向き合ってきましたか?

 

自分の体をありのままに受け入れることができていますか?それとも、もっと変わりたいと思っていますか?

 

なぜボディポジティブが大切なのか、どうやったら私たちがありのままを受け入れることができるのか

 

「ボディ・ポジティブ (Body Positive: A Guide to Loving Your Body)」の著者、女性のエンパワーメントを目指したマインドセット・コーチでもあるエミリー・ローレンさんに、ハミングの條川純が聞きました。

 

どうして世の女性たちは「やせること」を追求するようになったのか、体型の悩みをどう解消できるのか、子どもにボディポジティブの考えを伝える方法について。

 

新しい視点で考えるきっかけとして、エミリーさんとの対談をぜひお楽しみください。

 

「やせているほうが良い」は本当?

 

−−日本では、『女性はやせているべき』という社会的プレッシャーがあります。私たちはこういうプレッシャーにどう接していけばいいのでしょう。

 

日本に限らず、やせなきゃ、というプレッシャーはどの国にもありますよね。

 

まず、なぜ世間には「やせていることが良い」という基準があるのでしょう。

 

歴史をさかのぼってみると、「細い体」は世界の植民地化の歴史や欧米へのあこがれからスタートし、これが商業化へとつながっていることがわかります。

 

つまり、体型への不安な気持ちを利用することがお金もうけになると知った企業が、メディアを利用して女性の不安をあおるようになった、こういう歴史があるのです。

 

こうして作られたのが「やせていることが良い」という考えです。

 

お金もうけのために私たちの体型が利用されているのだと知ることは「やせる」ことにこだわらない強さを持つための最初の一歩になるでしょう

 

−−残念なことに、日本では夫が妻の体型を批判することは普通です。どうすれば、夫婦がケンカをすることなく、この問題に一緒に取り組めると思いますか?

 

体型に関する会話は、お互いを尊重するためにするべきものですよね。

 

だから体型を批判されたのであれば、まずしっかりと「あなたの発言に私はとても傷つく」と率直に伝えましょう。

 

こういうパートナーの悩みを抱えるあなたにまず伝えたいことがあります。

 

それは、見た目の美しさだけを見ている人と一生を過ごしたいですか?ということです。

 

私たちはみんな年をとって見た目は変化していくんですよ。一緒に幸せに年をとっていけるような、そんな人と一緒にいたいと思いませんか。

 

ただ、相手が単にあなたの健康を心配して言っているというケースもあるでしょう。太っていることが健康的ではないと、多くの人が思っているからです。

 

でも、太っている人がみんな不健康だということではありません。だから、太ることへの恐怖や差別について学ぶことはとても重要なのです。

 

体重計を捨てたから見える世界

 

−−体型の悩みがある人は、どういったことを日々の生活に取り入れたらよいでしょうか?

 

まずは鏡にうつるあなたを見つめることから始めましょう

 

あなたの体に自信が持てないなら、あなた自身をほめる言葉を小さな紙に書いて鏡に貼っておくといいですよ。

 

写真にうつる自分の見た目が好きじゃないわ、と思ったときにも、これをやってみてください。

 

写真にうつるあなたをそのまま受け入れて、これが私なんだ、と思ってほしいんです。こうすればするほど、あなたは見た目に自信をもてるようになります。

 

もちろん、こんな風にあなたを受け入れられるようになるまでには時間がかかりますが、焦らずに続けてみてほしいんです。

 

自分を肯定して受け入れていくことで、自信がついていくでしょう。あなたの中に現われるどんな小さな心の変化も大事にして、あなたのがんばりをほめてあげてください

 

さらにSNSをうまく活用する方法もあります。SNSはやせたい気持ちを助長する悪影響がある一方で、自分の体を大切にするためのツールとして使えます。

 

普段から、あなたが心地よくなれるようなメディアを見るように意識してみてください。

 

ボディポジティブに関する本、ボディポジティブのメッセージを発している人のインスタグラムをフォローする、などです。

 

日々どういったメディアに触れているかは、あなたが自分の体についてどう感じるかに大きな影響を及ぼすからです。

 

さらにみなさんに伝えたいことは、体型の悩みは浮き沈みが激しいということです。特に女性はホルモンの影響もあるため身体はいつも変化しています。

 

だから、自分が感じることをそのまま受け入れてあげて、例え自信が持てない時でも、それが自分の価値だとは考えないようにすることがとても大切なのです。

 

−−あなたは、時には自分を前面に出したり、キャラクターを作り上げたりと自分の『分身』をつくることで、体型の問題に前向きに取り組めると提言していますね。

 

具体的には、どんな風に自分の分身と向き合っているんですか?

 

まず、あなたがどんな人になりたいかを決めるんです。そして「本当にその人になったかのようにふるまう」それだけです。

 

私がボディポジティブの問題で声を上げているからといって、私が体型の悩みを全て解決したというわけではありません。

 

でも自分の体型が自分の価値を決めないことを知っている人物としての役を演じていこうと決めたのです。

 

だから、この役を演じるほど信念もさらに強くなり、社会が持つ偏った美の基準にも力強く接することができるんです。

 

 

−−健康のためにはやせていたほうが良いという考えもあります。

 

ボディポジティブが主張する自由な体型で良いのだという意見も大切だし、このあたりの矛盾はどう考えますか?

 

この矛盾について考える時に一番大切なことは、あなたの「体重」の数値が、必ずしも「健康」を示すものではないということです。

 

例えば、運動をすると筋肉がつき体重が増えますが、これは不健康になったというわけではありませんよね。

 

だから、ボディポジティブとはあなたが心地よく感じられているのかをどうかを考えるものなのです。

 

「やせたい」と感じること自体を恥ずかしく思う必要もありません。

 

なぜなら、私たちは、やせることがあたりまえだというメッセージを送り続ける社会に生きているからです。

 

こういった社会からのメッセージと戦うのは簡単ではありません。

 

あなたの体型に関してプレッシャーを感じるのは普通のことですが、恥ずかしく感じる必要はないのです

 

ですから「あなたが心地よくなるため」というゴールを明確にして、「体重」と「健康」の2つを分けて考えてみてください。

 

こうやって区別することで、健康的で心地よくいることが、どれだけ精神面に良い影響を与えているか、長い目で見ると実感できるでしょう。

 

私はダイエットする人が苦手なのではなく、ダイエット文化が嫌いなんです。

 

「体重」と「健康」が密接にリンクしていることが問題なのです。

 

例えば運動や、健康的な食事など、自分が気分が良くなることを継続した結果、体重が減るということもあります。でも体重が減らなくても良いんです。

 

一番大切なことは精神的・肉体的に健康であることで、見た目ではないのです

 

私がお勧めするのは、「やせなさい」と脅迫してくる道具、つまり体重計を捨てることです。

 

体重の数値に苦しむ代わりに、食べたものが自分の体に浸透していくのが心地よいかどうか、そういう違った視点から体と付き合ってみましょう。

 

子どもにボディポジティブをどう教えるか

 

−−子どもが自分の体型についても自己肯定感を高められるようにするために、親はどんなことができますか?

 

自身が体型で苦しんできた大人は、子どもたちにもボディポジティブを教えるのが難しいでしょう。

 

無意識にその苦しみを子どもにも受け継いでしまうからです。でも、対処のしかたはたくさんありますよ。

 

ひとつは、親である自分の体についても否定的な言葉を使わないということです。

 

特に幼い子どもたちはなんでも聞いています。だから大人は、自分の体型に悩んでいても、子供の前では言わずに心の中にしまっておきましょう。

 

他人の体型も一緒です。ほめ言葉であっても「あなた最近やせた?」とは言わないようにしましょう。

 

これは「やせていることに価値がある」と子どもに伝えているようなものです。

 

さらに、大人の私たちが、子どもたちの外見以外のことにもっと目を向けてあげましょう。

 

「子供が得意なこと」例えば、思いやりがあるとか、気が利くとか、そういうことの方がもっと重要であることを子供たちに知ってもらうのです

 

最後に最も大切なこと、それは子どもが小さい時から、メディアで見るステレオタイプについてしっかりと話しをすることです。

 

太ることへの恐怖やダイエット信仰は、私たちの文化にしみ込んでいます。だからこそ、この課題について子どもと一緒に考えることが大切です。

 

こうすることで、子どもが自信を持ち、体型に関する試練に直面したときに力強く対応できるようになります。

 

ですから、SNSで見る内容は事実ばかりではないと教えることが重要です。現代は画像がとても簡単に加工できる時代です。

 

他人に受け入れられるために自分を変える必要はない、ということを子供に強く伝えましょう。

 

「やせなきゃ」が心に与える影響

 

−−体型の悩みからくるメンタルヘルスの初期症状にはどんなものがありますか?

 

自分を批判しすぎたり、自分に否定的な言葉ばかりかけたり、孤独を感じたり、引きこもりになるこういった行動がないか注意してみましょう。

 

特に気がつきやすいのは、食生活が突然に変わる場合です。

 

また、以前は楽しんでいたことに興味がなくなったり、常に心配になったり、突然悲しくなるなどの変化に気づくことがあります。

 

そんなときは自分の中で留めずに、客観的に見ることのできる周りの誰か話しやすい人、できればメンタルヘルスのプロフェッショナルに話してみることをお勧めします

 

私自身、食生活が乱れ、ネガティブな考えにとらわれていた時期がありました。でも、ボディポジティブの考え方を知り人生が変わりました。

 

だから、このことをもっと多くの人にも伝えたいんです。だってこの考え方を知るだけで、大きな力をもらえるのですから。

 

−−今も体型に悩む世界中の女性へのメッセージは?

 

最も大切なことは、あなたはひとりぼっちではないということです。

 

あなたと同じつらい体験をした人がこの地球上には必ずいるんです。だから、そういうコミュニティや、あなたをサポートしてくれる人たちを見つけましょう

 

そして、自分が欲しいものを求めるためにまずは最初の一歩を踏み出しましょう。

 

あなたの体をそのまま受け入れ、自分に正直になりましょう。あなたならできます。あなたはひとりぼっちじゃないんです。

 

 

エミリー・ローレン・ディックは、女性のエンパワーメントを目標としたクリエイティブ・マーケター、作家、活動家そしてマインドセット・コーチでもある。

http://www.instagram.com/realhappydaughter

http://www.happydaughter.com

彼女の著書は、アマゾンを含む多くの場所で入手できます。出版社のHPリンクはこちら:

 https://www.familius.com/book/body-positive/

 

インタビュアー・執筆者紹介

インタビュー:條川純 (じょうかわじゅん)

日米両国で育った條川純は、インタビューでも独特の視点を披露する。彼女のモットーは、ハミングを通して、自分自身と他者への優しさと共感を広めること。

ライター:プロフィール

著者:堀江知子(ほりえともこ)|タンザニア在住ライター

民放キー局にて、15年以上にわたりアメリカ文化や社会問題についての取材を行ってきた。

2022年からはタンザニアに移住しフリーランスとして活動している。

noteやTwitterのSNSや日本メディアを通じて、アフリカの情報や見解を独自の視点から発信中。

出版書籍:『40代からの人生が楽しくなる タンザニアのすごい思考法 Kindle版』

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