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20年間の「やせなきゃ」から解放された私が考える『ボディポジティブ』

 

『ボディポジティブ』という言葉を聞いたことはありますか?

 

「自分の体をありのままに受け入れよう」というアメリカなどを中心に始まったムーブメントです。

 

この言葉を聞いた時に、私自身がずっと抱えていた「やせなきゃ」という悩みとの長い歴史を思い出しました。

 

あの頃に比べると、40代になった今の私は、自分の体をありのままに受け入れることができるようになったと感じます。

 

私が主に海外での生活で経験した自分の体型を受け入れるという学びが、日本にいるあなたにも何かのきづきになるかもしれません。

 

そう思って、今回は、私がどうやって長い道のりをへて「ボディポジティブ」にたどり着いたのか、率直に振り返ってみます。

 

この記事を読むことで、「ボディポジティブ」というメッセージがなんだかしっくりこないあなたにも、自分をありのままに入れるということがどういうことか、そして、どうしたらそこに近づけるかのヒントが見つかれば嬉しいです。

 

アメリカでの衝撃的な体験

今考えれば、あれはまさに私と『ボディポジティブ』との初めての出会いだったなと思う体験があります。

 

私が20代後半にアメリカの大学院に留学していた時のこと。

 

ある日友達のキャシーの家に遊びに行きました。彼女も20代後半だった彼女はすでに結婚していて、だんなさんがいました。キャシーは日本人の私から見ると、ぽっちゃり体型の女性。

 

「はじめまして」と笑顔で現われただんなさんと3人で世間話をしていたところ、だんなさんが、キャシーのおなかの肉をプニプニとつかみながら、ちゃめっ気たっぷりにこう言い放ったのです。

 

「妻のキャシーが大好き。このやわらかいおなかも愛おしいんだ。」

 

隣でキャシーが恥ずかしそうに、でも嬉しそうにだんなさんを見つめていました。

 

当時の私にとって、ぽったりしたおなかを彼氏や夫が批判しないなんて「アメリカってすごい…」と度肝をぬかれました。

でも、だんなさんのこの言葉を聞いて、びっくりするのは私だけではないはずです。日本では、なかなか、こんな発言は聞くことはありません。

 

 

自分の体重との向き合い

今では、体重や体型よりも「健康的に」を重視するようになった私ですが、30代前半くらいまでは、「やせたい」願望を常に持っていました。

 

大学生時代の写真を今みかえすと、普通の体型に思いますが、当時は自分が太っていると感じていました。当時の彼氏にも「おまえ、もっとやせろよ~」とよく言われていました。

 

私と体重とのつきあいには、長い歴史があります。

 

小学校の時はぽっちゃり体型で、マラソン大会ではビリから数えたほうが早い、そんな小学生。自分がぽっちゃりしていることにすでに劣等感を感じていました。中学でバスケット部に入り、とたんに体重が落ち、そこで少しの自信がつきました。その後、高校、大学でも、再び「やせたい」願望に火がつき、どうやったらやせるのかいつも考えている女子学生でした。

 

そんな「やせたい」「やせなきゃ」と20年も感じてきた私が、アメリカで聞いた冒頭の発言。私の今までの価値観やすがってきた想いをひっくりかえすくらいの強烈なインパクトがあったのです。そして、なんだかすがすがしい気持ちにもなりました。「そうか、それでもいいんだ。」と。

 

人生最悪の20㌔増量

アメリカで「ボディポジティブ」に出会った私ですが、同じアメリカで、「やせなきゃ」の呪縛にも苦しめられました。

 

20歳の1年間、アメリカの大学に留学をした私は、みごとに体重が20㌔増えていました。周りにいる大きなアメリカ人の学生たちに囲まれ気がゆるみ、またカロリーの高いアメリカの食事を食べ続けていたからでしょうか。

 

この1年間は、「体重」という観点で、人生の中でワースト3に入るくらいひどい1年でしたが、「人生の経験」という観点では、トップ3に入るくらい充実した1年でもありました。ここでの1年は、その後のキャリアや生き方に大きく影響を与えたからです。

 

今でも覚えています。1年間の留学を終えて、日本に帰国した時の同級生の顔。1年ぶりに会った彼女たちの、かなりデブった私を見て少し嬉しそうな顔でかけた一言。「あら、なんだかちょっと太ったぁ?」やばい、また振り出しじゃないか!とあせりました。

 

ただ、幸いなことに、この20㌔の体重は、日本の和食を食べるだけで、自然と落ちていきました。が、この20㌔の体重増加事件は、さらに私に「太っちゃいけない」という強迫観念を植え付けました。

 

呪縛から解き放たれた理由

振り返ると40年の人生のうち半分以上は、「やせなきゃ」と自分に言い続けてきた私ですが、ある時、この呪文をとなえていない自分にきづいたのです。

 

私にとってのきっかけは「ランニング」でした。

 

30代前半にふとしたきっかけで、ランニングのグループに参加することになりました。

 

小学校の時のマラソンビリの悪夢がよぎりましたが、当時住んでいたアメリカ・ワシントンDCの川沿いの桜並木がとてもきれいで、こんなところを楽しい気分で走れるようになりたいなと、そんな妄想をして走ることをスタートしたのです。

 

そして、ランニング仲間たちと一緒にハーフマラソン、フルマラソンを走るようになり、「走ること」が私にとって、自分と対話する自分に向き合える特別な時間になりました。

 

さらにランニングをすることで、自分の体と一緒に何かをしている、そしてレースを完走した時には、自分の体を誇りに思い、いたわり、よくがんばったね、私!と自分の体に自然と優しい言葉をかけてあげられるようになりました。

 

「やせなきゃだめ」と一方的に私が自分の体をしかりつけている、そういう関係は解消されていました。

 

40代になって考えるボディポジティブ

私の場合は、意識して取り組んだことで、ボディポジティブになったというよりは、いつの間にか「やせなきゃ」の呪縛から解き放たれていた、というほうが正確かもしれません。

 

そして自由になれたきっかけは、間違いなく、キャシーのだんなさんの、奥さんをありのままに受け入れているあの一言とランニングです。

 

ボディポジティブの精神を大切にしなくちゃ!といきごむと、本当に「ありのままの自分を愛する」ことはなかなか難しいのかなとも正直思います。

 

40代になった私は、20代の頃のように「やせたい」「あのモデルさんのようになりたい」と思うことはもうありません。40年も健康でありつづけてくれた自分の体、一緒に走り続けてきてくれた自分の体への感謝、そしてこれからも一緒に元気に生きていこうね、そんな想いでいっぱいです。

 

ボディポジティブという考え方が広まり、最近は、有名なファッションブランドがふくよかな体型のモデルさんを起用したり、「美しい」の基準がもっと多様化しており、とても良い方向に進んでいると感じます。

 

今のあなたは、自分の体とどう向きあっていますか? これまでの人生であなたは体にどう向き合ってきましたか?こういったことを振り返ることで、自己理解を深め、普段は当たり前と思っている体への感謝の気持ちを再確認することができるかもしれません。

 

ライター:プロフィール

 

著者:堀江知子(ほりえともこ)|タンザニア在住ライター

民放キー局にて、15年以上にわたりアメリカ文化や社会問題についての取材を行ってきた。

2022年からはタンザニアに移住しフリーランスとして活動している。

noteやTwitterのSNSや日本メディアを通じて、アフリカの情報や見解を独自の視点から発信中。

出版書籍『40代からの人生が楽しくなる タンザニアのすごい思考法 Kindle版』

 


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