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長~いお付き合いに!新コンセプトの自転車屋さんが目指す未来

自転車通学や通勤、シェアサイクルなどコロナ禍の影響もあり自転車ユーザーはますます増加傾向にあります。街中でもよくサイクルショップを目にするようになりました。今回ご紹介するのは、自転車販売だけでなく、リサイクルも、さらに洗車サービスまで行う新しいコンセ プトショップ。身近な自転車をツールに、廃棄物の削減や資源の循環に取り組んでいる企業です。


自転車ってどんな存在・・・?

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あなたは普段、どんな自転車に乗っていますか? マウンテンバイク、シティサイクル、それとも電動自転車でしょうか? 自転車は私たちの生活必需品となっている、いわば相棒のような存在。移動手段としてとりあえず役立てばいいという考えだったり、見た目がおしゃれなものについ目がいきがちだったりもしますが、もっと乗り心地が良く、メンテナン スで長く愛用でき、自転車を手放すときにもその先の未来が待っている自転車だったら・・・きっとペダルをこぐたびに愛着も深まって、ハッピーな気持ちになれそうですよね。


海外でも展開。 乗り心地にこだわった東京発のオリジナル自転車

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信号や坂道の多い東京を気持ちよく走るためにーースピードを出すことよりも、踏み込んだ瞬間のペダルの軽さや、上り坂をすいすいと上れる気持ちよさを追求した自転車、その名も「トーキョーバイク」をご存じでしょうか? 今年、創業20周年を迎える自転車の製造販売店です。フレームのデザインから使用するパーツの一つひとつにいたるまで、こだわり抜いたオリジナル自転車を届けています。

プロフェッショナルなサポートにも定評があり、1台の自転車を通して「街をめぐる楽しさ」「風や季節を感じる心地よさ」「お気に入りの道具を使う暮らしのなかのちょっとしたうれしさ」を体感することができるのだとか。

2017年からは本格的にレンタサイクル事業をスタート。直営店舗はもちろんのこと、マンダリンオリエンタル東京やエースホテル京都などの有名ホテルでもトーキョーバイクのレンタサイクルサービスを活用することができます。サービスはロンドン、LA、ベルリン、ミラノなど海外の主要都市でも展開中。本社オフィスがあった東京谷中ののんびりとした雰囲気をそのまま” TOKYO SLOW”というコンセプトに込めて、自転車に乗る日常の楽しさを世界中に発信しているのです。


東京谷中にリニューアルオープンした新感覚のコンセプトショップ

下町情緒が色濃く残る東京の谷中・根津・千駄木エリアは「谷根千(やねせん)」と呼ばれて親しまれています。長い間、谷中にてトーキョーバイクの本社として使用していたオフィスをこの3月にリニューアル。「tokyobike 谷中 Soil」として、コンセプトも新たに生まれ変わりました。

“長く使うを大切にする”をテーマに、廃棄物の削減や資源の循環に取り組んでいくそう。そしてここを拠点に、自転車を中心に“モノを長く楽しく使うためにできること”をみんなで一緒に考えていくことも目的にしているそう。

自転車を主軸とした新たなサステナブルな試みが話題になっているこちらのショップ。さっそく、覗いてみましょう!


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こちらが「tokyobike 谷中 Soil」。おしゃれなカフェのような外観から、ワクワク期待値が高まります。ショップ前にはオリジナルの自転車がずらり。ここでは、直営店で提供している新車販売や修理メンテナンスだけでなく、ユーザーから引き取った自転車を整備して販売することもスタート。


不要になった自転車に新しい命を

乗れなくなってしまった自転車を手放すとき、皆さんはどうしていますか?
ライフステージやスタイルの変化、車体の老朽化などを理由に回収された自転車は、これまでゴミとして処理されてしまうことがほとんどでした。

「tokyobike 谷中 Soil」では、トーキョーバイクの全直営店から回収した自転車を再整備・再塗装する取り組みも行っています。あなたの愛用していた思い入れのある自転車がプロの手によってメンテナンスされ、再び必要とされる誰かの自転車になる・・・。ゴミを増やさず、みんなが幸せになれるサーキュレーションです。

ーーそれでは、いよいよ店内に足を踏み入れてみましょう!


気になる店内は、ほっこりする癒しの空間!

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これまでの自転車屋さんのイメージが一新! 木のぬくもりが感じられてホッと落ち着く空間です。どこか懐かしさを覚えるノスタルジックな雰囲気も漂っています。それもそのはず、「tokyobike 谷 中 Soil」の天井や床、壁には、空き家や解体された家から引き取られた古材が使用されているのだそう。


サステナブルなこだわりがつまった内装

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古材を使用した床にご注目ください。設計は長野県諏訪市に拠点を置く「ReBuilding Center JAPAN」によるもの。解体する建物から使える古材や古道具などを引き取り、建築建材として再び命を吹き込んでいるリサイクルショップです。ゴミになってしまうものに再び価値を見出し、必要とする誰かの生活にバトンをつないで環境負荷を減らす仕組み作り。それはまさに「tokyobike 谷中 Soil」のコンセプトと一致していますよね! 同じ目的を目指す仲間として、今回の頼もしいタッグが生まれたのです。

よく見ると、ストレージの扉に使われているのは・・・

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自転車を保管するストレージの扉。よくよく見てみると、何やら麻布に英字のプリントが・・・! これ、実はコーヒー豆の麻袋なのです。

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裏側から見てみると、こんなかんじ。こちらは、トーキョーバイクのフラッグシップショップでコーヒースタンドを構えるなど、以前から縁のあるコーヒーショップ「ARISE COFFEE ROASTERS」や「ONIBUS COFFEE」で使われていたものを再利用。一度は役割を終えたものが、新しい役割をもって再び役立つ存在になるーー 店舗づくりの段階から、そんな想いが込められているんですね。これはもう、自転車だけでなく店のすみずみまで探訪したくなってしまいます!


すべては自転車を長く使い続けるために・・・

新車販売、修理メンテナンス、そしてユーザー から引き取った自転車を整備して販売、さらに購入した自転車を少しでも長く愛用してほしいという思いからこんな新たな取り組みも・・・!

注目の取り組み1:洗車サービス「バイク銭湯」

ネーミングからしてユニーク! 愛車が銭湯にちゃぷんと浸かっている絵を思い浮かべてしまいした? 残念ながら、湯船に浸かることはありませんが、ひとっ風呂浴びたようにキレイサッパリ愛車を洗車してくれます。

そもそも、自転車を長く乗り続けるために、車体をキレイな状態にしておくのは必要なメンテナンス。定期的に洗車をすると、見た目をキレイにキープできるだけでなく、パーツやフレーム、その他のトラブルの発見につながり、結果として自転車の寿命を伸ばすことにもつながるのです。
ですが、都市部での住宅事情もあり、自宅で自転車の洗車ができる人は限られているのが現状。そこで、家では洗車ができなかったり、洗車の時間がとれない人向けに、洗車サービスを始めたのだそう。店舗にトーキョーバイクを持ち込むと、キレイにして返してくれる「バイク銭湯」。こちらは、4月29日(金)からサービス開始予定です。


注目の取り組み2:アップサイクルマーケットを定期開催

製造や運搬の過程で傷ついたり汚れてしまった自転車パーツやアクセサリー、雑貨を集めて販売するマーケット「SoilのYard Sale」を季節ごとに開催。どのアイテムも、通常の販売には向かないものの、使用には問題のないものばかり。コンセプトに共感した他ブランドとコ ラボした、再加工アイテムもラインナップに加わる予定です。

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次回2022年4月8日 (金)~10 (日)に開催される「Soil のYard Sale」では、チョコレートの製造過程で出るハスク(カカオ豆の外皮) を使用して染め直したオリジナルサコッシュを数量限定販売。染料となるハスクは、サンフランシスコ発祥のBean to Bar チョコレート専門店 「ダンデライオン・チョコレート」のもの。私だけの掘り出しモノが見つかるかもしれません!


注目の取り組み3:トーキョーバイクの自転車を無料で引き取ってくれる

2021 年からトーキョーバイクは直営店全店舗で、トーキョーバイクの全モデルを対象にした無料引き取りサービスを開始しています。回収された自転車は「tokyobike 谷中 Soil」で再整備や再塗装してから、再販売。自転車本体の消耗が著しく、整備などで対応できない場合でも、解体して使えるパーツだけでも再利用します。クリーニングをして、他の自転車の修理パーツとして利用したり、中古パーツとして再販売もしています。

また、フレーム部分の傷や、塗装の剥がれが目立つ自転車には、さらなる塗装のプロッフェッショナルメーカーに再加工を依頼したりも。

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埼玉県ふじみ野市に本社工場を構える NJSフレームメーカー株式会社 TR。NJSフレームメーカーとは日本自転車振興会に定められた精度、耐久性の厳しい基準をクリアし認定を受けた、競輪の現場で使用できるフレーム製造メーカーのこと。競技用フレームも扱っている職人技、安心してお任せできますね。

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フレームの元となる鉄素材の色合いをいかした、RAWカラーの自転車フレーム。

フレームの色は、専門の塗装技術が使われ「RAWカラー」という色になっています。これは「生、 未加工」を意味する「RAW」 という言葉のとおり、自転車フレームの元となる素材そのものの色。トーキョーバイクの場合、自転車フレームにはクロモリと呼ばれる鉄素材を使用しているためこんなカラーになるのだとか。

見た目は暗めの灰色。落ち着いた渋いトーンで、これはこれでおしゃれな良い色合い。工程としては、回収した自転車の元の塗装をすべて剥離させて、その後に被膜処理とクリア塗装を行うのだそう。


自転車は環境のためにもっと使いたい交通手段

運動不足の解消に、自転車を積極的に利用している人も多いのではないでしょうか? 健康面はだけでなく、自転車利用は環境に配慮した移動手段としてもまさまさ注目を集めています。

家庭から排出されるCO2の4分の1は自動車から排出されたもの。今日の世界的な課題である気候変動対策、CO2削減推進の観点から、近距離の移動などには自家用乗用車から低炭素な移動手段である自転車への転換が望ましいとされています。

 

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2021年5月に東京都から発表された「東京都自転車活用推進計画」の冒頭で、小池都知事は「自転車は、誰もが気軽に利用でき、健康づくりにも資する身近な交通手段です。環境負荷も少なく、今後、東京を車中心から人中心の街へと変えていくためには、より一層、自転車を活用していく必要があります」 と呼びかけていました。サステナブルな社会の実現のためにも、自転車ユーザーが増えることに期待したいですね。

購入時だけでなく、買ったあと、メンテンナンスから手放すときのことまで考えた自転車選び。今回は、そんなサステナブルな未来へのヒントがたくさん詰まったコンセプトショップをご紹介しました。新生活の通学や通勤のパートナー選びの参考にしてください。


tokyobike 谷中 Soil 
東京都台東区谷中2-6-12
03-5809-0980
https://tokyobike.com/


TEXT = 山下優子

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