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タンザニアの生理事情から考えた生理の過ごし方

月1でくる生理に悩まされる女性は多いですよね。

 

アフリカでのある体験をした著者は、生理が来るのが待ちどおしくなり、生理中は普段よりも感謝の気持ちでいっぱいになれる特別な期間へと変わりました。

 

そのヒミツをお伝えします。

 

生理への向き合い方を変えた、アフリカでのショッキングな体験

 

毎月、女性に訪れる生理。みなさんは、どういう気持ちで生理を受け入れてますか?

 

生理は、痛くてゆううつなもの?日々の生活に支障をきたすもの?

 

または、女性であることを実感できる特別なもの?

 

そして、この生理をやさしく受け止めてくれるナプキン、このナプキンが、もし手に入らなかったら、そんなことを考えたことはありますか?

 

タンザニアで目にした光景は、日本の女性がいかに清潔な環境で恵まれているかを改めて感じ、生理と向き合うきっかけとなりました。

 

タンザニアのナプキン事情を知らずにいた私に、衝撃的な出来事が起こりました。

 

ある日、自宅の床に血がぽとぽとと滴っているのを発見した私は驚いて、お手伝いさんとしてきてもらっているタンザニア人女性に何があったのか、たずねました。

 

彼女は、「あら、ごめんなさい。今わたし、生理中なの。」と、苦笑しながら、床をふき始めました。

 

タンザニアでは、市販の生理用ナプキンは高価なため、(月給平均25,000円、ナプキン30枚入りは約500円 (2022年12月現在))一般のタンザニア人女性は、使い古した布を使ったり、村では木の葉で対応することもあるのが現状です。

 

適切なナプキンが入手しづらく、トイレ事情も整っていないタンザニアで、このナプキン問題は衛生面だけではなく、教育面でも女性に試練となっています。

 

生理がきても、ナプキンがない女子学生たちは学校を休むことになり、彼女たちの勉強の遅れが懸念されているのです。

 

タンザニア水衛生ネットワークのデータによれば、ほとんどのタンザニア人女学生は、生理が理由で月に1~3日は学校を休んでいます。

 

女性による女性のための布ナプキン支援の活発な取り組み

 

こうした驚きの事実を目の当たりにした外国人たちは、アフリカで様々な支援活動を行っています。

 

私も、タンザニア在住の外国人女性たちに交じって、あるボランティアに参加しました。

 

ミシンで布ナプキンをつくり、タンザニアの女性たちに無料で配る活動です。

 

また、「アフリクラフト」というタンザニアのNGO団体は、タンザニア人女性たちに布ナプキンを提供したり、自身でナプキンを手作りできるスキルを教えるなど幅広くこの問題に取り組んでいます。

 

こういった取り組みを支援したい場合、日本からでも寄付の形で応援することができます。

 

★アフリクラフトの活動を応援してみる

 

日本では浸透していない布ナプキンを見直してみる

 

筆者は、清潔なナプキンへのアクセスが当たり前ではないタンザニアで、女性たちの救世主ともなっている、この布ナプキンについて考えてみました。

 

日本では、市販の紙ナプキンを使用する女性が圧倒的に多く、布ナプキンの使用率はわずか2%というデータもあります。

 

布ナプキンの使用には「洗濯が手間」「多い日は漏れが心配」などのデメリットがあり、忙しい日本人女性の間では普及しないのもうなずけます。

 

市販の紙ナプキンと布ナプキンを3か月使った後の比較実験も行われています。

 

参加者からのアンケートでは、布の感触とナプキン洗濯時の月経血の観察をすることで、生理が「やっかい」なものから「自然」なものへと変化した、生理時の不快感の改善につながったとの結果も出ています。

 

また、昨今のSDGsの流れで、からだにも環境にもやさしく、「生理痛が軽くなった」「経血量が減った」「肌さわりが気持ちいい」「かぶれにくい」などのメリットがある布ナプキンが注目されはじめています。

 

筆者自身は、10年ほど前から、布ナプキンを常用しています。

 

手洗いの手間はありますが、経血量を自分で把握することで無意識に自分の体に向き合うことになり、自分のからだに対して、がんばってくれてありがとう、という感謝の気持ちがうまれます。

 

タンザニアでの体験から、毎月活躍してくれる布ナプキンに対しても感謝するようになりました。

 

生理時期を「自分にやさしくする特別ウィーク」に指定してみる

 

生理の週は、家族や周りの人に甘えさせてもらい「じぶんにおもいっきりやさしくして、いつもより少しだけ手間をかけてあげる月に1回の特別な期間」と位置づけてみるのはいかがでしょう。

 

そうしたら、からだにもやさしい布ナプキンを使ってみようかなという心の余裕が生まれるかもしれません。

 

生理に限らず、日々の生活の中で、ゆううつと感じることでも、見方を少し変えることで、生き方が楽になったり、普段あたりまえに思っていることへの感謝の気持ちに気づいたり、知らない間にがんばっていた自分に優しくなれるのではないでしょうか。

 

次にくる生理とは、「自分にやさしくなれる絶好のチャンス」として、今までとは違う気持ちで向き合ってみるのはいかがでしょうか。

 

著者:堀江知子(ほりえともこ)

タンザニア在住ライター。民放キー局のアメリカ支局にてインタビューや番組制作のプロデューサー業に15年間携わる。

現在は、日本に知られていないアフリカの魅力や生活の様子について日本メディアへの発信や執筆活動をしている。

 

参考文献

タンザニアの給与データ:https://ilostat.ilo.org/data/country-profiles/

日本の生理用品データ: https://femtech.tv/news65/ 

紙ナプキンと布ナプキン比較調査:https://www.jstage.jst.go.jp/article/jspehss/67/0/67_127_1/_article/-char/ja/

未来を創るコミュニティの場に。サステナブルな視点で描く建築の可能性【建築家デザイナー ファラ・タライエのIt’s My Story】

サステナビリティをコンセプトに建築デザインを手掛ける、ファラ・タライエさんが描くのは、レボリューションが起こるコミュニティの場。ただ建築や空間をデザインするだけではない、そこを人々が集う場所にデザインする。そんなスポットが10月1日、東京・日本橋にオープンします。細部までこだわった彼女のデザインフィロソフィーとは?

 

多様性がテーマ。大人も読みたい、小学生による小学生のための絵本

自分と違う境遇や価値観を持っているひとたちがいることを知り理解して、お互いが認め合うことーーSDGs達成のためにも重要視されているのがダイバーシティの実現、つまり多様性のある社会です。その多様性をテーマにした、ある絵本が注目されています。独自の視点と質問力が話題になり、発売前から増刷が決定していたという絵本『みんな えがおになれますように ~ちがうって すてきなこと~』。作家は、小学校6年生の女の子です。


子どもだけでなく、大人にも学びのある一冊

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作 / うい 絵 / 早川世詩男 監修 / 松中権 ¥1,540(定価)/学研プラス

「トランスジェンダーの人が困っていることはなんですか?」・・・そんな小学生からの質問に、あなたならどのように答えますか?

小学生作家であるういさんが、一般の方からオードリー・タンさん、杉山文野さん、ロバート キャンベルさんまで幅広くインタビュー。その内容を、わかりやすくまとめた絵本がこちら。
テーマはズバリLGBTQ+、多様性について。センシティブで難しい題材ではありますが、小学生向けに丁寧につくられている絵本なので、とっても理解しやすいのが特長です。

にっこり笑顔が印象的な表紙をさっそくめくってみると・・・。

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まずは、やさしい色合いの親しみやすいイラストが目にとびこんできます。こちらはイラストレーター早川世詩男さんによる作画です。

小さな子どもから大人まで、楽しく最後まで読み進められるつくりになっているのです。

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「トランスジェンダーの人は、何にこまっているんですか」
「ふつう、あたりまえ、ということばは、いやに感じますか」

この絵本は、Q&A形式のシンプルな構成で出来ています。ページをめくるたびに、小学生ならではの鋭い視点に思わずハッとさせられることがたくさん。当事者に対して、ここまで率直に質問ができるのは子どもならではといえそうです。

社会にはさまざまな価値観があることに気付き始め、さらに深く知りたいという作者の思いが素直な質問に。そのストレートな言葉に、真摯な姿勢で答える当事者の面々。理解して受け入れ合うという多様性の第一歩となるコミュニケーションが、絵本のなかで繰り広げられていきます。

この本を手にした大人たちからも、「多くの気付きを得た」という感想が寄せられているそう。「(子どもからの質問に)大人としてどんな風に説明したり、疑問に寄り添っていけばいいのか。この本を読んで、ヒントをもらいました」という親世代からコメントも。

多様性について子どもと一緒に学ぶ、自分自身が抱えていたモヤモヤの解決の糸口になる、多様性社会のためにできることを考える・・・など、読者ぞれぞれに、新しいきっかけを生み出してくれそうな一冊といえそうです。


小学生作家「うい」さんとは?

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ういさんの将来の夢は「俳優さんやパンケーキ屋さん」なのだそう。

ういさんは愛知県に住む、2010年生まれの小学6年生(2022年9月現在)。作家デビューは小学2年生のとき。小学校入学前の子どもたちに向けたアドバイス集『しょうがっこうがだいすき』を自費出版したことが始まり。ういさん自身の経験をもとにしており、リアルな内容と読みやすい文章で小学生作家として一躍話題に。その後、トランスジェンダーの方にインタビューを実行して1冊としてまとめた『小学生の私たちが知っているだけで、せかいをかえることができる。』を小学3年生で自費出版しました。


毎日の生活のなかで、価値観や趣味嗜好など自分とは違う人と出会うきっかけは多々あるはず。そんなときに“知っておくといいこと”を、この絵本が教えてくれます。他者との理解を深め、お互いを認め合い、受け入れ合うために。読書の秋、周りの人とこの本を読み合って、大切なテーマについて一緒に考えてみたいですね。


学研出版サイト
https://hon.gakken.jp/book/1020553800

日本のソウルフード「おにぎり」でアクション!世界の子どもに学校給食を届けたい

食料品の値上げが続いています。私たちの暮らしへの影響はもちろん、世界的な食糧価格の高騰は深刻な食料問題にもつながっているのだとか。今回は、そんな社会問題を「おにぎり」で解決に導くユニークな取り組みをご紹介。その名も「おにぎりアクション2022」! 誰でも簡単にSNSで参加できます。


SDGs目標「飢餓をゼロに」解決に向けて

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SDGsは17の目標が設定されていますが、そのなかの目標2として掲げられている「飢餓をゼロに」。実は、解決の遅れが心配されています。その理由は新型コロナウイルス感染症や気候変動、ウクライナ侵攻などによる世界的な食料価格高騰によるもの。日本でも食料品の値上げが相次ぎ、私たち消費者にとっても見過ごせない問題となっています。


日本発の取り組み「おにぎりアクション」

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2021年の投稿写真より。

食料品の値上げによる家計への負担や、輸入に頼る日本のフードシステムへの疑問・・・。さらには食料安全保障への不安も重なり、米食つまりお米を主食として食べる習慣の価値を見直す動きが高まっています。

そんな米消費の促進と、世界で増え続ける飢餓人口(十分な食料が手に入らず、栄養不良になっている人々の数)のために、手軽に参加できる取り組みがあります。それが、すでに8年目を迎えるプロジェクト「おにぎりアクション」。今年も10月6日からスタートします。

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2021年の投稿写真より。

「おにぎりアクション」は日本を代表する食べもの「おにぎり」がシンボル。参加する方法はとっても簡単です。「おにぎり」の写真に#OnigiriActionを付けて、Facebookや Instagram、TwitterなどのSNSまたは「おにぎりアション」の特設サイトに投稿するだけでOK。

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「おにぎりアクション2022」をサポートする、過去最高の35にも及ぶ企業や自治体が、1枚の写真投稿につき100円を寄付。その寄付金がTFT(特定非営利活動法人TABLE FOR TWO International)を通じて、アフリカやアジアの子どもたちに給食として届けられるのです。100円は給食5食分に相当するそうですよ。私たちが「おにぎり」の写真を投稿するだけで、子どもたちに給食をプレゼントできるだなんて!


10月16日は「世界食料デー」

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2021年の投稿写真より。

2021年までの7年間で、「おにぎりアクション」には累計約125万枚の写真が投稿されたそう。通算で約680万食の給食を飢餓で苦しむ子供たちに届けることが叶ったわけです。

10月16日は国連が定めた世界食料デー(World Food Day)。世界中の人が食べ物や食料問題について考える日です。この日を含めた1ヵ月間にわたって、今年も「おにぎりアクション2022」が実施されます。期間は2022年10月6日(木)~11月6日(日)まで。特設サイトは9月1日から開設されています。ぜひ興味を持った方はチェックしてください。


食料問題の解決に臨むTFTの取り組み

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「おにぎりアクション」を立ち上げたのは、日本発の特定非営利活動法人TABLE FOR TWO International(通称TFT)。“TABLE FOR TWO”は直訳すると「二人のための食卓」という意味。“先進国の私達と開発途上国の子どもたちが食事を分かち合う”というコンセプトのもと、世界の食料問題の解決に向けて活動を行っています。

今回ご紹介した「おにぎり」アクション以外にも、社員食堂や店舗でTFTヘルシーメニューを購入すると、代金の内20円が寄付となり飢えに苦しむ世界の子供に給食1食分をプレゼントするといった取り組みも行っているそう。これまでに、企業や官公庁、大学、病院など約700団体が参加。東アフリカと東南アジアの5ヵ国(ケニア 、タンザニア、ルワンダ、ウガンダ、フィリピン)を中心に、学校給食の提供、そして菜園・生産性向上プログラムと幅広い支援を実施。累計支援給食数は9,000万食にものぼるのだとか。そのほか、食料問題の本質に迫る取り組みとして、自分たちの手で野菜を育てる「TFTファーム」(千葉県市川市)を立ち上げるなど、その活動は広がっています。


昨年、2021年の「おにぎりアクション」にはおおよそ1日平均8,500枚の投稿があったそう。米消費量に換算すると推定59トンにも! たくさんの人が世界の食料問題を身近に考え、そして米食を見直すきっかけになったといえそうです。おにぎり1つから始められるワールドワイドなアクションに、あなたもぜひ参加してみませんか?


おにぎりアクション2022
https://onigiri-action.com/

特定非営利活動法人TABLE FOR TWO International
https://jp.tablefor2.org/

グリーンサージの挑戦。障がいを持つひとの声を活かした服づくり

エシカルな取り組みで知られるファッションブラント「blueserge(ブルーサージ)」。ブルーサージが取り組む、アダプティブファッションレーベル「greenserge(グリーンサージ)」をご紹介します。


一人ひとりがファッションを楽しむための適応型設計

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ブルーサージのアイコン的アイテム、ベージュのトレンチコートを“車いすを利用する”ことを前提に再設計。

「アダプティブファッション」という言葉を耳にしたことはありますか? 誰もが快適に着脱でき、ファッションを楽しむことができるアダプティブなデザイン、つまり適応型設計(Adaptive Design)した服づくりへの取り組み。今、世界中で注目されているアクションです。

ブルーサージは2022年、まさにこの取り組みをスタートさせました。地球の未来を見据えた、サステナブルなモノづくりを実践するこのブランドが考えるアダプティブファッションは、とにかく本格的。「グリーンサージ」と名付けた、新たなレーベルとして育てています。

どんなふうにアクセシブルにしているのかーー。今回の撮影にもご協力いただいたブルーサージのスタッフに教えていただきました。

例えば、車いすを利用している方がコートを着たいと考えたときに生じる不自由ーー車いすに座る際に後ろに身ごろが引っ張られて着心地が悪かったり、お尻の下がモタついて邪魔だったり、車輪に裾が巻き込まれそうになったり・・・。その不自由を解消するためのアイデアを、グリーンサージの服にいくつも実装しているそう。

ブルーサージの人気アイテム、ベージュのトレンチコート。このコートを車いす利用を考えて設計したサンプルが完成しています。

立ち上がってコートを見せていただくとーー。

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正面から見ると、ロング丈の普通のコート。・・・のようですが、ハの字のあしらわれたポケットにご注目。これは「車いすに座ったときに、ポケットから物がこぼれないように」という配慮から実現したパーツ。「座ったままでほとんどの生活をする方にとって、物を落としてしまうことは死活問題になります。こんなふうに角度を変えるだけで、物を落とさないポケットに生まれ変わります」。

そして、後ろ姿を見せていただくとーー。

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ショートトレンチ¥15,950、ブランケット¥3,960/ともにグリーンサージ

なんと、後ろ身ごろの腰から下部分がありません・・・! これなら、座ったときに後ろに引っ張られたり、モタつく面倒もナシ。

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実はコートの前身ごろのウエストから裾部分は、取り外し可能な仕様になっています。スナップボタンで着脱する仕組み。つまり、ショート丈のコートを着て、座ってからひざ掛け(ブランケット)のような裾部分を装着し、ロング丈コートに変身というわけです。

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座ったとき、裾が足や車輪を邪魔することもありません。
ちなみにショートトレンチとブランケットは別売り。必要だと思う方だけがブランケットも購入するという選択ができることもエシカルです。


一人ひとりの障がいを考えた服をつくる、という挑戦

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2022年の3月の時点で、日本の障害者の総数は、964.7万人(厚生労働省障害福祉課発表)。これは、人口の約7.6%に相当するそう。その内訳で、身体障がい者数は436.0万人にのぼります。

2019年の展示会からスタートしたエシカルブランド「ブルーサージ」、続けて在庫を黒染めすることで再商品化し廃棄処分ゼロを実現した「ブラックサージ」、そして「グリーンサージ」は今年2022年の立ち上げ。ブランドを率いる、アミアズ株式会社の代表取締役 財間宣彰さんにグリーンサージ誕生の背景などを伺いました。

「体に不自由がある方が、服に機能的なものを求めていくと、百貨店のユニバーサル売り場とかにある肌着みたいなものしかないのが今の状況です。『誰一人取り残さない』というSDGsの理念に基づいて、服づくりで何ができるのか?と考えたときに、ブルーサージの商品をちょっとアレンジしたり、パーツを付け足したり、足し算引き算して、それによって障がいを持つ方にとってすごく便利な服になったらいいなと考えています。車いすに乗りやすかったり、着やすくなったり、介助の方がお着替えさせやすくなったり。そこをめがけてのファッション性の高いものを届けたいと思っています」

ウェルビーイングに生きるために不可欠な要素とは?【島田恭子の自分学 vol.04】

最近よく耳にする「ウェルビーイング」という言葉。「よりよく生きる」ために、私たちは自分のために何ができるでしょうか。他の誰でもない、自分のために、自分らしく生きて、自分自身が幸せを実感できる毎日へ。この連載では、精神保健学者の島田恭子さんに、自分軸でモノゴトを進めていく人生を送るために学びたい「自分学」について教えていただきます。


「よかったこと日記」始めました

効果のほども知っているのに、これまでやれていなかったこと・・・。私にとってその1つが「よかったこと日記」を書くことでした。
いろいろなやり方がありますが私の方法は、その日に
・よかった行動を1つ
・感謝すること1つ
を書くという、至ってシンプルなもの。
エクセル表で日付ごとに2つのセルをつくり、プリントアウトして手書きで記入しています。こんな感じです。

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この日記のポイントは、とにかく簡単にできること、そして1日の終わりにその日のポジティブ行動や感謝を思い返せることにあります。

3つのいいことを書く、あえてネガティブなことも出してみる。などいろいろなやり方があり、その効果を検証した論文も複数あります。私は何事も「続ける」ことが苦手(=性格特性のマジメ度が低め)なので、まずは小さなステップから、毎日続けられることを優先にしました。口語体でいいし、誰にも見せない前提だから、どんなことでも書けます。自信たっぷりにステキと感謝を書き連ねたものを眺めてみると、にんまりしたりして・・・。「よかったこと日記」で、いつもは気付きづらい、何気ない毎日の感謝や良い行動に、目を向ける習慣がつくといいですよね。


自分にとって居心地のいい生き方

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さて今回は、自分にとって居心地の良い生き方を模索する大切さについて考えてみます。

居心地の良い生き方。それは価値観とかウェルビーイングに置き換えられるかもしれませんが、それらは目に見えるものでもなく、きれいにタイプ別に分けられるものでもありません。100人いたら100通りで、時と共に変化もします。常に修正しバランスを取りながら、試行錯誤し自分で探していくものです。

でもよく「自分の価値観がわからない。何が好きで何がしたいのかわからない」とか「自分の価値観や好きなことがわかって、それを活かせている人なんてほんの一握り」なんて言いますよね。そうでしょうとも。それでいいんです。だからこそ私たちは試行錯誤しながら、自分がどうしたいのか、どうするのが心地よいのかを模索していく。時間をかけて少しずつ自分の価値観を探し当てていくものだと思います。

例えば私たちは「ジブン診断」をすることで、自分の特性や強み、改善点を知ることができました。

日常のささいな出来事や選択のタイミングごとに、社会やまわりの基準ではなく、自分がどうしたいかを優先することの大切さを認識できました。価値観やウェルビーイングは、このプロセスの繰り返しを通して徐々に見つけていけます。幸い私たちの毎日には、数限りない選択のタイミングがありますから、そのたびに自分軸を意識する訓練ができる、というわけです。
だからあきらめるのはもったいない。「自分にとって居心地の良い生き方は?」と常に意識し、それに近づくためにあきらめることなく動き続けることが大事なのです。

その際にヒントとなる、いくつかの心理学的な知見をご紹介しましょう。


「なんとかなる」と希望を持ち続けること

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ナチス政権下でのユダヤ人大虐殺。長く過酷な抑留生活に耐えられた人とそうでない人の差は「希望」であったことを、精神科医ヴィクトール・E・フランクルは名著『夜と霧』にまとめています。ホロコーストとまでいかなくとも、私たちは誰しも、生きていれば本当につらく悲しい出来事があるもの。そんなとき、周りの力を借り、時間をかけて、現実を受け止め、「なんとかやっていける。このことにも意味があるのだ」と思えること。それが前に進む原動力となることを、心理学者Dr. アントノフスキーは長年の研究から明らかにしました。

どんなことがあってもあきらめずに「なんとかなる」と希望を持ち続けることが大切なのだと、この2つの研究は私たちに教えてくれます。


成長し続けたいという気持ち

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私たちの居心地を考えるうえで大切な“心理的ウェルビーイング”という考え方は、実はその下に6つの要素を持っています。そのうちの1つが「人格的成長」というものです。例えばこんな感じです。

・これからも私はいろいろな面で成長し続けたいと思う
・新しいことに挑戦して、新たな自分を発見するのは楽しい
・自分らしさや個性を伸ばすために、新たな事に挑戦することは重要だと思う
・私は新しい経験を積み重ねるのが、楽しみである

どうでしょう。いくつになっても新たなことに挑戦し、経験を積み重ね、成長したい!と思い進むことが、ウェルビーイングと直結していることがよく分かります。


やってみよう&なんとかなる

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また日本の研究者により検証された「幸せの4因子」というものがあります。慶応大学の前野隆司教授らは、ウェルビーイングの高い人の特徴を、以下4つの簡単な言葉で表しました。

1. やってみよう因子:ワクワクしながら主体的に自己実現に向けて成長すること
2. ありがとう因子 :人とのつながり、絆を実感し、感謝すること
3. なんとかなる因子:楽観的に失敗を恐れずチャレンジ精神をもつこと
4. ありのままに因子:周りの人の評価ではなく、自分の軸で自分らしく生きること
(※説明は、著者が平易に改変)

また同じようなキーワードが出てきましたね。「なんとかなるさ、やってみよう」と、力むことなく前進するイメージでしょうか。

これら4つの心理学知見を考え合わせると、「なんとかなる、と希望を持ち、いろんなことに挑戦、成長しながら、気負わず楽しんで前に進んでいく・・・」というマインドが、ウェルビーイングに生きるために不可欠な要素であることがわかります。ニワトリが先か卵が先か、という話にもなりますが、幸せになるのを待つのではなく、「私のウェルビーイングってどんな形?」と模索しながら、あきらめずに歩き続けることこそが、私たちをウェルビーイングにしてくれる、ということでしょう。


4回にわたりお伝えしてきた「自分を知る」ことの重要性、そしてウェルビーイングに生きるために必要なこと・・・。いかがでしたでしょうか。少しでも気付きがあったならば嬉しいです。
皆さんのこれからが、ますますウェルビーイングなものになりますよう願いを込めて。


shimada


Profile
島田恭子(しまだきょうこ)
精神保健学者。コンサル会社での人材育成を通して、心の健康の重要性を感じ、東京大学大学院にて予防医学とメンタルヘルスを学ぶ(保健学博士)。「人が、心豊かでその人らしく、健やかな人生を送れるように後押しすること」がライフワーク。一般社団法人ココロバランス研究所代表。
https://linktr.ee/kokorobalance
Instagram @kokorobalance

ウクライナの子どもたちにテディベアを届ける!スタージュエリーのエシカルアクション

日々危険にさらされ、不安のなかにいるウクライナの人々、そして幼い子どもたちのことを考える胸が痛みます。平和への願いを込めて、ウクライナの子どもたちにテディベアを届けたいーー「スタージュエリー」の取り組みをご紹介します。


ウクライナカラーのテディベアに想いを込めて

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スタージュエリーが長年続けているプロジェクトの一つ、クリスマスチャリティ 「 BEAR FOR PEACE 」。対象商品の売上金額から20%をユニセフに寄付し、子どもたちのサポートに役立ててもらうというこのプロジェクトは、クリスマスシーズンにあわせて継続的に実施されてきました。

今回発表されたプロジェクト「BEAR FOR PEACE – STAND WITH UKRAINE –」も、根底にある想いは同じです。平和のシンボルであるテディベアをウクライナカラーで制作、スタージュエリーの社員全員による手書きのメッセージカードを添えてウクライナへと送る準備を進めているそう。

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胸に大きなハートを抱いた可愛らしいベアは、1000体制作され、そのうち800 体がウクライナの慈善団体「TVOYA OPORA」を通して子どもたちに贈られます。このテディベアたちを確実にウクライナへ届けるために、ポーランドでウクライナへの支援を続けている「HELP UKRAINE CENTER」の協力も得て、10 月中の現地到着を計画しているそう。現地の状況次第で到着の時期は変動する可能性があるそうですが、早く子どもたちがこのテディベアを抱きしめることができますように・・・と願わずにはいられません。

そして、ウクライナから日本に避難している家族、子どもたちの存在も忘れてはいけません。スタージュエリーは、地元である横浜で暮らし始めた子どもたちにもテディベア 50体を贈る計画を発表。こちらは「横浜市国際交流協会( YOKE)」の協力を得て、今秋に実施される予定です。


プロジェクトの支援をクラウドファンディングで募集中

 

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「BEAR FOR PEACE – STAND WITH UKRAINE –」プロジェクトの実現にあたって、ただ今、賛同者からの支援金をクラウドファンディングにて募っています。

集まった支援金は、オリジナルテディベアの制作費・輸送費などに、そしてウクライナ国内および周辺国に避難している子どもたちと家族を守るユニセフの活動を支える『ユニセフ ウクライナ緊急募金』への寄付に充てられます。

目標額を300万円に設定し、一口¥20,000、¥10,000、¥5,000で受け付け中。¥20,000を選択した先着150名に、ウクライナの子どもたちに贈るテディベアと同じアイテム(非売品)が返礼品として届きます。

※このプロジェクトはAll-in方式で実施され、目標金額に満たない場合も計画を実行し、支援協力された方にリターンが届きます。

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「Bear For Peace」プロジェクトの歴代のテディベアたち。

1993年からユニセフへの支援活動をスタートしたスタージュエリー。今日に至るまで、さまざまな形でエシカルアクションを続けています。最新のプロジェクト「BEAR FOR PEACE – STAND WITH UKRAINE –」のクラウドファンディング募集期間は10月10日まで。支援の輪が広がりますように!


スタージュエリー公式サイト内特設ページ
https://www.star-jewelry.com/sj-StandWithUkraine.html

「BEAR FOR PEACE – STAND WITH UKRAINE –」クラウドファンディングページ
https://camp-fire.jp/projects/view/614580

美しさのその先へ。ukaが伝えたい世界観【トップネイリスト渡邉季穂のIt’s My Story】

よい香りに包まれ、爪先を日常的にケアする。そんな画期的なネイルオイルを生み出し、次々とみんながときめくビューティアイテムを世に送りだしているuka(ウカ)。そんな唯一無二のブランドを率い、みずからもネイリストとして活動する渡邉季穂さんの想いとこだわりとは?

子供だけでなく家族全員の幸せを考える。
悩める親の心を救う確かなメッセージ【保育士 てぃ先生のIt’s My Story】

保育園に勤めながら、その専門性を活かし、自身のSNSや講演活動などを通じて子育てや保育に役立つ情報を発信する現役保育士のてぃ先生。SNSの総フォロワー数は140万人を超え、子育て世代が抱えるさまざまな悩みを解決へと導いています。保育士を目指したきっかけや、子供たちとの生活で学ぶこと、「てぃ先生」としての活動に込める想いを聞きました。

地道な練習は、絶対に無駄にならない。覚悟を決めた先につながった日本記録【競泳選手 青木玲緒樹のIt’s My Story】

今年3月に東京辰巳国際水泳場で開催された「国際大会日本代表選手選考会」。100mと50mの平泳ぎで日本新記録を樹立し、優勝という快挙を成し遂げた青木玲緒樹(あおきれおな)選手をインタビュー。昨夏の東京オリンピック(五輪)では、予選落ちという結果を前に“引退”を考えるほど落ち込み、苦悩の日々を過ごしたという彼女が、そこからどのように再起を図り、圧倒的な泳ぎを見せるに至ったのかーー。輝かしい功績の舞台裏にあった、当時の葛藤や想いも伺いました。