慢性的なストレスを断ち切る方法|新習慣で健康を守る
慢性的なストレスを抱えていると、日々の生活の質が下がり、体や心に大きな負担がかかります。
ストレスは本来、私たちの神経系が外部の刺激に対して備えるための反応ですが、その状態が長く続くと、逆に不調や病気のリスクを高めてしまうのです。
そこで今回は、神経科学の視点から「アラートネス・エレベーター(Alertness Elevator)」という新しいモデルを参考に、慢性的なストレスへの対処法をご紹介します。
健康を保ち、心身をリラックスさせるためのヒントをぜひ取り入れてみてください。
Contents
慢性的なストレスと神経系のはたらき
私たちの体は、ちょっとしたプレッシャーにもストレス反応を起こします。
これは神経系が「今は集中して行動すべき状態だ」と判断するサインです。
適度なストレスであれば、むしろ集中力を高めたり、モチベーションをアップさせたりするよい効果が期待できます。
しかし、慢性的なストレス状態に陥ると、体や脳が常に過剰な警戒モードになり、疲労やイライラ、不安などが抜けにくくなります。
長期的には免疫機能が低下したり、睡眠の質が悪化したりして、さらなる不調を引き起こす悪循環に陥りやすくなってしまうのです。
アラートネス・エレベーターとは
ストレス状態を5つの色で示した「アラートネス・エレベーター」は、自分の今の状態を客観的にチェックし、必要に応じて調整するためのモデルです。
エレベーターをイメージすると、各フロアで体や心の警戒度合いが異なり、ストレスをどの段階で受けているかがわかりやすくなります。
ブルー状態(深い休息と細胞の回復)
エレベーターの最下層であるブルー状態は、瞑想をしているときや深い睡眠に入っているときのように、体と心が深くリラックスし、細胞レベルで回復が進む段階です。
いわゆる「休息モード」であり、副交感神経(リラックスや消化を助ける神経)が優位になって、しっかりと体が休まります。
グリーン状態(リラックスしながら集中)
次に上がるグリーン状態は、ほどよく集中しながらも体に余裕がある、いわゆる「フロー状態」です。
仕事や趣味に打ち込んでいるときでも、緊張や疲れをあまり感じずに楽しくこなせるような感覚を指します。
交感神経(体を活動的にする神経)と副交感神経のバランスが保たれ、心身ともに快適に働いています。
イエロー状態(思考が忙しく頭が追いつかない)
さらにエレベーターを上がると、イエロー状態という「頭がごちゃごちゃして落ち着かない」段階に入ります。
やらなければいけないことが山積みで常に考え事をしているような状態です。
この状態が続くと仕事の効率が下がり、心身ともに疲れを感じやすくなります。
交感神経が優位になり、心拍数が上がったり筋肉がこわばったりしがちです。
レッド状態(戦うか逃げるかの緊急モード)
エレベーターが最上階に到達すると、レッド状態という、まさに「戦うか逃げるか」を即断しなければならない緊急モードに入ります。
心臓がドキドキし、体はいつでも動き出せるように血液が筋肉へ集まり、呼吸も速くなるのが特徴です。
この状態は危険に素早く対応するために欠かせない機能ですが、長時間続くと体にも心にも大きな負担をかけてしまいます。
パープル状態(フリーズして動けない非常停止)
もし危険を超えた極度のストレスを感じると、エレベーターの非常停止ボタンを押したように「フリーズ状態(パープル状態)」に陥ることがあります。
頭が真っ白になったり、体が固まって動けなくなったりするのが典型的な反応で、日本でも「頭が真っ白になる」という表現がよく使われます。
これは生き延びるために体を強制的にシャットダウンしている状態で、人によっては失神してしまう場合もあります。
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慢性的なストレスを断ち切るために必要なこと
慢性的なストレスに苦しんでいると、日常生活の中でイエローやレッド状態のまま過ごす時間が長くなりがちです。
ときにはパープル状態の兆候を感じるほど追いつめられてしまうこともあります。
こうした悪循環を断ち切るためには、意識して自分をブルーやグリーン状態に戻す時間をつくることが大切です。
仕事や家事に追われていても、短い休憩やストレッチ、コーヒーやお茶の時間などを活用し、意識的にリラックスモードを取り戻してください。
また、普段から自分のストレス状態を把握することも有効です。
どのレベルにいるかを可視化することで、イエローからレッドへ急激に移行する前に手を打つことができます。
特に、何かがうまくいかないときや気分が落ち込んでいるときに自分の状態を確認し、「今はイエロー気味だから一度深呼吸をしてみよう」といった対策がとりやすくなります。
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アラートネス・エレベーターの地図をつくる
1日の中で「今どの状態にいるんだろう?」と客観的に確認できるよう、アラートネス・エレベーターの地図を自分なりにつくってみましょう。
ブルー、グリーン、イエロー、レッド(必要があればパープルも)の各状態を思い出し、それぞれどんな体感や感情が湧いてくるかを書き留めます。
日本ではお風呂に入っているときや寝る前など、自宅でリラックスしやすいタイミングに行うとスムーズです。
ブルー状態を思い出すには、夜ぐっすり眠ったときや、温かい湯船につかってほっとする瞬間などを思い浮かべてください。
グリーン状態は、仕事や勉強に集中しているのに疲れを感じないとき、イエロー状態は「やることが多すぎて追われている感じ」のときなどを思い返します。
レッド状態は、思い切り焦って慌てたり、怒りが込み上げたりしていた瞬間をイメージしましょう。
パープル状態については、思い出すだけで苦しくなるなら無理に再体験する必要はありません。
こうしてつくった地図をもとに、「今日は朝からイエロー気味だから早めに休憩をとろう」とか「レッドの兆候が出たから友人に相談しよう」というように、自分なりの対策を実践してみてください。
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まとめ
慢性的なストレスを断ち切るには、自分のストレス状態を知り、意識的に調整する工夫が大切です。
日常の中でストレス状態が高まったと感じたら、休息をとったり、友人と話したり、好きなことに没頭する時間を確保してみてください。
自分で作成したアラートネス・エレベーターの地図を活用して、ブルーやグリーン状態を取り戻しながら、心身のバランスを保つ意識をもつことが、健康的な日々を送るための大きな鍵になります。
