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変化を前向きに受け止める。結果、私は今すごく幸せです【小泉里子 / 未来に続くBOOKリスト vol.12】

あなたの本棚には、これからの人生で何度も読み返したい本が何冊ありますか? モデル 小泉里子さんの連載エッセイ「未来に続くBOOKリスト」。読書好きの里子さんが、出合ってきた本のなかから“ずっと本棚に置いておきたい本”をセレクトしてご紹介します。

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BOOK LIST_12

『チーズはどこへ消えた?』

ジャンル=ビジネス・経済、自己啓発 スペンサー・ジョンソン 著 門田美鈴 訳 /扶桑社


ずいぶん前に読んだ本なので、私の本棚では古株さん。

自己啓発本のなかでは代表的な本と言ってもよいくらい、誰もが読んだことのある1冊ですよね。読みやすいうえに考えさせられる。

2人の小人と2匹のネズミがチーズを探しに迷路に出る。ただそれだけのことなのに、人生という壮大なスケールで、考えさせられる。自分はどのキャラクターに近いのか、この先どのキャラクターになりたいのか、それぞれの行動、結果に違いが出る姿を私たちは俯瞰で見ながら学べるのです。

どんな境遇であっても、「変化」というものはやってきます。
その変化をどのようにして受け止めるか、変化を恐怖として受け止めているなら、尚更学び多い本だと思います。


苦労して探し当てたチーズステイションCの大量のチーズ。
ところがある朝、2匹のネズミが着くとチーズがなくなっていました。

ネズミは、それまで注意深くチーズを見ていたので、特に驚くことなく、次なるチーズを探しにいくのですが、2人の小人は、今まで当たり前のようにチーズがあったので、突然なくなったことに驚き、原因を追求したり、戻ってくるんじゃないかと待ってみたりして、その場を動くことはしませんでした。

しかし1人の小人が勇気を出して、チーズステイションを出て新しいチーズを探しに出るのです。その道すがら思いを壁に書きつけるのですが、その言葉たちは、私たちの人生でこれから起こるであろう出来事への素敵なアドバイスになっているのです。


この本を紹介しようと改めてザッと読み返したとき、ふと数年前の出来事を思い返しました。

当時『CLASSY』という雑誌をやっていたとき、思いきってやめる決意をしました。それと同時に「離婚」も決めました。仕事も私生活も同時に変化したのです。
今でも、よくあんな決意ができたなと自分でも不思議に思うのですが、あのときの私はとても前向きだったのを、はっきりと覚えています。

当たり前のようにあったものをなくす勇気は、それなりに時間も掛かりましたが、決めてしまえば怖いものなしです。
仕事も私生活もその後に何かが決まっていたわけではないのに前向きだった私は、本のなかの一節「まだ新しいチーズがみつかっていなくてもそのチーズを楽しんでる自分を想像すればそれが実現する」という言葉で当時を思い出しました。

まさにそれだな!と。

なんの根拠もなかったけど、幸せでいる姿は想像していたのです。結果、私は今すごく幸せです(笑)。
この本を読んでいたから、そんなふうに自然と考えられたのでしょうか。


今ある生活、家族、お金、仕事、幸せに思う瞬間など、それは順調なほど失うのが怖くなるけれど、いつしかそれらとの関わり方は変化していくものだと思えば、未来の自分は少し楽に受け止められるかもしれない。

そんなふうに頭の片隅に置いておくだけで、いざそのときが訪れたなら、ネズミほど素早くなくても、小人よりかは早く判断し行動できるかもしれないですね。

 

・・・・・・

今回を含めて、12冊の本の紹介をしてきました。

文字を書くのが苦手な私が務まるのか、すごく不安のなかで連載をスタートしましたが、終わってみたらあっという間な1年でした。

この連載を通して、改めて好きな本たちとまた触れ合うことができ、さらに違った視点から見ることもできました。本は何度読んでも違った面白さを感じさせてくれて、そして今の自分に何かしらのメッセージを与えてくれるなと思いました。

最後に12回を振り返って思ったこと、小説が1冊もなかった(笑)。また、機会があったら、お次は小説も紹介したいです。

みなさま、ご機嫌よう。


『チーズはどこに消えた?』(Who Moved My Cheese?)
著者のスペンサー・ジョンソンは米国の医学博士・心理学者。原作は1998年に米国で発売、2000年には日本で翻訳版が登場し、現在も読まれ続けている世界的ベストセラー。変化をどう受け入れて行動していくか、自分で考えて変えていくことで、人生が新しく、より楽しくなると教えてくれる一冊。


小泉里子


Prof
小泉里子(こいずみさとこ)
15 歳でモデルデビュー。数々のファッション誌で表紙モデルを務め、絶大な人気を誇り、広告やテレビ番組でも活躍。着こなすファッションはもちろん、ナチュラルでポジティブな生き方が同世代の熱い支持を得ている。2021年2月には第1子となる男児を出産し、同5月より生活の拠点をドバイに移す。ドバイでの生活や子育てにもさらに注目が集まっている。仕事、プライベート、ドバイでの生活を綴った著書『トップモデルと呼ばれたその後に』(小学館)も好評。
http://tencarat-plume.jp/
Instagram @satokokoizum1


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