逆季節性感情障害(SAD)を乗り越える―夏に感じる“モヤモヤ”の正体とは?
子どもの頃の夏休みといえば、友だちや家族とプールや川遊びなど楽しみがたくさんあってわくわくしていました。
しかし、大人になるにつれて「夏が待ち遠しい」とは思えなくなり、むしろ気温が上がり始める春先から「夏が来るのが憂うつ」と感じるようになった…なんてことはありませんか?
実は、気温が高く日差しの強い夏場に、気分が落ち込んだり不安になったりする「逆季節性感情障害(夏型SAD)」という症状があるのです。
冬のうつ症状と同じく、夏にもうつ症状が起きることは意外と知られていません。
この記事では、そんな「逆季節性感情障害」に悩む方に向けて、原因や対策方法などをわかりやすくご紹介します。
Contents
逆季節性感情障害(夏型SAD)って何?
夏にも起こる気分の落ち込みとは?
「季節性感情障害(SAD)」とは、季節の変化とともに気分が落ち込む、いわゆる季節性のうつ症状のことです。
一般的には、日照時間が減る冬に発症しやすいと言われていますが、実は夏に同じような症状が出ることもあります。
これを「逆季節性感情障害」や「夏型SAD」と呼びます。
米国国立衛生研究所(NIMH)の定義によると、SADは「毎年4〜5か月ほど続く抑うつ状態」を特徴としており、そのうち約10人に1人は夏季に同様の症状を感じると報告されています。
主な症状の例
- 不眠や睡眠の乱れ
- 食欲不振
- 落ち着きのなさやイライラ感
- 不安が強まる
- 動く気力が湧かない・疲れやすい
夏に憂うつになる原因
夏のうつ症状が起こる背景には、いくつかの要因が考えられます。
たとえば気温が高いために外出を控え、エアコンの効いた部屋にこもりがちになると、人と会う機会が減って孤独感につながることがあります。
また、長期休暇やイベントが増える一方で、家計への負担や「夏を楽しめていないかも…」というFOMO(フォーモ、“取り残される恐怖”)がストレスの原因になることも。
さらに、夏に悲しい出来事があったり、体質的に暑さに弱いなど、人によっては夏そのものにネガティブな思い出や感情が結びついてしまうケースもあるようです。
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逆季節性感情障害を和らげるための対策
1. 規則正しい生活リズムを整える
「日が長いから寝るのが遅くなりがち」なんてことはありませんか?
夏でも十分な睡眠(目安として7〜8時間)をとることが大切です。
朝晩のルーティンを意識して体内リズムをキープするだけでも、気分の落ち込みを和らげられる可能性があります。
2. 室内環境を整えてうまく外に出る工夫をする
猛暑日が続くと外に出る気力が失せてしまいますが、ずっと家にこもっていると気分転換もできません。
図書館や美術館など、冷房がしっかり効いていて人との接点もある場所を選ぶのがおすすめです。
短時間の散歩や軽い買い物など、無理のない範囲で少しずつ外に出てみましょう。
3. “夏ならでは”の楽しいアクティビティを取り入れる
逆季節性感情障害を感じると、夏行事を目にするだけで憂うつに思うかもしれません。
それでも少し気が向いたら、子ども時代のように水着を着てプールに行ったり、冷たい飲み物やかき氷、アイスなどを味わってみるのはいかがでしょうか。
小さな“涼”を探しに出かけるだけでも、イメージががらっと変わることもあります。
4. 適度な運動やクールダウン法を取り入れる
夏バテを防ぎながら気持ちをリフレッシュさせるには、軽いストレッチやヨガなどの運動も効果的です。
汗をかいたらシャワーを浴びる、扇風機や冷房を上手に使う、スポーツドリンクや水をこまめに摂取するなど、「身体を冷やしすぎず、適度にクールダウンする」工夫をしてみてください。
5. 必要に応じて専門家に相談する
もし、自己対処だけではつらさが改善しない場合は、医師やカウンセラーに相談することを検討しましょう。
逆季節性感情障害は医学的にも認められた症状で、投薬やカウンセリング、ライフスタイルのアドバイスなど、プロの視点からサポートを受けるのは決して恥ずかしいことではありません。
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まとめ
夏に感じる憂うつは、ただの「暑さのストレス」ではなく、逆季節性感情障害(夏型SAD)という症状である可能性があります。
気温の高さや日照時間の長さによる生活リズムの乱れ、気分の落ち込みや不安感、孤独感など、原因は人それぞれ。
大切なのは「夏だから外に出なきゃ」「イベントを楽しめなきゃいけない」と思い込まず、自分に合ったペースで過ごすことです。
夏の憂うつを「気のせい」で終わらせず、一度しっかりと自分の心や体の声に耳を傾けてみてください。
少しの工夫やサポートを得るだけで、夏の過ごし方がきっと変わってくるはずです。