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ネガティブ思考は病気?うつ病との違いや治し方を解説

 

周りの人と比べて自分はネガティブ思考だ、と感じている方も多いのではないでしょうか。

 

中にはネガティブな気持ちが消えず、うつ病など精神的な病に当てはまるのではと不安に思っている方もいるでしょう。

 

今回はそんなネガティブ思考はどうして生まれてしまうのか、精神疾患との違いも踏まえながらご紹介します。

 

ネガティブ思考を脱却するための方法も併せてチェックしていきましょう。

 

ネガティブ思考は病気なのか?

 

端的にいえば、ネガティブ思考自体が何かの病気に当てはまることはありません。

 

しかし精神疾患の中には気持ちが落ち込んでしまったり、長い間明るい気持ちになれず引きこもってしまったりするものもたくさんあります。

 

ネガティブ思考は決して放置して良いものではなく、さまざまな病の原因になりかねないことを覚えておきましょう。

 

ネガティブ思考の怖いところは、単に悲しいことを考えるだけに留まらず、どんどんと悪い思考が続いて脱出できなくなってしまうという点です。

 

ネガティブ思考がループし始めると、趣味や自分の好きなことも心から楽しめなくなり、毎日を生きる活力さえ奪われてしまうでしょう。

 

自身がネガティブ思考であることを正しく認識し、脱出するための手を考えることが大切です。

 

ネガティブ思考が止まらないのはなぜ?

 

ネガティブ思考が止まらずに悩んでいても、その原因が本人にあるとは限りません。

 

これまでの環境が子ども時代の育てられ方など、外的要因が積み重なってネガティブ思考を形成している可能性も考えられます。

 

ネガティブ思考だからといって自分を過度に責めることなく、正しい原因を探っていきましょう。

 

ネガティブ思考が止まらずに頭の中が悪い内容でいっぱいになってしまうことを、「ぐるぐる思考」「反芻思考」などと呼びます。

 

まずはこれらの思考がどうして始まってしまうのか、考えうる原因をご紹介します。

 

ついつい嫌なことや過去の失敗を思い出す

日々の生活のなかで、つい嫌だった経験を繰り返し思い出してしまう人も多いのではないでしょうか。

 

「黒歴史」などと呼ぶこともあり、思い出すことに恐怖を抱いている人もいるでしょう。

 

過去の嫌な経験と同じシーンに出会ったとき、嫌だった気持ちを思い出すのは自然なことです。

 

しかし、何の関係もないのにふと頭をよぎったり、過去の失敗を思い出していたたまれない気持ちになったりする経験が多いと、何をするにも楽しめなくなってしまうでしょう。

 

また、過去の失敗を思い出すのと同時に、「どうしてあの時こうしなかったんだろう」「ああしておけば失敗することはなかったのに」といった後悔が同時に襲ってくることがあります。

 

過去は変えられないため、通常であれば今後同じミスをしないよう注意すれば良いのですが、ネガティブ思考の場合はそれだけに留まりません。

 

いつまでも同じ失敗について後悔を重ね、前に進めなくなってしまう人も珍しくないのです。

 

認知の歪み

「認知の歪み」という言葉は、精神科医・アーロン=ベック氏が提唱したものです。

 

何か失敗をしてしまったとき、通常の精神状態であればミスを振り返り、今後どうすれば良いのか解決方法を模索し始めるはず。

 

しかし認知に歪みがあり、正しい判断ができなくなっていると、全てが悪く思えてきてしまうのです。

 

認知の歪みは自分のことを正しく認識できず、長所に目が向かなくなってしまいます。

 

自分の短所ばかりが気になるようになり、何をする際も「どうせできないから」と目を背けてしまうようになるでしょう。

 

何事も白か黒かで判断するようになり、「できないものはできない」と諦めてしまうのも認知の歪みに当てはまります。

 

少しの失敗があると全てがダメになったと感じたり、計画通りにいかないと全てを投げ出してしまったりと、過度な完全主義に周りが振り回されてしまうこともあります。

 

ストレス

どんなにポジティブな思考の人でも、過度にストレスが溜まった状態では正しい思考ができません。

 

仕事や家事・育児など忙しい日々を送る現代人の中には、知らず知らずのうちに少しずつストレスが溜まっている人も珍しくないでしょう。

 

その日のストレスはその日のうちに解消しなければ、感情にも影響を与えてしまいかねません。

 

ストレスの怖いところは、多くの人がその存在を無視してしまいがちだという点です。

 

誰もが少なからずストレスを抱えている現代社会では、少し嫌なことがあったくらいですぐに対処しようと考える人は少ないもの。

 

そうして積もりに積もったストレスが気持ちをよどませ、ネガティブ思考へと繋がってしまうのです。

 

疲労

日々を送る上での軽度な疲労であれば、すぐにネガティブ思考のループへと繋がる危険性は低いでしょう。

 

しかし忙しい毎日で疲労がとれなくなったり、ストレスの溜まりやすい環境で蓄積された疲労であったりする場合は、精神への影響も強いといえます。

 

体が疲れている状態で無理に頑張ろうとすれば、ネガティブ思考が止まらなくなるのも不思議ではありません。

 

疲労が原因によるネガティブ思考の反芻は、悪化する前に原因を取り除いてあげる必要があります。

 

過重労働が原因であれば転職を、家事や育児が占める割合が大きい場合はパートナーと話合うなど、根本となる原因を模索しましょう。

 

1日の疲労をその日のうちに癒せるようになれば、自然と頭の中がクリアになり、ポジティブな考えが生まれやすくなります。

 

自尊心が低い

ネガティブ思考の中でもとりわけ注意しなければならないのが、「自尊心の低さ」です。

 

失敗してしまったときに自分を顧みるのは必要なことですが、チャレンジする前から「どうせ自分にはできない」と諦めてしまうのは良くありません。

 

誰もが最初から自尊心が低くなることはなく、親からの声掛けや失敗したときのフォローなどが原因であることが多いでしょう。

 

「あなたはどうせできない」「何をしてもダメな子」「失敗したのはお前のせい」などと育てられれば、大人になっても自分を信じられないのは当然です。

 

自尊心が限りなく低いと感じる場合は、一度自分の幼少期を振り返ってみると良いでしょう。

 

幼少期に問題がない場合は、上司の態度やパートナーの発言なども影響しやすいポイントとなります。

 

少なくとも、自尊心の低さは自分だけが原因であるわけではありません。自分を責めすぎず、思い切って環境を変えてみるのも方法の一つです。

 

他人からの低評価

自尊心の低さにも通じるものがありますが、他人から正しく評価されない状態が続くと、ネガティブ思考がループする原因となります。

 

良い行いをしたにもかかわらず評価されなかったり、ミスを自分一人に押し付けられたりした経験のある方も多いのではないでしょうか。

 

人は誰でも、自分を自分で評価するだけに留まらず、周りからの目を気にしながら生きています。

 

努力したことや時間をかけて行ったことなどを周りから正しく評価されてこそ、頑張りが報われ次へのやる気となるのです。

 

他人からの低評価が続くと、自尊心が低くなり「自分ではできない」と考えるようになります。

 

モチベーションが上がらず失敗することも多くなり、再び他人から低い評価をつけられるといった悪循環に陥ってしまうでしょう。

 

ネガティブ思考とうつ病の違い

 

ネガティブ思考が続くと、「自分はうつ病ではないか」と考える人も多いでしょう。

 

精神疾患の代表的存在であるうつ病は、今も多くの人が苦しんでいる病の一つです。

 

うつ病は自分一人が頑張っても治ることがなく、精神科や心療内科で正しい治療を受けなくてはなりません。

 

実際にうつ病の症状にはネガティブ思考が含まれており、気持ちが沈んだ状態が続いたり、自分を責めたりする人も珍しくありません。

 

しかし、ネガティブ思考が続くからといって、必ずしもうつ病に当てはまるわけではありません。

 

病気ではない単なる思考である場合もあれば、うつ病以外の疾患が隠れている場合もあるでしょう。

 

気持ちが落ち込みやすいからといって自己判断でうつ病を疑うよりも、専門家に正しく判断してもらうことが大切です。

 

さらに、うつ病と診断されていても、特に気持ちの落ち込みや自尊心の低さといった症状が見られないケースもたくさんあります。

 

患者一人ひとりによって症状が大きく異なり、対処法も異なるのが精神疾患の難しいところ。

 

治るまでにも時間がかかりやすいため、通うのに負担がかかりにくく相談しやすい医師を探す必要があります。

 

ネガティブ思考の治し方はある?

 

うつ病などさまざまな精神疾患によりネガティブな思考になってしまう場合は、専門家と一緒に治療法を考える必要があります。

 

人によって適切な治療法は異なりますが、使われることの多いものには「認知行動療法」「マインドフルネス」などが挙げられます。

 

また、ネガティブ思考を治すためには、医師による治療だけでは不十分です。

 

自分でできることを試しながら、生活習慣を正していくことこそ、ポジティブ思考への第一歩といえるでしょう。

 

認知行動療法

認知行動療法は、うつ病をはじめとするさまざまな精神疾患に効果が得られやすいとして多くの医療機関で注目されている治療法です。

 

先ほども触れた「認知の歪み」を正し、ネガティブ思考から脱却するためにも役立つといわれています。

 

通常私たちが何かに挑戦するとき、全て完了したならば「良かった」、何一つとして終わらなかったのであれば「ダメだった」、半分終わったならば「半分はできた」と捉えるでしょう。

 

しかし認知に歪みがあると、例え半分は終わっていたとしても、「全てできなかったのだからこの半分は無意味だ」と感じてしまうのです。

 

認知行動療法では、まずこの歪みに本人が気づくことから始まります。

 

専門家による指摘を受けながら考え方を正し、自然と「半分はできた」という考えに近づけていくことが目標です。

 

このようなバランスの良い考え方は多くの場面で必要となるため、認知の歪みを正すことでさまざまな疾患に対応できると考えられているのです。

 

マインドフルネス

私たちがネガティブ思考に陥るとき、そのほとんどは過去の失敗を後悔していたり、未来で挑戦することに不安を覚えていたりするでしょう。

 

マインドフルネスでは、瞑想をすることで「現在の自分」に焦点を当てることを目的としています。

 

目を閉じて楽な姿勢をとり、自分の呼吸に集中することで意識をクリアに保てるでしょう。

 

気持ちが落ち着くような音楽をかけながら瞑想することで、心の深いところからリラックスしてみるのもおすすめですよ。

 

リフレーミング

リフレーミングとは、偏った考え方をしてしまうネガティブ思考に対し、別の考え方に気が付くことで思考の幅を広げる治療法です。

 

先ほども触れた例でいえば、一つのタスクに対して「終わっている」「終わっていない」と極端に考えるよりも、「半分終わっているから後はもう少しだ」という新たな考えに気が付くことが大切です。

 

自分の気持ちが全てではなく、新たな考え方も取り入れることで、自分の中に眠っているポジティブな気持ちにも気が付きやすくなるでしょう。

 

書き出し

ネガティブ思考のループに陥ってしまうと、頭の中で考えが巡り始め、他のことが考えられなくなってしまいます。

 

悪い内容で頭がいっぱいになるため、嬉しいことや楽しいことがあっても喜ぶ気持ちが入り込む隙がありません。

 

そこで、自分の気持ちを整理するためにも、思ったことを何でも紙に書きだしてみるのがおすすめです。

 

一度紙に書いてアウトプットした内容は再び深く思考せずに済むため、次第に頭の中に余裕が生まれてくるでしょう。

 

ここで紙に書く内容は、周りのことを考える必要も、誰かに気を遣う必要もありません。

 

自分もしくは医師だけが見られる内容として、どんなことでも気にせず書き留めていきましょう。

 

イベントなどに積極的に参加

ネガティブ思考で頭がいっぱいになってしまうのは、ほとんどが一人で過ごしている時間ではないでしょうか。

 

誰とも会話をせず自分に意識を向けているからこそ、悪い内容が頭を占め、ループから抜け出しにくくなってしまいます。

 

そんなときは、自分が参加しやすいイベントを探し、いつもとは違う環境に身を置いてみるのがおすすめです。

 

これまで会ったことのない人と積極的に関わることで、過去にとらわれず新たな考えが浮かびやすくなります。

 

数々のイベントを主催している病院もあるため、同じネガティブ思考に悩んでいる人と話す機会も探しやすいでしょう。

 

自分一人で抱え込むのではなく、周りを頼りながら少しずつ改善を目指すことが大切です。

 

運動

適度な運動を続けることは、ネガティブ思考から脱却するために重要なポイントといえます。

 

体を動かすと脳から「セロトニン」と呼ばれる物質が分泌されます。

 

これはドーパミン・オキシトシンと並んで「三大幸せホルモン」と呼ばれており、精神を安定させるはたらきを担っています。

 

喜んだときに分泌されるドーパミン・不安を感じたときに分泌されるノルアドレナリンの量をコントロールするためにもはたらいており、不安に支配されやすい人にとっても必要な成分といえるでしょう。

 

運動を行う上で大切なのは、「なるべく継続する」ということです。初日に過剰な運動を行うのではなく、まずは数分単位から始めましょう。

 

健康的な生活習慣を維持

身体的な健康にとってはもちろん、メンタルを強く保つためにも、生活習慣の改善は必要不可欠です。

 

夜更かしや朝食を抜く、好きなものだけを食べるといった生活習慣の乱れは、栄養不足や睡眠不足を引き起こします。

 

これが続けば続くほど精神は不安定になり、ネガティブ思考から抜け出せなくなってしまうのです。

 

まずは食事や入浴・睡眠の時間を揃え、毎日同じサイクルで生活できるように調整してみましょう。

 

朝起きたらすぐにカーテンを開け、日の光を浴びて脳を活性化させます。

 

タンパク質・脂質・炭水化物・ビタミン・ミネラルのバランスを考えながら、偏りのない食生活を心掛けることも大切です。

 

【まとめ】ネガティブ思考は病気ではない

ネガティブ思考は決して病気ではないものの、放置すればさまざまな精神疾患を発症する可能性があります。

 

「これが自分だから」と諦めるのではなく、生活習慣を整えながら頭の中を整理してみましょう。

 

時には専門家に相談し、自分に合った対策を模索することも大切です。

 

重要なのは、ネガティブ思考も「自分の一部」だと考えること。

 

ネガティブになってしまう自分が悪いのではなく、あくまでもポジティブなことを考える余裕がないだけだと理解しましょう。

 

たくさんの時間をかけながら、無理することなく治療に挑んでみてはいかがでしょうか。


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