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2022.07.24 ぽっかり空いた時間と心の隙間【山口乃々華 / コトノハ日和 vol.06】

この本を読みたい!山口乃々華自分を知る

言葉があるから伝えられること、伝わること。そこから広がっていく思考、癒し、つながり、希望、愛情・・・深くて力強いもの。女優 山口乃々華が、心に舞い落ちてきた“コトノハ(言葉)”を拾い集めて、じっくりと見つめ、ゆっくりと味わい、思いのままに綴っていく連載。さあ、一緒に元気になりましょう。


誠実と正直は違う

nonoka

7月、夏真っ只中。アツい夏になるぞ〜と意気込んでいましたが、出演する予定の舞台が新型コロナウイルスの影響により全公演中止となりました。カンパニー全員で力を合わせてきたものが、お客様に届けられず、完成されない歯痒さ、悔しさが私のなかにこもっていた熱をさーっと冷ました。こればかりは仕方ない、仕方ないのだけれど。


こういった経験は、あまりしたくないなと思った。このコロナ禍でたくさんの人が同じような、それよりもっと大変な、生活に支障をきたすほどの問題を抱えて、やるせない気持ちになっていただろう。
こんなことに“慣れる”なんて、あまりに辛いけれど、強くならねばやっていけなかった人もたくさんいるだろう。すでに”あるある”と化したこの状況、乗り越えていくしかない。


そう思っていた矢先、今回共演していた先輩から、メッセージが届いた。
「残念なことになったね。でも大丈夫よ、きっとまたみんなで作品を作れるはず!」と本当はもっと長文だったけれど、こんな雰囲気の優しい言葉をいただいた。

この作品には関わりのない人からもいろんな言葉をかけてもらって、とても励まされた。
”同じ気持ちだよ”が本当に同じだと感じるときと、例え違っていても、元気をくれようと私の心に寄り添ってくれたときがあるけれど、どちらも温かいなぁと思う。みんな優しい。


私は、ぽっかり空いた時間をどうにか埋めようと部屋を見渡した。まだ読んでいない本がたくさんあった。うちの本棚は、いただいた本と私の好きな作家さんの本といろいろごちゃ混ぜになっていた。そんななかから気になったものを手に取って、パラパラとめくってみた。


『降伏の記憶』植本一子さん。
この本、とっても分厚い。なんだか気になる。そう思った私は本格的に読んでみることにした。

淡々と、本当に正直なままの言葉が並んでいて、日記のように綴られた一冊だった。そんな文章を読んでいると、体温まで伝わってくるようで、人間の体温ってだいたいみんな一緒なんだなぁと安心する。見えないところがそんなに違わないのなら、人を冷たいと感じたり、温かいと感じたりする、心の感覚だってそんなに違いはないのかもしれないと思う。わかりあうことは難しくても、同じように思う、ということが私は一人じゃないんだ、と感じさせてくれた。


それにしても、私は、今生きているこの世界をこれほど正直に捉えられるだろうか。生きやすいように、装飾してばかりな気がしてきた。

人間関係においては、なるべく人を嫌いにならないように、という気持ちが働く。少し嫌だなと思っても、あまり気にしたくない。誰かをものすごく嫌いになると、私の世界が暗くなり、どんどん性格が悪くなっていく気がする。しかし、一番の理由は、どうしようもなく自分が傷つきたくないだけなのかもしれない。


この日記には、物事や人への下心も、隠すことなく書かれているように感じた。私は、下心をなるべく隠したいと思ってしまう。心の奥底で思っていることがバレバレなのは、恥ずかしい。それに、なんだか欲望っていけないもののように感じてしまう。

最初はそんなふうに捉えていた”下心”だけれど、段々と決して悪いものではないと思った。だからこそたどり着ける真実があったり、自分の心に一番近い声だったりするよなぁと思った。素直な気持ちを伝えられる間柄の人が多くなれば、もっと世の中に許されたように感じるのではないだろうか。その世界はきっと居心地がいいだろう。

しかし、この本のなかに“誠実と正直は違うと思っている”という言葉もあって、間違えてはいけないなと思った。
自分勝手な意見ばかりを伝えては、相手への思いやりを忘れてしまうだろう。私は傷つきたくないし、傷つけたくもない。相手と対話するとき、私自身が誠実であれば、正直な心だって棘にはならないだろう。


降伏の記憶ー-誰かを求め、自分のなかを答え合わせしていく植本さんの日々に私も重なるものがあった。

自分の生活とは違う、他人のリアルな日々。それを読むことは、たとえ筆者と会話することができたとしても、それよりも近く、深く、肌感覚的なものまで感じられる気がする。不思議。
そして、“本のなかの他者の生活”に私の心を一瞬でも置けることが、ポカンと空いた心の隙間を埋め、救いになったりする。

居心地の良い世界が、読んでいる時間にはあった。
ただ読んでいるだけの私だけれど、受け止めてもらえたような気持ちになった。


nonoka


Profile
山口乃々華(やまぐちののか)
2014年からE-girls主演のオムニバスドラマ「恋文日和」第7話にて主演を務め女優業をスタート。映画『イタズラなKiss THE MOVIE』シリーズ、ドラマ・映画『HiGH & LOW』シリーズほか、2020年には『私がモテてどうすんだ』のヒロイン役など、数々の作品に出演。 2020年末までE-girlsとしての活動を経て、2021年より女優業として本格的に活動を開始。2021年3月、初のミュージカル『INTERVIEW~お願い、誰か助けて~』、同8月にはミュージカル『ジェイミー』、2022年3~4月はミュージカル『あなたの初恋探します』でヒロインを演じた。ドラマは現在「ビッ友×戦士 キラメキパワーズ」(テレビ東京系)に出演中。書籍『ののペディア 心の記憶』(幻冬舎文庫)も好評で、文章を書くことも好き。2022年10月にはconSept Musical Drama #7『SERI〜ひとつのいのち』でミュージカル初主演を務める。
https://www.ldh.co.jp/management/yamaguchi_n
Instagram  @yamaguchi_nonoka_official


TEXT = 山口乃々華

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