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“ものづくりのルーツ”は、心がワクワクするこのアイテム【デザイナー 中山路子のお気に入りLIST】

その道のプロに聞く、今の自分に必要なお気に入りアイテム。今回は、「ミュベール」のデザイナー 中山路子さんに5つの大切なアイテムを見せていただきました。


自分の世界観を創り上げてきた宝物たち

温もりを感じる刺繍や動植物のモチーフ。女性たちがときめく要素をぎゅっと詰め込んだ服や小物をつくり続ける、中山さん。彼女のクリエイティビティに影響を与えてきたというアイテムには、幼いころから大切にしてきた精神や哲学が息づいていました。

中山路子

子どものころに出合った、ピーターラビットの絵本

繊細なイラストのタッチやストーリー、文字のグラフィック含め、世界観が大好きで、引っ越しのたびにずっと持ち歩いてきたというピーターラビットの絵本。

「アメリカに留学していた、いとこのお兄さんのお土産です。ピーターラビットシリーズ全巻を買ってきてくれて、いとこ皆に一人一冊ずつ持って帰りなさい、と言われて選んだのがこちらの絵本でした。折に触れては見返して大好きな世界観に浸っています」

ファッションに本格的に目覚めたのは意外にも大学生になってから、という中山さん。ただ手芸は子供のころから好きで、ピーターラビットの世界を刺繍していた時期もあったのだとか。「大人になっても、好きなものはずっと変わらないかもしれないですね」と、2年ほど前に念願叶ってミュベールがピーターラビットとコラボレーションできたことは「忘れられない仕事」の一つになったそう。

中山路子

控えめな輝きに魅了、陶器のネックレス&ベース

ヴィンテージショップで20年ほど前に手に入れたという、珍しい陶器のネックレス(右)。
「もっと濃いグリーンだったのですが、経年劣化で柔らかいグリーンに。独特の控えめな輝きがすごく好きです。変化を楽しみながら身につけたい“マイ ヴィンテージ”ですね」

もう一つ、フラワーベース(左)はNYの蚤の市でみつけたものだそう。バラの絵付けやゴールドの持ち手もさりげなくてエレガントです。
「花を飾るのはもちろん、インテリアとして置いていても絵になります。ちょっと口が割れてしまったので、金継ぎをしようかと思っています」

時を経るごとに価値を増していくアイテム。中山さんが生み出すヴィンテージライクなデザインのルーツになっているようです。

中山路子

家族の愛がたくさんつまった思い出のバッグ

ブドウの刺繍があしらわれたバッグ(右)は、中山さんのお母様の手作り。
「実は、父のコーデュロイパンツを裾上げしたときに出た切れ端で作られたものなのです。姉がいるのですが、片足分ずつ使って、ボタンを色違いにしてお揃いで作ってくれました」
ブドウの色がグラデーションになっていたり、ディテールもおしゃれ! 「母が家族の洋服を作り、それを大切に着るザ・昭和の家庭でしたね」と、ほっこりするエピソードも。

ラタンのバッグ(左)は、幼稚園の通園バッグだったそう。
「当時、今の天皇陛下が持っていた“なるちゃんバスケット”の名残ですね。今ではバッグインバッグにしたり、おうちで大切なものをしまっておいたりと、愛用してます」

物を大切にケアしながら使い続けた幼いころのエッセンス。中山さんの服作りが、ずっと“大切に着続けたくなる”ものをという思いがベースになっているのも、そんな背景があってこそなのですね。

中山路子

Profile
中山路子(なかやまみちこ)
「ミュベール」デザイナー。東京都出身、服飾学校を卒業後、アパレルメーカーに勤務。2007-2008年秋冬より「ミュベール」をスタート。懐かしさを感じる刺繍や動植物のプリントなど、乙女心をくすぐる独自のデザインが人気に。2017年6月、新ブランド「M」を発表し、神田明神内にあるビルの一室にギャラリー兼ショップをオープン。2021年よりスタートした浴衣やファミリアと協業したキッズアイテムほか、スターウォーズやピーターラビット等のコラボレーションも話題に。
https://www.muveil.com/
Instagram @muveil_official


TEXT = 菅原絢子
PHOTO = 松木宏祐

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