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想いと思い出が込められた大切な存在に囲まれて【素敵な彼女のタカラモノ拝見 vol.03】

蚤の市で見つけた掘り出し物、祖母や母から受け継いだ大切な品、そして小さい頃から愛用している分身のようなアイテムまで、年月を超えて大切にされてきた品々は暮らしに豊かなストーリーを添えてくれます。おしゃれに暮らす素敵な女性たちに「いつまでも大切にしたいアイテム」を見せていただきました。今回は、書籍PR 奥村知花さんの4つの“タカラモノ”をご紹介します。


古き良き時代の「ていねいな仕事」と暮らす

書籍PRとして、多くの人々に届けたい本だけを伝え続けている奥村知花さん。ご自宅は物語のなかの古い邸宅を訪れたような錯覚を覚えるほど、洋の東西を問わず、時代を超えたアンティークの品々がどっしりとそこに備えられています。それらは親族から受け継いだものであったり、旅先で運命的に出合ったものであったり。そんな彼女の大切なアイテムと、一緒に育んできたエピソードとはーー。

奥村知花

昭和初期の桜の木の食器棚

「17、18年前、初めて一人暮らし用の小さなマンションを借りたとき、下北沢の古道具屋さんで出合った」というのが、この食器棚。あまりの美しさに一目惚れして、当時の金銭感覚では「本当に清水の舞台から飛び降りるような気持ち」で手に入れたそう。
「思いきって手に入れてよかったです。20年近く経った今も、ダイニングのインテリアの軸として美しい景色をつくってくれています」

奥村知花

祖父からもらった小物入れとモロッコのティーポット

先程の食器棚の隣に置いてあるのは、祖父から譲り受けたという長崎螺鈿の小物入れと、その隣にあるのは旅先で手に入れたアンティークのモロッコティーポット。長崎螺鈿の小物入れは、ちょっとした実用的なものを入れているそう。まるでお雛様の家財道具のような、繊細な美しさです。
「モロッコのティーポットは、夫と初めてモロッコ旅行に出かけたときに、旅先でずっと探しまくって見つけたお気に入り。持ち手が木でできているので、持ったときも熱くない珍しいものです。いずれもダイニングの大切な主役です」

奥村知花

祖母が手がけたタペストリー

ダイニングの壁に飾っているのは、タペストリーを額装したもの。
「若い頃にスウェーデンへ織物を学びに渡航したことのある祖母が手がけた、クレーの模写です。愛猫が引っ掻いて乱れてしまった部分もあるけれど、手作りの丁寧な仕上げ、そして大好きな祖母の手がけた作品を毎日眺めて過ごせることはとても幸せです」

見るたびに、手にするたびに、気持ちが和らぐ大切なものたち。そのアイテム自体が持つヒストリー、そしてそのアイテムと自分の間をつなぐヒストリーも大切に感じながら、日々の暮らしを送ることができたら幸せです。

奥村知花

Profile
奥村知花(おくむらちか)
書籍PR。アパレル商社、レストラン業界を経て書籍専門の広報として、フリーで活動。新刊のPRのほか、「本しゃべりすと」という肩書きでエッセイ執筆やラジオ番組出演などを行っている。


TEXT = 吉野ユリ子
PHOTO = 名和真紀子

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