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頭も身体も心も目を覚ます⁈冷たい水風呂でメンタルヘルスが改善!

堀江知子(ほりえ ともこ)

 

あなたは「コールド・プランジ(Cold Plunge)」という言葉を耳にしたことがありますか。

 

直訳すると「冷たい水に飛び込む」、つまり水風呂のことです。

 

最近、SNSでインフルエンサーたちが投稿している動画、凍るような冷たい水風呂に入っているアレです。

 

グウィネス・パルトロウ、ヴィクトリア・ベッカムやレディー・ガガなど多くのセレブがこのトレンドに乗っています。

 

しかし、健康ブームにのっているこの水風呂、実際にはどのくらい体に良いのでしょうか?

 

また、どういう人がやると効果的なのでしょう?

 

実は、最近の研究で、水風呂は健康面だけでなく、メンタルにも有益であることがわかってきています。

 

水風呂って体に良いの?

英語でいう、この「コールド・プランジ」には、冷たいシャワーを浴びたり、冷たい海で泳いだり、専用の冷水浴槽を使ったりすることも含まれます。

 

アスリートの中には、身体の回復を促すために冷水を利用する人もいます。

 

実際、人類は何世紀にもわたって、さまざまな治療効果のために、さまざまな形で冷水を利用してきました。

 

スポーツ医学の医者であるマーク・スラボー医学博士は、「臨床的には、1時間以上の激しい運動をするすべての患者にとって、水風呂に体を浸らせる療法は、炎症や痛みの軽減に役立つことがわかりました」と話す。

 

体への影響は納得できるが、それでは、メンタル面でのメリットについてはどうなのだろう?

 

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メンタルにも効果がある?

理学療法士であるオコン・アンティア氏は、「冷たい温度にさらされると、身体は鎮痛剤の役割をするエンドルフィンを分泌します。また、冷たい温度は、身体のストレスを安定させるなどの長期的な効果もある」と指摘します。

 

「温度が急降下することで、精神的なタフさと規律が鍛えられます。これは心のトレーニングのようなもので、快適なゾーンから押し出され、不快なことに対処することを教えてくれます」。

 

実際に水風呂を試した多くの人たちからも、水風呂によって不安やうつ病の改善に大きな変化があったという声が聞かれます。

 

新しい研究で、オレゴン大学のミンソン博士は、参加者(全員が精神的に健康であると報告した)のストレスホルモンであるコルチゾールのレベルが、冷たい水に浸かった後に低下し、その後3時間まで低いままであることを発見しました。

 

また、冷たい水に浸かった後、参加者たちは、ネガティブな感情を抱くことが少なくなり、気分が良くなったという報告も出ています。

 

氷の入った浴槽に座ることと気分が良くなることがどのように関係しているのか、正確なことはまだ解明されていません。

 

しかし、数分間、冷水に浸るというような、つらいことを成し遂げるという行為には、精神衛生上の効果がある可能性はあると、精神科医エレン・ヴォラ医学博士は言います。

 

水の中に入り、不快感を感じながらも水の中にとどまることは、困難に立ち向かい目標を達成した自分の能力を信じる結果になります。

 

「(水風呂は)私たちの人生で起こる挑戦の予行演習になります」とヴォラ博士は説明しています。

 

とんでもなく冷たい水に体を浸すことは、過去や未来について考えるのではなく、今起こっていることに集中するための活動としても役立ちます。

 

セラピストのケリー・マッケンナ氏は、「不安な思いを抑えられるのは、今を生きているときです」と説明しています。

 

「今この瞬間に集中することは、不安に対する非常に強力な対処法です。よって冷水に浸かることは不安を軽減するのにまさに有効なんです」。

 

うつ病の最も一般的な症状のひとつは、「何も楽しくない」と感じることです。

 

大好きな食べ物もワクワクしないし、好きな番組もつまらなくなります。

 

しかし、適度な運動という形で身体に少しストレスを与えるだけで、そのような感情が軽減されることがわかっているとヴォラ博士。

 

「水風呂につかることも身体的なストレスになるので、同じことができる可能性があります」

 

水風呂とメンタルヘルスの関係に関する研究はまだ必要で、いかに有効かに関する研究は限られているものの、水風呂への期待は今後も高まる可能性があると言えるでしょう。

 

ただ、冷水を浴びることは、メンタルヘルスの専門家に診察してもらうことの代わりにはなりません。

 

日常生活に支障をきたすような不安や憂鬱を感じている人は、メンタルヘルス治療を受けることが重要です」と、臨床ディレクターのジェイ・サーレ博士は指摘します。

 

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リスクは?

健康な人であれば、水風呂にそれほどリスクはありませんが、何らかの持病がある人は、水風呂に入る前に医師に相談すべきでしょう。

 

高血圧低血圧など心臓血管に問題のある人は、特にリスクが高いとスラボー博士。

 

「寒冷療法の衝撃が動悸やその他の心臓合併症を引き起こす可能性があります」。

 

健康な人であっても、水風呂は血圧を上昇させたり、ショックを引き起こしたりする危険性があります。

 

また、冷水に浸かる時間が長すぎると、凍傷や低体温症になる危険性も。

 

自宅でのやり方

最初は少しずつ始めることが大切です。

 

スラボー博士は、まずは2分間くらいの短い入浴から始めて、徐々に長くしていくことを勧めています。

 

すぐに氷水の入ったバケツに飛び込む必要もありません。スラボー博士は「15度(セ氏)くらいのぬるめのお湯から始めて、短時間つかる」ことを勧めています。

 

ウェルネスコーチのクイグリー氏は「冷水浴の効果は期待できますが、すべての人に合うとは限りません」と指摘します。

 

また、彼女は冷たいシャワーを浴びることに抵抗があっても、健康上の利点に興味があるのであれば、15度前後の涼しいシャワーを浴びることをお勧めしています。

 

これだけでも、ストレスの軽減やエネルギーの高まりを実感できるでしょう。

 

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日本のサウナブーム

日本でも最近はサウナがはやっていますね。

 

その影響を受け、身の回りでも手軽に水風呂に挑戦するチャンスが広がっています。

 

健康や美容に注目する人々にとって、この機会は見逃せません。

 

ただ、このトレンドを単なる一過性のものとして追いかけるだけでなく、長く続けられるあなたなりの方法を模索することが重要です。

 

大事なのは、自分に合ったペースで取り組むこと。

 

日本では、まず水シャワーが、日々の生活に組み込みやすい健康法になるかもしれません。

 

流行を取り入れつつ、自分らしい方法で健康な未来を築いていけると良いですね。

 

参考:The Benefits of Cold Plunges For Mental Health – The Good Trade

参考:https://www.wondermind.com/article/cold-plunge-benefits/

 

ライター:プロフィール

著者:堀江知子(ほりえともこ)|タンザニア在住ライター

民放キー局にて、15年以上にわたりアメリカ文化や社会問題についての取材を行ってきた。

2022年からはタンザニアに移住しフリーランスとして活動している。

noteやTwitterのSNSや日本メディアを通じて、アフリカの情報や見解を独自の視点から発信中。

出版書籍:『40代からの人生が楽しくなる タンザニアのすごい思考法 Kindle版』

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