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メンタルヘルスマネジメント検定とは?日程や合格率を解説

職場ではさまざまな立場の人と一緒に働かなければならず、考え方や価値観の違いから人間関係がうまくいかないこともあります。

 

また、膨大な仕事に追われ、大きなストレスを感じている方も多いでしょう。

 

このようなメンタル面での不安や不調は仕事にも影響を与え、生産性の低下や休職・退職を余儀なくされることもあります。

 

そこでおすすめしたいのが、メンタルヘルスマネジメント検定とよばれる資格の取得です。

 

メンタルヘルスマネジメント検定とはどういった資格なのか、取得することで何に役立てられるのか、勉強のコツなども含めて詳しく解説します。

 

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メンタルヘルスマネジメント検定とは?

 

メンタルヘルスマネジメント検定とは、大阪商工会議所と施行商工会議所が主催している民間資格です。

 

労働者のメンタルケアを職場内で実践するために、必要な知識や正しい対処方法を習得することを目的に運用されています。

 

長引く不況によって経済的な問題を抱える人も多く、また、職場のストレスや人間関係の悩みなど、さまざまな要因が重なり心理的な不調を訴える人も少なくありません。

 

精神的なストレスや不安は仕事のパフォーマンスにも影響し、企業として生産性の低下を招くリスクもあることから、社員のメンタルヘルスケアは重要な取り組みといえるのです。

 

社員のメンタルケアを正しく実践するためにも、メンタルヘルスマネジメント検定を通して正しい知識を習得することが求められます。

 

メンタルヘルスマネジメント検定は全国15都市の指定会場で一斉に実施される公開試験と、企業や団体、学校などで受験日程を任意に設定し受験できる団体特別試験があります。

 

このうち、公開試験の試験概要は以下の通りです。

 

【主催】

  • 大阪商工会議所・施行商工会議所(後援:日本商工会議所)

【受験資格】

  • 学歴・年齢・性別・国籍を問わず誰でも受験可能

【受験料】

  • Ⅰ種(マスターコース):11,550円(税込)
  • Ⅱ種(ラインケアコース):7,480円(税込)
  • Ⅲ種(セルフケアコース):5,280円(税込)

【2023年度の試験日程】

  • 【終了】2023年11月5日(日):Ⅰ種(マスターコース)・Ⅱ種(ラインケアコース)・Ⅲ種(セルフケアコース)
  • 2024年3月17日(日):Ⅱ種(ラインケアコース)・Ⅲ種(セルフケアコース)

【試験時間】

  • Ⅰ種(マスターコース):前半(選択問題)2時間 後半(論述問題)1時間
  • Ⅱ種(ラインケアコース):2時間
  • Ⅲ種(セルフケアコース):2時間

 

なお、団体特別試験の場合はⅡ種・Ⅲ種のみが対象となり、受験料はⅡ種が5,980円、Ⅲ種が4,220円となっています。

 

メンタルヘルスマネジメント検定の3コース

 

試験概要でも紹介した通り、メンタルヘルスマネジメント検定にはⅠ種(マスターコース)Ⅱ種(ラインケアコース)Ⅲ種(セルフケアコース)の3つのコースが用意されています。

 

それぞれの違いについて詳しく解説しましょう。

 

Ⅰ種(マスターコース)

Ⅰ種のマスターコースは、社内や組織内におけるメンタルヘルス対策を推進することを目的として、主に人事労務管理スタッフや経営幹部を対象に行われる試験です。

 

この試験に合格した場合の到達目標は以下のように設定されています。

 

  • 「自社の人事戦略・方針を踏まえたうえで、メンタルヘルスケア計画、産業保健スタッフや他の専門機関との連携、従業員への教育・研修等に関する企画・立案・実施ができる。」

 

 ▶︎メンタルヘルスマネジメント検定試験の概要についてはこちら

 

Ⅱ種(ラインケアコース)

Ⅱ種のラインケアコースは、特定の部門内および、上司の立場から部下のメンタルヘルス対策を推進することを目的として、管理職やマネージャー、リーダーを対象に行われる試験です。

 

この試験に合格した場合の到達目標は以下のように設定されています。

 

  • 「部下が不調に陥らないよう普段から配慮するとともに、部下に不調が見受けられた場合には安全配慮義務に則った対応を行うことができる。」

 

 ▶︎メンタルヘルスマネジメント検定試験の概要についてはこちら

 

Ⅲ種(セルフケアコース)

Ⅲ種のセルフケアコースは、社員が自分自身のメンタルヘルス対策を適切に推進するために、一般社員を対象に行われる試験です。

 

この試験に合格した場合の到達目標は以下のように設定されています。

 

  • 「自らのストレスの状況・状態を把握することにより、不調に早期に気づき、自らケアを行い、必要であれば助けを求めることができる。」

 

 ▶︎メンタルヘルスマネジメント検定試験の概要についてはこちら

 

メンタルヘルスマネジメント検定の出題範囲

メンタルヘルスマネジメント検定は3つのコースが存在しますが、試験内容にはどのような違いがあるのでしょうか。

 

出題範囲や内容の違いについて詳しく紹介しましょう。

 

Ⅰ種(マスターコース)

Ⅰ種のマスターコースは、3つのコースのなかでも特に出題範囲が広く、以下の9項目が対象となっています。

 

  1. 企業経営におけるメンタルヘルス対策の意義と重要性
  2. メンタルヘルスケアの活動領域と人事労務部門の役割
  3. ストレスおよびメンタルヘルスに関する基礎知識
  4. 人事労務管理スタッフに求められる能力
  5. メンタルヘルスケアに関する方針と計画
  6. 産業保健スタッフ等の活用による心の健康管理の推進
  7. 相談体制の確立
  8. 教育研修
  9. 職場環境等の改善

 

いち従業員や管理職、リーダーという立場からではなく、経営者や人事として社内全体を俯瞰して考える必要があり、相談体制や教育研修、職場環境の改善といった内容も範囲に含まれます。

 

配点および合格基準は以下の通りです。

 

【配点】

①選択問題 100点

②論述問題 50点

 

【合格基準】

①②の得点の合計が105点以上

※ただし、論述問題の得点が25点以上

 

Ⅱ種(ラインケアコース)

Ⅱ種のラインケアコースは、Ⅰ種のマスターコースに次いで広範囲の7項目が出題されます。

 

  1. メンタルヘルスケアの意義と管理監督者の役割
  2. ストレスおよびメンタルヘルスに関する基礎知識
  3. 職場環境等の評価および改善の方法
  4. 個々の労働者への配慮
  5. 労働者からの相談への対応 (話の聴き方、情報提供および助言の方法等)
  6. 社内外資源との連携
  7. 心の健康問題をもつ復職者への支援の方法

 

管理職やリーダーとしてどのように部下に接したら良いのか、一人ひとりへの配慮や相談への対応方法、支援方法なども学びます。

 

配点および合格基準は以下の通りです。

 

【配点】

選択問題 100点

 

【合格基準】

70点以上

 

Ⅲ種(セルフケアコース)

Ⅲ種のセルフケアコースは、以下の6項目が出題されます。

 

  1. メンタルヘルスケアの意義
  2. ストレスおよびメンタルヘルスに関する基礎知識
  3. セルフケアの重要性
  4. ストレスへの気づき方
  5. ストレスへの対処、軽減の方法
  6. 社内外資源の活用

 

社員個人を対象とした試験であることから、メンタルヘルスケアの重要性や対処方法など基礎的な内容が中心となっています。

 

配点および合格基準は以下の通りです。

 

【配点】

選択問題 100点

 

【合格基準】

70点以上

 

メンタルヘルスマネジメント検定の合格率

 

一口に検定試験や資格試験といっても、試験によって難易度は異なります。

 

メンタルヘルスマネジメント検定の場合、どの程度の合格率なのでしょうか。

 

大きな傾向を見ると、Ⅲ種(セルフケアコース)がもっとも合格率が高く、Ⅱ種(ラインケアコース)、Ⅰ種(マスターコース)と上位になるほど合格率は下がっていきます。

 

試験の実施年度によっても多少の差はありますが、たとえば2022年度の試験結果は以下の通りです。

 

【第34回試験】 2023年3月19日(日)

 

Ⅱ種(ラインケアコース) 実受験者(11,918人) 合格者数(6,444人) 合格率(54.1%)

Ⅲ種(セルフケアコース) 実受験者(5,035人) 合格者数(3,995人) 合格率(79.3%)

 

【第33回試験】 2022年11月6日(日)

 

Ⅰ種(マスターコース) 実受験者(1.628人) 合格者数(287人) 合格率(17.6%)

Ⅱ種(ラインケアコース) 実受験者(10,998人) 合格者数(6,401人) 合格率(58.2%)

Ⅲ種(セルフケアコース) 実受験者(5,458人) 合格者数(3,787人) 合格率(69.4%)

 

過去の複数回のデータを分析してみても、Ⅰ種の場合は15〜20%前後、Ⅱ種が50〜60%、Ⅲ種が60〜80%程度の合格率で推移しています。

 

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メンタルヘルスマネジメント検定を取るとどんなことに活かせる?

メンタルヘルスマネジメント検定を取得するメリットとしては、社員の健康維持や職場環境の改善につながることが挙げられるでしょう。

 

たとえば、強いストレスや精神的な不調を抱えている人のなかには、自分から悩みを打ち明けられなかったり、どう対処すれば良いのか分からないというケースも少なくありません。

 

メンタルヘルスマネジメント検定を取得していれば、そのような精神的な不調をきたしている人に対し、一言声をかけ、相談に乗ることもできるでしょう。

 

その結果、精神的な問題で退職や休職に至る社員を減らし、働きやすい職場をつくることができます。

 

メンタルヘルスマネジメント検定に合格するための勉強のコツ

メンタルヘルスマネジメント検定に合格するためには、主に公式テキストの内容を繰り返し学習する方法と、受験対策講座を受講する方法があります。

 

公式テキストはⅠ種・Ⅱ種・Ⅲ種それぞれのコース専用のものが販売されており、メンタルヘルスマネジメント検定の公式サイトで購入手続きが可能です。

 

また、同じく公式サイトではⅠ種からⅢ種までの受験対策講座の情報も掲載されています。

 

テキストを使った独学だけでは内容が把握しきれない方や、効率的に試験範囲を学習したいという方は受験対策講座の受講も検討してみましょう。

 

まとめ

メンタルヘルスマネジメント検定は民間資格であり、医師免許のような高度な専門資格ではありません。

 

しかし、企業のなかには資格取得を推奨するケースも多く、実際に毎年多くの方が受験しています。

 

この資格を取得することで、自分自身の精神的な不調やストレスと向き合い適切な対処ができるほか、周囲の社員にも目を配り働きやすい職場が実現できるはずです。

 

経営層や人事担当者、管理職やリーダー、一般社員など、会社や組織で働く方であれば多くの人におすすめの資格です。

 


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