好きという気持ちに真っすぐに生きる【モデル 桐山マキの衣食住遊学】
いつも元気で幸せそうなひとは、自分の周りに“楽しいこと”を育てる種をまいています。
そんな魅力的な方にHummingなライフスタイルのトピックスを伺うシリーズ記事「わたしの衣食住遊学」。
今回はモデルとしてCMや雑誌で幅広く活躍するほか、保護犬の保護活動をライフワークにしている桐山マキさんにご登場いただきます。
Contents
愛する犬たちのために考え、行動する日々
そのエレガントな佇まいと美しさから、ナショナルクライアントの広告出演も多い人気モデル 桐山さん。
プライベートではパートナーと一緒に、現在は3匹の犬と暮らす、賑やかで楽しい毎日を送っています。
愛犬たちは保護環境から迎え入れ、それぞれ異なるルートを経て彼女のもとにやって来ました。
そんな桐山さんのおしゃれや健康へのこだわり、愛犬たちとの愛情あふれる日常とは?
「衣」
一生ものアイテムを探し続けていく
デザインもシルエットもできるだけシンプルであるということが、やはり長く着続けられるポイントなので、服選びにおいてそこはいつもしっかりと意識しています。デザイン性が高すぎるといつか飽きてしまうし、流行りの素材はその時期が過ぎると着こなしづらくなって、なかなか長く着ることが難しいですよね。
素材は、カシミアやコットンが好きです。コットンはバシャバシャと洗ってデイリーに着られるラフさも、くたくたの味わい深い風合いになって自分に馴染んでいくプロセスもいいですよね。20年選手のロンTも活躍しています。
そんななかで出合った一生ものアイテムの一つが、古着屋さんで見つけたエルメスのヴィンテージコート。いわゆる“マルジェラ期”のもので、私はもともとマルジェラが好きなのでビビッときてしまいました(笑)。
カシミア100%で、羽織ったときの軽さと、肌触りと、ジェンダーレスなシルエットにもう感動してしまって。気軽に買えるプライスではなかったのですが、一生大切に着よう!と心に決めて購入しました。ここまで惚れ込めるアイテムには、なかなか出合えませんから、これは運命だなと。
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週末だけオープンする古着屋さんで運命的に出会った。
何度も試着して、羽織るたびに「これだ!」という気持ちが強くなったそう。
このコートで出掛けたときは、帰宅後に毎回きちんとブラシをかけ、特別扱いしてクローゼットの外にディスプレイしています。そこにあって、ただ目に入るだけで自分のモチベーションが上がります。
以前は古着にあまり興味がなかったのですが、最近はとらえ方が変わりました。本当に良いものを時代を超えて使っていく、誰かから受け継いで、もしかしたらいつかまた誰かに受け継ぐかもしれないから大切に扱うー-そんな循環は、素敵なことだなと思って。
今では、自分好みのアイテムと出合えそうな古着屋さんを定期的に覗いたりしています。
もう一点、同じくエルメスのプティアッシュというトートも、これからずっと付き合っていきたいバッグとして手に入れました。
私が愛用しているのは、バーキンやケリーを制作をする過程で本来は捨てられてしまうレザーをフェルトに貼って、新しい命を吹き込まれたエシカルなアイテムです。
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表と裏でも表情が異なっていて、ませに唯一無二の存在感。
バッグのパーツが型抜きされた跡がまるでアート作品のようで、その背景からして同じものは存在せず、このシリーズのバッグはそれぞれが世界で一つだけというのも魅力なのです。
友人のスタイリストから「おしゃれはサイジングがすべて」と聞いて以来、必ず試着して確認しています。サイズが合わないせいで着心地がしっくりこないと、結局は着なくなり無駄になってしまいますから。今どきのゆるっとしたアイテムも、きちんと自分の体型に合ったゆるっと加減なのかを見極めて、着こなしたときに全体のバランスが縦長に見えるようにすることがこだわり。後ろ姿もしっかりと確認しています。
月1のファスティングは、Delifasの大田市場の農家さんから直送される無農薬の新鮮な野菜たちで胃腸から元気に。
「食」
内臓を休め、いたわり、健やかに!
本格的に食にこだわり始めたのは、30歳を過ぎてから。もともとアレルギー体質だったこともあり、ここでしっかりと改善したいと思ったのと、腸とアレルギーはとても密接に関係しているから、そこから見直さないと治らないよと言われたこともあって。
朝は起きがけにミネラルウォーターを飲む、発酵ものを意識して摂る、腸活、温活、食品の添加物をチェックする・・・一つひとつをより気を付けるようになって、口にするもので体ができているのだということを再確認しました。内臓を休めるために、ファスティングも月一回のタームで実行しています。
それまでは間食をしがちだったのが、ファスティングのおかげで、半端な時間に何か食べたくなるということがなくなりました。いくつかの方法を試してみましたが、人からすすめられた“食べながら”できるファスティングを取り入れています。朝にスープ、昼にサラダ、夜にまたスープという消化のいいメニューで、農家さんから送られてくる3日間のセットがあるんですよ。もちろん期間中は空腹感がありますが、3日目にはもう慣れて比較的平気になります。間食がなくなるだけでなく、お酒の量も減るし、眠りも深くなって目覚めもとってもよくなりました。
腸を活動させて体を健康にするには、菌の働きが大事なので、ぬか漬けをつくったり、味噌づくりにも挑戦しています。この前初めて出来上がったのですが、あ~こんなに美味しいんだと感動しました。
初めて自分でつくった味噌がこちら。仕込んでから10ヵ月ほど寝かせて完成するそう。
定期的にリセットすることで、舌が敏感になったというか、あるべき状態に戻ったのか、食べ物の味がよくわかるようになった気がします。添加物が多いものを食べると、頭が痛くなることも。そんな変化も感じています。
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リビングの癒しの存在、エバーフレッシュは育て始めてからかれこれ10年も経つそう。
神奈川県の植物屋さんで購入。当初は半分くらいの大きさだったのが、ここまで成長。
今では「一心同体感!」とまで感じている大切な存在に。
「住」
植物とも会話しています
自宅にはいくつもグリーンを置いて、育てています。
増やそうと思って探しているわけではないのですが、それこそ服と同じで、出かけた先で『わ、このコ、連れて帰りたい!』と、運命的に出合って増えていく感じです。
少し前の出来事なのですが、私が体調を崩してしまい数日間ほど寝込んでしまったことがありました。体調が復活した直後に、いつも話しかけて大事にしているエバーフレッシュがぐったりと元気を失くしているのを見て驚いてしまって。たくさんの葉が床に落ちてしまい、枝も下を向いて垂れていて・・・。何だか私の代わりに悪いものを吸ってくれたのかなとか、寝込んでいた間は声をかけてあげられなかったので、そのせいで元気失くしたのかな・・・と思ったり。
エバーフレッシュは、朝は「おはよ~」ってかんじに葉が開いて、夜になると眠るように閉じるので、まるで人間みたい。元気がないときは見た目ですぐにわかるし、“生きてる”ってかんじがリアルに伝わってきます。植物だけど会話ができる相手という感覚なんですよね(笑)。毎朝、このコの様子を見て挨拶するのが私の日課です。
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〈上〉宮古島のホテル、イラフスイニて。
〈下〉ジャングルのような野性的な植物群に癒されるドッグカフェ、パニパニ。
「遊」
自然と触れ合う旅でリラックスする
一緒に暮らしいるココワカメさんという、元野犬だったうちの愛犬は宮古島のシェルター(SAVE THE ANIMALS)出身です。いつか里帰りさせてあげたいなと考えていたら、メディアの取材でそれが実現できました。シェルターの取り組みも記事で紹介していただけて。
この取材が私にとって初めての宮古島訪問で、愛犬と一緒に行く旅だったこともあり、イラフスイという犬も泊まれるホテルのお世話になりました。犬にもうれしいサービスが用意されていて、本当に快適でした。
宮古島は車がないと移動ができないので、犬OKのレンタカーを利用して、パニパニというジャングルみたいにグリーンに囲まれた素敵なドッグカフェを訪問。ここはもう、近くに住んでいたら毎日通いたくなるような気持のいい場所で、足元は砂浜なので素足で過ごせるし、生い茂った緑に囲まれていて、食事も美味しくて、最高でした。
私は田舎育ちなので自然の中で過ごすこと、とくに緑が多い場所で植物の生命力に触れるととっても癒されるんですよね。
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「学」
犬が好きという気持ちが、情熱を生む
もともと私の実家(桐山さんは大阪出身)では、子供のころから犬と一緒の暮らしが当たり前だったという背景があります。東京に来たばかりのころは犬と暮らせる環境ではなかったので、保護犬のボランティアに参加して犬と触れ合っていました。
そんななかで、保護された犬たちの現実を目の当たりにして、虐待されたり、遺棄された犬たちを保健所から引き揚げてきたときに、彼らの怖がって怯えた様子を見て衝撃を受けました。実家で保護犬を飼っていた経験もあったのですが、そのコの比ではないほど、パニックに陥っている犬もいて。この現実をきちんと知っておくべきだなと思ったんです。
そこから自分ができることを少しずつでもできたらいいなと思って活動を続けています。私自身は、現在は3匹の保護犬出身の犬たちと暮らしています。最初に家族になった小春ちゃんとは「ペットのおうち」という里親さんを見つけるサイトで出会って、何回かの面接を経て引き取りました。2匹めは、宮古島のシェルターからやって来たココワカメさん。3匹めのぶーちゃんは、保護犬の一時預かりボランティアという形で我が家に来てもらっています。ぶーちゃんが加わったことで、ココワカメさんの心が急速に開いていって、言葉で表せないくらいに明るくなったんです。
〈左から〉ココワカメさん、小春ちゃん、ぶーちゃん。
人間と犬だけでなく、犬同士の関係にも変化があって、家族の絆が確実に深まっていることを実感しています。
ココワカメさんのような野犬出身の保護犬は、とても難しいところがあります。うちに来たばかりのころはテーブルの下から怯えて出てきてくれなくて。散歩に連れて行っても安心できないからなのか、外で排泄ができないんですよね。そんな様子を見て、最初のうちは『大丈夫だよ』『出ておいでよ~』なんて声をかけて構っていたんですが、それがよくないのかなと思って、構いすぎるのをやめてみたんです。そうすると逆に、ひょいっとテーブルの下から出てきたりして(笑)。
こちらの、こうした方がいいだろうという思い込みに対して、それは違います、それは求めてません・・・みたいな返しを感じたので、その意思表示をきちんと読み取って、距離感を急いで縮めようとせず、時間をかけて少しずつ歩み寄ったほうがいいんだなということも学びました。今はどういう様子かなと細やかに観察して、想像して、互いにアイコンタクトもできるようになって。そうやって一つずつ信頼関係を深めていくように努めています。
満たされていないと、こういう行動するんだなとか、我慢させちゃったかなと思うときはごめんねと伝えたり。日々、いろいろなことを犬たちから教えられているなと思います。
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5月半ばに、表参道のギャラリー5450 the GALLERYにて保護犬譲渡会を開催。
桐山さんは会場費の提供やPR活動に携わりました。
私は今、保護犬のこと、保護されるまでの虐げれていた環境についても、たんさんの方に知ってもらうことが、動物と幸せに暮らせる社会にしていくために必要だと思って活動しています。その流れで、保護犬の譲渡会の企画も始めました。
犬のために何かをしたいという気持ちに突き動かされていて、それは「好きだからやりたい」という強い想いが原動力。とはいえそれは、人に対して押しつけになってはいけないなと思っています。情報を正しく広く発信して、ペットを探している方たちに保護犬という選択肢もあるなと、とにかく知ってもらうことが大事だなと考えています。動物と人がピースフルに暮らせる世界が広がっていくことを願って、何か少しでも役に立つことができたらうれしいですね。
犬と人間は、互いに愛情を感じ合い、気持ちを交わせる家族。彼らに寄り添いアクションを起こすことは、桐山さんにとって必然であり、一匹でも多くの犬を幸せにできればという希望へと向かっています。揺るぎない情熱と「やりたい」に真っすぐに進むその行動力は、周りの心を動かし、環を広げ、さらなる大きな変化へとつながっていくはずです。
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Profile
桐山マキ(きりやままき)
大阪府箕面市出身。2005年、雑誌「PINKY」の専属モデルとして、モデルデビュー。
『美しい着物』などさまざまな雑誌や、国連の出版物などの表紙・誌面で活躍中。また、パリ、NY、ハンガリーをはじめとする世界のショーにも多数出演。
現在 、アメリカン・エキスプレス、ホットヨガスタジオLAVA、ヤクルト等、11社のCMに出演中。また、自らの経験を活かして、保護犬をめぐる啓発活動をファッションやライフスタイルを通して展開している。
Instagram @maki_kiriyama