ヘアドネーションは迷惑で意味ない?おすすめの長さや送り先を紹介
事故や病気、治療の副作用などにより、毛髪が抜けて精神的に落ち込む人も少なくありません。特に子どもや若い女性は大きなショックを受けやすく、それが原因で精神的に塞ぎ込んでしまうこともあります。
このような課題を解決するために、近年「ヘアドネーション」とよばれる活動が注目されています。ポジティブな意見がある一方で、「迷惑」、「意味がない」といわれることもありますが、果たしてそれは本当なのでしょうか。
Contents
ヘアドネーションとは?
ヘアドネーションとは、カットした自分自身の毛髪を寄付する活動のことです。
ヘアドネーションによって寄せられた毛髪は、病気や事故などの後遺症、あるいは治療の副作用などによって毛髪が抜けて悩んでいる方のために、医療用ウィッグを作る材料として用いられます。
海外で始まったヘアドネーションの活動は近年日本でも広がりを見せはじめており、ヘアドネーションに賛同する美容院や団体が増加しています。
ヘアドネーションは迷惑?意味ない?
日本でも活動の輪が広がりつつあるヘアドネーションですが、インターネットやSNSなどで調べてみると「迷惑」や「意味がない」といったネガティブな声も少なくありません。果たしてそれは本当なのでしょうか。
このような声が上がる背景や理由としては、ヘアドネーションが偏見や差別を助長する可能性があることが指摘されます。
すなわち、「髪の毛はあることが当たり前であり、事故や病気によって毛髪が失われた人は医療用ウィッグを身につけるべきだ」という考えを押し付けてしまうため、ヘアドネーションは迷惑な行為にあたるというものです。
自分の毛髪を寄付する人にとっては、「困っている人のために良いことをした」と感じていても、その心理の根底には「髪の毛を失った人がかわいそう」という差別や偏見の意識があるケースが少なくありません。
しかし、差別や偏見がなくなり周囲の見方が変わったとしても、当事者にしてみれば髪の毛を失ったことに絶望し精神的に塞ぎ込んでしまうことはあるでしょう。それをひとつの個性として受け入れるにしても、ある日突然気持ちを切り替えられるものではなく一定の時間を要します。
ヘアドネーションに対する考え方は人によっても異なり、ネガティブな意見も間違いとはいえません。しかし、精神的な支えや自信を取り戻すためにも、医療用ウィッグを必要としている人は少なくないのが現状です。
ヘアドネーションの方法
ヘアドネーションの活動に賛同し、自分の毛髪を寄付したいと考えた場合、どのような手順で行えば良いのでしょうか。
基本的な手順は以下の通りです。
- ヘアドネーションに賛同している美容室を探す
- カットした毛髪を束ねる
- 毛髪を梱包する
- ヘアドネーション活動を行っている団体宛に送付する
カットした毛髪を発送する際には宅配業者の指定はありませんが、基本的に送料は自己負担となります。
また、髪の毛がしっかりと束ねられていないと輸送の際にバラバラになってしまい、医療用ウィッグの材料として使用できなくなるため、ゴムでしっかりと束ねておきましょう。
ヘアドネーションに必要な長さは“31cm以上”
ヘアドネーションにおいてもうひとつ重要なポイントが、髪の毛のカットの仕方です。
美容室や理容室などで髪の毛をカットする場合、一般的には数cmまたは数mm単位で少しずつカットしていくのが一般的です。しかし、ヘアドネーションで寄付できる毛髪は「31cm」以上の長さが条件として定められています。
そのため、美容室でカットをお願いする際には、この要件に対応できるかどうかを事前に確認しておく必要があります。
もし、近所で対応可能な美容室が見つけられない場合には、以下のサイトで検索してみるのもおすすめです。
サロン検索システム:https://www.jhdac.org/search/index.php
寄付する毛髪は、極端なダメージが加わっていなければカラーやブリーチ済であっても問題ありません。ただし、毛髪を梱包する前にはしっかりと乾かし、水分を取り除いておく必要があります。
水分を含み濡れたままの髪の毛を梱包すると、内部でカビや雑菌が繁殖し医療用ウィッグの材料として使用できなくなるため注意しましょう。
ヘアドネーションでおすすめの送り先
ヘアドネーションはさまざまな団体が活動を行っています。トラブルを防止しスムーズな寄付を行うためにも、実績が豊富で信頼性の高い団体を選ぶことが大切です。
そこで、初めての方にもおすすめの3団体をご紹介しましょう。
JHD&C
特定非営利活動法人Japan Hair Donation & Charityは通称「JHD&C」とよばれ、ヘアドネーション活動を行っているNPO法人です。
2009年に開始した活動は今年で15年目を迎え、これまで累計742個もの医療用ウィッグを製作・提供してきた実績があります。
また、JHD&Cの活動に賛同するサロンの数は2,387店にもおよび、その支援の輪は年々広がりを見せています。
JHD&Cへ毛髪を送る際には、以下2つの宛先から選択できます。
【送付先】
1.〒530-0022
・大阪市北区浪花町13-38 千代田ビル北館7A
・NPO法人JHD&C事務局
2.〒640-8226
・和歌山市小人町29番地
・和歌山市あいあいセンター福祉交流館3F
・和歌山市社協・ボランティアセンター内 白百合美容室係
【宅配業者】
指定なし
※追跡機能のある送付方法(日本郵便のレターパック、宅配便など)を推奨
【URL】
https://www.jhdac.org/hair.html
つな髪
「つな髪」は、大阪府にある医療用ウィッグの製造・販売事業者グローウィングが運営しているヘアドネーションプロジェクトです。
これまで累計15万6,000人もの人に毛髪の寄付をいただいており、それらをもとに1,600個以上の医療用ウィッグを無償で提供してきました。
また、つな髪のプロジェクトに賛同したサロンは800店舗におよび、寄付をしたい方に向けてサロンの紹介も行っています。
【送付先】
・〒530-0001
・大阪府大阪市北区梅田3丁目3−45 マルイト西梅田ビル5F
・(株)グローウィング つな髪
【宅配業者】
・レターパック(日本郵便)
・宅急便コンパクト(ヤマト運輸)
・普通郵便(日本郵便)
※追跡機能のある送付方法(日本郵便のレターパック、宅配便など)を推奨
【URL】
https://www.organic-cotton-wig-assoc.jp/
NPO法人HERO
NPO法人HEROは東日本大震災をきっかけに設立され、オリジナルヒーロー「破牙神ライザー龍」を通してさまざまなボランティア活動を行っています。
ヘアドネーション活動は2016年からスタートし、小児がんの子どもたちに笑顔を取り戻してもらうために医療用ウィッグを無償で提供しています。
【送付先】
・〒981-8003
・宮城県仙台市泉区南光台2丁目13-1
・NPO法人HERO
・ヘアドネーションプロジェクト係
【宅配業者】
指定なし
※追跡機能のある送付方法(日本郵便のレターパック、宅配便など)を推奨
【URL】
https://hairdonation.hero.or.jp/hair/
まとめ
ヘアドネーションは毛髪を寄付することで医療用ウィッグの製作に役立ててもらう活動ですが、見方を変えると「髪があって当たり前」という差別や偏見を助長しかねず、ネガティブな意見が根強く存在します。
しかし、事故や病気、治療によって髪の毛を失った当事者にとっては、医療用ウィッグがあることで自信を取り戻し、生きる希望を見いだす人がいることも事実です。
そのような人のために、自分の髪の毛を提供したいといった意見や行動は決して批判されるものではありません。
もし、これからヘアドネーションに取り組んでみたいと考える方は、今回ご紹介した手順を参考にしてみてください。
当メディアの姉妹団体のNPOハミングバードも社会貢献につながる様々な活動を行っています。