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幸せの最大公約数をカタチにした、100%ヴィーガンのベーカリーカフェ【渡辺知夏子のエシカルスポットNavi. vol.02】

普段の何気ない暮らしのなかで、サステナブルなアクションが出来たら素敵だと思いませんか? エシカルなライフスタイルを提案しているレストランやショップを、自身もウェルビーイングな生活を心掛けているというモデル 渡辺知夏子さんがナビゲート。第2回目は、ヴィーガンベーカリーをご紹介します。

Universal Bakes and Cafe

ユニバーサルベイクスアンドカフェ

小田急線 世田谷代田駅にほど近い住宅街に佇む「Universal Bakes and Cafe(ユニバーサル ベイクス アンド カフェ)」。中目黒に店を構えるヴィーガンカフェ「Alaska zwei(アラスカ ツヴァイ)」の姉妹店で、 2020年5月にオープンした100%ヴィーガンのベーカリーカフェです。

ナチュラルでどこかノスタルジックな雰囲気のおしゃれな外観に、ヨーロッパの街角に迷い込んだような気持ちになりテンションが上がります。

ユニバーサルベイクスアンドカフェ

肉、魚、卵、バター、牛乳、生クリームなどの動物性素材を一切使わず、植物性の素材のみで作り上げたパンは、クロワッサンやマフィン、メロンパン、シナモンロールなど、ヴィーガンとは思えないバリエーションに富んだだラインナップです。

ユニバーサルベイクスアンドカフェ

さらに、日替わりの野菜を使った総菜パンや、朝、昼、午後で季節やシーンに合わせたメニューを焼き上げているので、いつ訪れても新鮮な味を楽しむことができます。

また、テーマにあわせて開発したその日限りのパンが食べられるスペシャルデーがあり、さまざまな新メニューを考案して提供しているそう。

ユニバーサルベイクスアンドカフェ

そのほか、イートイン限定メニューの「フレンチトースト」や日替わりの季節のスープ、多彩なドリンクメニューも用意されています。

朝8:30からオープン。店内のイートインスペースのほかテラス席もあり、通勤途中など通りがかりに気軽に立ち寄る人が絶えません。

ユニバーサルベイクスアンドカフェ

都心にいることを忘れてしまうような穏やかな空気が流れるなか、カラダが喜ぶ美味しいカフェタイムを過ごすことができます。


「100% ヴィーガン」に込められた想いとは?

ユニバーサルベイクスアンドカフェ

店主の大皿彩子さんは、“おいしい企画”専門のフードプランナー。「食事を、もっと楽しく」をモットーに、食に関わるブランドプロデュース、レシピ開発、空間コーディネート、イベントのトータルコーディネートなどを行っています。

もともと広告会社に勤めてたという大皿さん。仕事で携わったサッカーのFIFAワールドカップ大会で、人種も国も超えて感動を分かち合えるという体験をしたことで、人生が大きく変わったという。

ユニバーサルベイクスアンドカフェ

店内には、店と縁のある丁寧に作られた食材たちが並ぶ。

「世界中の人と同じ感動を共有したい」という想いが強くなり、それは何かと考えるとーー世界共通の話題といえば、サッカーなどのスポーツに音楽、そして食。なかでもコミュニケーションできる手段として大きい“食”を手掛けよう、と思い立ち、会社を辞めてフード専門の企画会社を立ち上げたのだそう。

そして、最初は企業の食に関するイベントの企画を主軸に活動。その後、自分の店を始める機会に恵まれ、どんな店にしようかと考えたとき、世界中の人に食べてもらえる“ヴィーガン”という選択をしたのだとか。

ユニバーサルベイクスアンドカフェ

「とはいえ私自身はヴィーガンではなく、肉や魚、卵、バターも食べますし、美味しいものは何でも好きなんです」という大皿さん。

そんな彼女がヴィーガンスタイルの店をスタートしようと思ったそもそものきっかけは、ベルリンでの経験。ヨーロッパの仕事が多かった大皿さんは、ベルリンの街が好きで、よく訪れていたそう。

ユニバーサルベイクスアンドカフェ

「もともとヨーロッパはヴィーガンの方も多いですし、多言語・多民族社会のベルリンのレストランには、大抵ヴィーガンメニューが用意されているのですが、当時は自分にとって関係ないものだったんですよね。健康への意識の高い人が食べるものだと思っていました。

でも、ある店で食事をしていたとき、隣のテーブルで健康のイメージとはほど遠い、見るからにいかつい男子6人組がヴィーガン料理をつまみに楽しそうに飲んでいて。あまりにイメージと違う光景に驚いて、思わず『あなたはヴィーガンなの?』と尋ねたんです。そうしたら、『僕は違うよ。何だったかは忘れたけど、あいつとあいつが肉を食べないから、仲間で集まるときにはヴィーガンをチョイスしておけば、みんながうまいって言ってハッピーだからね』と、教えてくれたんです。それがすごくいいなと思って。

彼らにとってヴィーガンとか肉を食べないとかは関係なくて、ただ『その場にいる全員が美味しいと思えるものがヴィーガンだった』と。その言葉にとても感銘を受けました。

ユニバーサルベイクスアンドカフェ

私は肉も卵も魚も大好きで、そんな私が本当に美味しいって思うものが100%ヴィーガンだったら、いろいろな文化や宗教を持った人たちと一緒に美味しいってごはんを食べられる。もともと世界中のさまざまな文化背景を持った方とコミュニケーションしたいという考えがあったのですが、多様な価値観をもつ人が集まるときに、ヴィーガンという選択肢は、“幸せの最大公約数”なんだ、と気づかされたわけです。

そこで、東京でお店をやるなら、誰でも同じように食事を楽しめるヴィーガン料理を出そう、と決意しました。

なので、1店目の『Alaska zwei』も、2店目の『Universal Bakes and Cafe』も、100%ヴィーガン。こちらのベーカリーでは、パンやカフェが好きな人が本当に美味しいと思えるものを作ることを目指しています」


素材の風味を堪能できる、絶品のヴィーガンパン

ユニバーサルベイクスアンドカフェ

お店の一番のおすすめは、「クロワッサン」と「メロンパン」。日本のベーカリーには欠かせない人気の2品。「植物性材料だけで、その幸せを作り上げたい」という思いで、試行錯誤を繰り返し出来上がったそう。

「当店には卵や乳のアレルギーのあるお子様にもご来店いただくことが多いのですが、『生まれて初めてメロンパンを食べた!』と満面の笑みで言ってもらえると、涙が出そうになるくらいうれしいです!」と語る大皿さん。

ユニバーサルベイクスアンドカフェ

早速、おすすめのパンをいただいてみることに。残念ながら、訪れた時間にメロンパンはまだ焼き上がっていなかったのですが、クロワッサンと同じく人気のあおさの塩パン、ソイラテをチョイス。

大豆由来のバターを使った焼きたてのクロワッサンは、しっかりとしたコクのある味わいが絶品です。大豆由来のバターのほか、マカダミアナッツのペーストなどを使用しているそう。

ユニバーサルベイクスアンドカフェ

人気のクロワッサン(¥350)とあおさの塩パン(¥280)。ドリンクはソイラテ(¥650)をオーダー。

「日本パンの多くにはバターや卵が入っています。それもとても美味しいですが、植物性のみで作るパンやお菓子は、動物性の材料と一緒に作るものよりも“素材”の味が際立つように感じています。

例えば、このあおさの塩パン。通常、塩パンと呼ばれるパンは中にバターを巻いて焼き上げるのですが、当店では大豆由来のバターを使っています。そうすると、生地に練り込まれたあおさの香りが、“乳”のバターよりも、もっとクリアに感じられて、すごく美味しいんですよ。

料理で牛乳をレバーなどの臭みを取るのに使うことがありますが、“乳”って香りのマスキング効果があるんです。動物性のものは、いい意味で味も香りも強いので、植物性のものの個性を消して目立たなくしてしまうことがあるので、あおさには大豆のバターがぴったりのように思います。

ユニバーサルベイクスアンドカフェ

100%ヴィーガン(植物性)で作ると、素材の味を感じやすいからこそ、使う材料にはこだわっています。例えば小麦一つでも、品種が変わるだけで、まるで別のパンになると感じています。ですので結果的に、丁寧に作られた小麦や野菜、さまざまなものを試して選んだ調味料など、思い入れのある材料ばかりを使用しています。

クロワッサンも小麦の味がすると思いますし、ほんのりナッツの香りもしませんか? また、シンプルなくるみパンなども人気なんですが、普段気づかないような、くるみの甘さを感じることができます。植物性の素材の力というか、いつもあまり意識していなかった味が美味しいと思えたりするので、そういうところを楽しんでいただけたらうれしいです。あまり難しく考えずに、こういうパンもいいね、というふうに。

実際のところ、ヴィーガンだから来ているという方だけでなく、普通のパン屋さんとして来てくださる方が多いんですよ」とにこやかに話す大皿さん。

ユニバーサルベイクスアンドカフェ

重要なのは、みんなが美味しく食べられること。体に本当にいいもの、美味しいものを食べてもらうため、素材にはこだわっているけれど、「健康のためのヴィーガン」という発想でつくられていないのも特徴。

「使う材料なども、ご縁のある方、つながりを大事にしていて、オーガニックというラベルにはあまりこだわっていません。それよりも、やっぱり自分たちがいいと思ったもの、すごく丁寧に作られているのを知っている、尊敬している方々のものを積極的に取り入れたいと思っているんです。

エシカルだから、環境にいいからヴィーガンを選択したわけではなく、自分たちがどういう食卓や世界とどんなコミュニケーションをしたいかということを考えたときに、結果的にヴィーガンだったり、製法や農法にこだわった材料を使ったりということにつながったという感じですね。

私たちは誰も否定しないというのがモットーです。お肉やお魚を食べることも、食べる人も好き。お店のスタッフは、みんなそうです。

ユニバーサルベイクスアンドカフェ

私たち日本人って、何でも食べると思っているじゃないですか。でも例えば、他の国では常食されることもある鳩やウサギのお肉はあまり食べないですよね。それはただの文化の差で、なんてことのない些細な違いなんですよね。

小さな違いがたくさんある、そんな世界の中での最大公約数を作りたい。そうすると“ヴィーガン”という答えになる。もっと違う最大公約数が見えてきたら、そちらを私は選択するし、それだけのことなんです。100%植物性で作っておけば、今のところ、いろいろな人たちにアプローチできる。『誰が食べても美味しいもの』、それが結果的にヴィーガンという選択だった、という感じです。

ヴィーガンという選択肢を私たちが確実に用意していれば、みなさんもいろいろな食文化をもった人と食事をするとき便利だと思うし、自由に使っていただければいいと思っています。気分で選んでもらえればいいです。ヴィーガンを押し付けるつもりはありません!

ただ、私たちのような店の存在が人や地球に対する優しさににつながったり、共感してくれる人や店が増えて、結果的にみんなにプラスになって少しでも世界に優しくなれたら、願ったり叶ったりですね。食の未来につながるものを選んでいるつもりですし、未来に誇れるものしか作りたくないと思っています」

ユニバーサルベイクスアンドカフェ

最後に、ヴィーガン生活の楽しみ方や、初心者が気軽に取り入れられる方法を伺ってみると・・・。

「ヨーロッパでは“週末ヴィーガン”の方も増えているそうです。週末だけは、美味しい野菜、美味しい果物、そして『美味しいパン』を手に入れて、植物性素材だけの食事にしてみてはいかがでしょうか? 動物性の素材と合わせると隠れてしまう“素材そのものの味”が引き立つことを実感できて、美味しいものを手に入れた喜びを楽しめると思います!」とのこと。

12月中旬に、下北沢reload内2Fに2号店「Universal Bakes Nicome」をオープン予定だそうなので、近くに遊びに行った際には、ぜひ立ち寄ってみてはいかがでしょうか。


Universal Bakes and Cafe(ユニバーサル ベイクス アンド カフェ)
東京都世田谷区代田5-9-15
03-6335-4972
Instagram @universalbakes_tokyo
facebook @UniversalBakes
Goods Online shop https://universal.theshop.jp/


〈衣装〉リブタートル ¥17,600、リブスカート ¥14,300、ダウンコート ¥17,900/すべてblue serge その他/本人私物

SHOP LIST
blue serge(ブルーサージ) https://www.itokin.net/blue_serge

渡辺知夏子

Profile
渡辺知夏子(わたなべちかこ)
1985年7月24日生まれ。『vivi』『Oggi』などファッション誌のほか「TGC」「神戸コレクション」などファッションショーにも多数出演。ジュニア野菜ソムリエ、イヤービューティセラピスト、ソイフードマイスターの資格を有するなど、美容や健康に関する豊富な知識を活かし、幅広く活躍中。インスタグラムではライフスタイルについて発信し、同世代の女性から厚い支持を得ている。
Instagram @chikako_724


MODEL = 渡辺知夏子
PHOTO = 阿萬泰明(PEACE MONKEY)
TEXT = Humming編集部

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