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多様性がテーマ。大人も読みたい、小学生による小学生のための絵本

自分と違う境遇や価値観を持っているひとたちがいることを知り理解して、お互いが認め合うことーーSDGs達成のためにも重要視されているのがダイバーシティの実現、つまり多様性のある社会です。その多様性をテーマにした、ある絵本が注目されています。独自の視点と質問力が話題になり、発売前から増刷が決定していたという絵本『みんな えがおになれますように ~ちがうって すてきなこと~』。作家は、小学校6年生の女の子です。


子どもだけでなく、大人にも学びのある一冊

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作 / うい 絵 / 早川世詩男 監修 / 松中権 ¥1,540(定価)/学研プラス

「トランスジェンダーの人が困っていることはなんですか?」・・・そんな小学生からの質問に、あなたならどのように答えますか?

小学生作家であるういさんが、一般の方からオードリー・タンさん、杉山文野さん、ロバート キャンベルさんまで幅広くインタビュー。その内容を、わかりやすくまとめた絵本がこちら。
テーマはズバリLGBTQ+、多様性について。センシティブで難しい題材ではありますが、小学生向けに丁寧につくられている絵本なので、とっても理解しやすいのが特長です。

にっこり笑顔が印象的な表紙をさっそくめくってみると・・・。

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まずは、やさしい色合いの親しみやすいイラストが目にとびこんできます。こちらはイラストレーター早川世詩男さんによる作画です。

小さな子どもから大人まで、楽しく最後まで読み進められるつくりになっているのです。

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「トランスジェンダーの人は、何にこまっているんですか」
「ふつう、あたりまえ、ということばは、いやに感じますか」

この絵本は、Q&A形式のシンプルな構成で出来ています。ページをめくるたびに、小学生ならではの鋭い視点に思わずハッとさせられることがたくさん。当事者に対して、ここまで率直に質問ができるのは子どもならではといえそうです。

社会にはさまざまな価値観があることに気付き始め、さらに深く知りたいという作者の思いが素直な質問に。そのストレートな言葉に、真摯な姿勢で答える当事者の面々。理解して受け入れ合うという多様性の第一歩となるコミュニケーションが、絵本のなかで繰り広げられていきます。

この本を手にした大人たちからも、「多くの気付きを得た」という感想が寄せられているそう。「(子どもからの質問に)大人としてどんな風に説明したり、疑問に寄り添っていけばいいのか。この本を読んで、ヒントをもらいました」という親世代からコメントも。

多様性について子どもと一緒に学ぶ、自分自身が抱えていたモヤモヤの解決の糸口になる、多様性社会のためにできることを考える・・・など、読者ぞれぞれに、新しいきっかけを生み出してくれそうな一冊といえそうです。


小学生作家「うい」さんとは?

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ういさんの将来の夢は「俳優さんやパンケーキ屋さん」なのだそう。

ういさんは愛知県に住む、2010年生まれの小学6年生(2022年9月現在)。作家デビューは小学2年生のとき。小学校入学前の子どもたちに向けたアドバイス集『しょうがっこうがだいすき』を自費出版したことが始まり。ういさん自身の経験をもとにしており、リアルな内容と読みやすい文章で小学生作家として一躍話題に。その後、トランスジェンダーの方にインタビューを実行して1冊としてまとめた『小学生の私たちが知っているだけで、せかいをかえることができる。』を小学3年生で自費出版しました。


毎日の生活のなかで、価値観や趣味嗜好など自分とは違う人と出会うきっかけは多々あるはず。そんなときに“知っておくといいこと”を、この絵本が教えてくれます。他者との理解を深め、お互いを認め合い、受け入れ合うために。読書の秋、周りの人とこの本を読み合って、大切なテーマについて一緒に考えてみたいですね。


学研出版サイト
https://hon.gakken.jp/book/1020553800


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