沖縄のフルーツを救いたい。
石垣島から届く“美味しい”に注目
太陽の恵みをたっぷり浴びて、色鮮やかに、濃厚でジューシーな味わいに育つ石垣島のフルーツたち。国産の希少な南国フルーツは、海を越えて運ばれ日本各地に流通されています。でもキズなどがあり市場に出せないフルーツは、廃棄せざるを得ないという現実があります。そしてパンデミックで航空便が減便したことで県外への出荷が困難になった時期には、生産農家が大きな打撃を受けました。そんな農家や行き場を失ったフルーツを救うために起業し、奮闘するカップルを取材しました。
フルーツそのものの美味しさを提供するKOPPARI
石垣島南部の産業道路を車で走っていると、ターコイズブルーの看板が目に飛び込んできます。「KOPPARI(コッパリ)」そして「Island’s Frozen Fruits」の文字。
ここはローカルの皆さんにも、観光客にもその名が広まっている、フローズンスムージーが名物のジュースバー。パッションフルーツ、マンゴー、フルーツパパイヤ、シークワーサー、さとうきび・・・石垣島産の農作物が使われています。
その美味しさはリピーターが多いことからもわかります。余計なものでごまかしていない、フルーツのまっすぐな味。甘さ、酸っぱさ、コク・・・とにかく味わいが深くて、喉が鳴る美味しさ。
地元農家、そして島の経済を盛り上げたいという「KPPPARI」がこの場所で取り組んでいるのは、ジュースバーだけではありません。
フルーツを届けるための新しい試み
「KOPPARI」を経営しているのは地元出身の宇根和孝さんと、フードコーディネーターの七海子さんのご夫婦。実はフローズンスムージーを実店舗で提供するより先に、石垣島フルーツを凍らせて販売するという事業を立ち上げました。
いろいろな理由で出荷できずに廃棄されてしまうフルーツを何とかして活かせないか・・・そう思案して、冷凍機を導入し、特殊な冷凍技術でフルーツを凍らせることを思いついたのは和孝さん。大学時代にインターンとして急速冷凍機の会社で経験を積んだことが、この事業に結びついたのです。
可愛い語感の「コッパリ」は八重山の方言で「かたまる」を意味する言葉なのだそう。「昔、じいちゃんばあちゃんが冷凍庫で冷やしたアイスバーを“コッパリ”と呼んでいたので、そこから名付けました」と和孝さん。
フルーツを凍らせてかためる、そして日本中に石垣島の美味しいフルーツを届けるーー2020年からこのサステナブルな事業はスタート。お店は2021年3月にオープンしました。地元農家と密な関係を築きながら、応援し、応援されて、成長してきたといいます。
ANA インターコンチネンタル石垣リゾート×KOPPARIのコラボレーションスムージー。
さらに広がっていく幸せの連携
「数日ずれただけで食べごろを逃してしまうようなマンゴーなどは、まさに食べごろを瞬間冷凍して届けたいフルーツ」なのだそう。デリケートな旬の南国フルーツを瞬間冷凍し、鮮度と美味しさをとじこめたKOPPARIメイドのカットフルーツやスムージーパックは、オンラインで販売中。日本中からのオーダーに応え、無添加、無着色、化学保存料を一切使わないヘルシーなフローズンフルーツを届けています。
それだけでなく、宇根さんの活動に賛同したANA インターコンチネンタル石垣リゾートは施設内のPALETTE Terrace LoungeでKOPPARIのフルーツを使用したコラボレーションスムージーを販売、さらに石垣市の「ふるさと納税返礼品」のラインナップに加わったりと、取り組みの連携が広がっています。
KOPPARIのスムージーセットの内容は季節によって異なりますが、その時々の旬のフルーツが届きます。©KOPPARI
「なるべくプラスチックを出さない、生ゴミは土に返そうとか、自分たちができることはやっていきたい」と環境への配慮も考えている七海子さん。パイナップルの皮や、さとうきびを搾ったあとに残るカスやなども加工して牛や鳥のエサにしたり、畑の肥料にするなど、可能な限り廃棄をしないフローを考えて実践しています。
材料のさとうきびを洗う和孝さん。フルーツの味を邪魔しない、さとうきびのジュースがスムージーにぴったりなのだそう。
海まわりの事業が注目されがちな島において、この農業を盛り上げていこうという取り組みに、農家の皆さんも興味と期待を持ってくれていることを実感する日々。
販売にそこまで時間と労力をさけない農家に代わって、流通にのせられないフルーツを価値のあるものに変えたい。石垣愛に基づいた新事業は、農家や観光業と一緒に手を組みながらこれからさらに大きく育っていくはず。石垣島KOPPARI発の“宝石のようなフルーツ”は、たくさんの人に幸せを運んでいるのです。
KOPPARI
https://koppari.net/
SPECIAL THANKS = ANA インターコンチネンタル石垣リゾート
TEXT = Humming編集部