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オフザマットヨガ「ヤマ・ニヤマ」を 知って自分らしく生きよう(前編)

桑子 麻衣子(くわこ まいこ)

 

ヨガの教えはとても奥深いのが特徴です。

 

その練習はヨガマットの上に留まらず、日常生活にも及びます。

 

それを「オフザマットヨガ」とも呼びます。

 

ヨガを深めるためには8つのステップがあり、最初の2つが、オフザマットヨガにあたる「ヤマ」「ニヤマ」です。

 

これらには日常生活の指針が説かれており、生活の振る舞い方に関するヒントが示されています。

 

もう少し分かりやすく言うと「道徳」といったところでしょう。

 

例えば、「暴力を振るわない」「物を盗まない」などは、私たちが生きていく中で最低限備わっている道徳ですが、ヨガの道徳においては、もう少し踏み込んでいきます。

 

今回は、「すべきでない行い」のヤマについてのお話。

 

これを知っているだけで、生き方が清々しくなってくるのではないかと思います。

 

日々の暮らしの中でお役立て下さい。

 

アヒンサー(非暴力)

アヒンサーは、肉体的または精神的に暴力を振るってはいけないというものです。

 

この教えはガンジーが大切にしていたものと言われています。

 

自分も人も傷つけない優しい言葉を使い、思いやりと感謝の気持ちを忘れない。

 

忙しい日々を送っていると、つい言葉が荒々しくなってしまったり、親しい人に当たってしまうことも少なくありませんが、自分がされて嫌なことは他人にしないようにすることからはじめると良いかもしれません。

 

サティヤ(嘘をつかない)

正直であることは単純なようで、現代社会ではとても難しいもの。

 

自分に対して嘘をつくことが、習慣的になっているのは忙しい現代社会の特徴ではないでしょうか。

 

例えば、疲れているのに無理をしてしまうこと。

 

自分の体や心の声に嘘をつくことになります。

 

もちろん大人であれば頑張らなくてはいけない時もありますが、それがなんども繰り返されると苦しくなってしまいます。

 

また、他人に対して真実を打ち明けることが相手を傷つけるように感じたら、「それは言いたくありません」と伝えるようにとヨガの教えでは説かれています。

 

アスティヤ(不盗)

他人の物や時間、権利や機会を盗んではいけないという教えです。

 

例えば、約束の時間に遅刻したり、相手の話を遮ってしまったりすることは、他人の時間や権利を奪っていることになります。

 

またよく見受けられるのが、子供の成長の機会を盗むという行為。

 

怪我をしないようにしたり、「子供にやらせると時間がかかるから」と親が先回りしてやってしまうことはとても多いです。(7歳の娘がいる筆者もよくやります)

 

アスティヤを守ることで、欲しいものが手に入るんだそう。

 

逆に盗もうとしている人からは、欲しいものは遠ざかってしまうと言われています。

 

ブラフマチャリア(禁欲)

ブラフマチャリアは、生涯独身であることを説いたものです。

 

これを現代的に言うと、パートナーを裏切らないこと、あるいは利己的な欲に溺れないことを指します。

 

エネルギーは限られていますので、大切な人のために使いましょう。

 

アパリグラハ(不貪)

アパリグラハは、必要以上のものを欲しがらない、執着しないことを指します。

 

人間は欲深い生き物。

 

繁栄していくためにはある程度の欲は必要ですが、貪欲すぎることは本当に大切なものや、自分自身を見失ってしまうことにつながることもあります。

 

物でも情報でも持ちすぎてしまうことで、疲れてしまうという経験はありませんか?

 

例えば、家中、物にあふれて片付けるのが大変だったり、また自分がどんなものを持っているか忘れてしまうなんてこともあるかもしれません。

 

それでは、物もお金も無駄ですよね。

 

また、必要以上の情報は心の平静を奪ってしまいます。

 

知る必要のないことも世の中にはたくさんあるのではないでしょうか。

 

次回は、「すべき行い」のニヤマについてお話します。

 

お楽しみに!

ライター:プロフィール

文筆家・ヨガ/アーユルヴェーダ研究家

不安症状と向き合うためにヨガやアーユルヴェーダの学びを深めるようになる。

2009年バリ島で全米ヨガアライアンス認定講師資格取得。2021年アーユルヴェーダ講師資格を取得。2013年シンガポール移住。夫と娘の3人家族。


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