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2022.06.27 知れば知るほど、私の人生は豊かになっていく【小泉里子 / 未来に続くBOOKリスト vol.9】

この本を読みたい!小泉里子

あなたの本棚には、これからの人生で何度も読み返したい本が何冊ありますか? モデル 小泉里子さんの連載エッセイ「未来に続くBOOKリスト」。読書好きの里子さんが、出合ってきた本のなかから“ずっと本棚に置いておきたい本”をセレクトしてご紹介します。


satoko

BOOK LIST_09

『茶 ー利休と今をつなぐー』

ジャンル=趣味・実用 千宗屋 著/新潮新書(新潮社)


この本は、私の本棚に長いこと置かれてはいたけど、つい最近まで読んだことがなかった1冊でした。いつかお茶の世界を知りたいとは思いつつも、その敷居の高さやしきたりの奥深さを敬遠して、何となくページを開けずにいました。でもいつか自然と読みたいと思うタイミングがやってくるんじゃないかと待ち続けていたのです。

鎌倉を散策してるときに、とある茶室と出合いました。そこはしばらく使われていないとのことでしたが、畳は新しくいい香りがして、まだ肌寒い季節でしたが、通り抜ける風が気持ちよく何とも心地のいい時間を過ごしました。「この空間でお茶を点ててみたい」ーーふとそんな気持ちになったのです。お茶をいただくのではなく、点てる方。いきなりハードル高めで挑もうとしている自分が心配になりますが、夢は大きく勝手に膨らんでおります。

そんなときに、ずっと本棚の片隅に『茶』と書かれた本があったなと思い出し、ついに読むきっかけができたのです。

「茶」といえば、千利休。利休を知らずにして「茶」は語れない。と、こんな私でもそこは分かりますが、それ以外、恥ずかしながら茶のことはまったく学んでこなかったので、すべて一からの学びです。

まずは、イメージを膨らませるために、映画『利休にたずねよ』を観賞。時代背景を理解してから、最初の1ページ目を開きました。

この本の著者、千宗屋さんは三千家のうちの一つ、武者小路千家の十五代次期家元。表千家と裏千家だけかと思っていた、どうしようもない私をお許しください。そして読み始めると、茶の知識が皆無だった私にも予想外に面白く、時間を忘れて一気に読んでしまったほどです。

「茶」に対する堅苦しいイメージが一新したというか、もちろん最低限の心得は必要だと思いますが、何よりも「茶」を楽しむ心意気が大切なのだということ。ただただ作法を身につけたいのではなく、道具だけを重んじるのでもなく、「お茶を飲む」という日常を楽しむこと。そして主客がそれぞれ思いやりの気持ちで交わすものだということ。・・・などを知りました。

この本読んで、とても印象的だったところがあります。

「高価な名品ばかりを並べる必要はありません。場がきれいに清められ、それぞれのものが、いかにも生き生きと組み合わされ、お互いが引き立て合うように飾られていて、主客の呼吸と間合いがうまく計られ、すべてがあるがまま自然に運ばれていくけれども、見所もある」
ーーまさに「わびさび」の世界だと感動すらした一文でした。

私が日常を送るなかで、こんなふうに過ごせたら素敵だなと思うことでもあります。
生活水準から夫婦のあり方、ファッションに至るまで、持っているものをすべて見せていくのではなく、自分や相手が気持ちよくお互いを引き立て、丁寧に過ごす、そしてそれが自然にこなせる魅力ある人。
この言葉にはすべてにおいて通ずるところがあると思いました。お茶の世界を知れば知るほど、私の人生は豊かになっていくような、そんな気持ちになります。


小さい頃から3 時のお茶の時間が必ずありました。私の実家は自営業で、従業員の皆さんにお茶を入れて出すのが当たり前の日常でもありました。今は、主人と息子と毎日お茶をします。慌ただしい毎日のなかで、唯一ゆっくりとした時間が流れる瞬間です。

20 代のときにアフタヌーンティーに夢中になり、30 代はお煎茶を習い、40 代はなかなか手を出せなかったお抹茶の世界へ。
一つの葉からこんなにも幅広く奥深い世界が広がってるものは、他にないと思います。まだまだのぞいただけのお抹茶の世界ですが、楽しみで仕方ないです


『茶 ー利休と今をつなぐー』(ちゃ りきゅうといまをつなぐ)

利休の末裔がつづる、生活文化の総合芸術としての「茶」。茶の湯の歴史、利休について、茶道具や茶室に関する丁寧かつわかりやすい説明など、ビギナーにも茶事の面白さを伝え、興味を高めてくれる一冊。


小泉里子


Profile
小泉里子(こいずみさとこ)
15 歳でモデルデビュー。数々のファッション誌で表紙モデルを務め、絶大な人気を誇り、広告やテレビ番組でも活躍。着こなすファッションはもちろん、ナチュラルでポジティブな生き方が同世代の熱い支持を得ている。2021年2月には第1子となる男児を出産し、同5月より生活の拠点をドバイに移す。ドバイでの生活や子育てにもさらに注目が集まっている。仕事、プライベート、ドバイでの生活を綴った著書『トップモデルと呼ばれたその後に』(小学館)も好評。
http://tencarat-plume.jp/
Instagram @satokokoizum1


TEXT = 小泉里子
PHOTO = 取田和衣

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