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アメリカのメディテーションコーチに聞く、初心者のあなたが始めやすいメディテーションとメディテーションを習慣化する秘訣~ブレンダ氏インタビュー

Writing by
堀江知子(ほりえ ともこ)

 

アメリカの有名人などが取り入れていることで、日本でも広がってきた「メディテーション」。あなたはメディテーションをしていますか?またはメディテーションに興味はあるけれど、やり方がわからないと感じていますか?

 

ハミングは今回、アメリカのメディテーションコーチであるブレンダさんに、メディテーションをすることでどういった効果が得られるのか、そして気軽にメディテーションを始められる方法とブレンダ氏が特におすすめする「書くメディテーション」について聞きました。

 

メディテーションを継続していく方法など、すでにメディテーションをしているあなたにも参考になる情報がもりだくさん。メディテーションを続けていったことで、人生全般に心の余裕が生まれたというブレンダ氏。いったいどのように日々の生活にメディテーションを上手に取り入れていったのでしょう。

 

−− まずはメディテーションとは何かについて教えてください。そして、あなたがメディテーションを行うとき、どんな効果を期待して行っていますか?

 

例を挙げて説明しましょう。メディテーションは、スポーツととても似ていると言えるでしょう。スポーツとひとことで言っても様々なスポーツがあるように、メディテーションにも様々な手法やスタイルがあります。約80種類のメディテーションがあると言われていますが、私は個人的にはもっと多くあると思います。

 

メディテーションをすることで、私たちは、忙しい日々でも、熟考するための時間と空間をつくることができるのです。

 

メディテーションをすることで自分自身とより親密な関係を持つことができるのです。つまり、自分の思考をよりよく理解できるようになるということです。メディテーションというと、人が座っている姿を思い浮かべると思いますが、人は頭の中で多くの思考が次から次へと出ては消えていく、それが普通の生き物ですから、実はじっと座っているというのは心地がよい状態ではないのです。

 

でも、スポーツで体を鍛えるのと同じように、メディテーションをすることで、自分の思考に気づき自分自身との密接な関係を築くことができるんです。

 

ーー メディテーションはなんだか難しそうだと感じる人が、もっと気軽にメディテーションを始められる方法はありますか?

 

メディテーションという、一見、専門的にも聞こえるこの言葉を使わないほうがいいかもしれませんね。メディテーションではなくて、「自分のための静かな時間を少し作る」という風に考えてみるのはどうでしょう。たった5分間だけでいいので、音楽やスマートフォンのスイッチをオフにして、自分の部屋を見回してみてください。または、静かな部屋に座って、あなたのお気に入り雑誌の写真を見て、あなたの頭にどんな思考が出てくるか待ってみましょう。まずは、こんなことから始めてみてはいかがでしょう。

 

もうひとつの私のおススメはジャーナリングです。手で紙に書くことで、自分が心の中で感じていることをよりよく理解できるようになります。このジャーナリングも自分の思考を感じるための行為なので、一種のメディテーションと言えるでしょう。

 

よく写真でみるような、大自然を背景にして流れる川の横にある岩の上に座ってメディテーションしている姿はとてもかっこよく見えるかもしれません。でも、こうやって集中しているように見える人の頭の中をのぞくと、今晩の夕食メニューや食料品の買い物リストのことを考えているということがよくあるものです。自分の今感じていることに全神経を集中させることは簡単ではありません。ですから、ジャーナリングのように自分の考えを書き出すことで、自身の思考により集中できるでしょう。

 

集中するのがどうしても難しいという場合は、ガイド付きメディテーションを選ぶといいでしょう。聞いているだけで、次は何をすればいいのか教えてくれるので、メディテーションが初めての人にはとっかかがつかめるでしょう。他の手法としては、呼吸に意識を向ける方法もあります。雑念が浮かんできたら、呼吸に意識を向けましょう。

 

他には、『ヴェーダメディテーション』という手法もあります。これは、雑念が出てきたらマントラを唱える方法です。自分の中から出てくる思考から逃げても結局またその思考は戻ってきますので意味がありません。ですから、私はこのメディテーションをよく行います。メディテーションの最初に、まず自分の思考を観察して理解することから始める、そんなメディテーションです。

 

ーー ジャーナリングについてもう少しくわしく教えてください。あなたはどういうきっかけでジャーナリングを始めたのですか?

 

ジャーナリングは「書くメディテーション」とも言えるでしょう。なぜなら、ジャーナリングを行うことは、自分の感じたことや体験を、しっかりと受け止める場所を作るようなものだからです。人生のさまざまな場面でどうしたら良いかわからなくなった時、ジャーナリングをすることで、自分が次のステップとして何をしたらよいかのヒントに近づくことができるでしょう。

 

あなたの意識を導いてくれる役割を果たすのです。個人的にも、私はこの、書くメディテーションがとても好きです。座ってメディテーションをしていると、出てくる思考にどう対処したらいいかわからなくなり、コントロールできなくなることがあります。でも、ジャーナリングならそんな時は、ノートをいったん閉じて思考を休ませることができます。

 

または、誰かに手紙を書くふりをするというのも良いでしょう。例えば、あなたが何か悩みを抱えていたら、なぜ悩んでいるのかについて、架空の相手に対してそれを説明する手紙を書いてみるんです。こうすることで、自分の悩みを第三者に知ってもらうために客観的に見ることができますし、偏りのない見方をすることで、この課題が自分にどんなメッセージを送っているのかにも気づくことができるでしょう。

 

ーー あなたがヨガを始めたのは、あなたの職場でヨガのレッスンがきっかけとのことですが、会社が社員のためにヨガやメディテーションなどの活動を取り入れることは重要だと考えますか?

 

ヨガには昔から興味があったのですがやったことはありませんでした。でも、会社の同僚がヨガをやっていると聞いて、私もやってみようと勇気をもらったんです。その後、私自身がヨガの先生になり、メディテーションを学ぶようになり、結果的にヨガが私の人生を大きく変えることになりました。ですから会社は、社員がもっと人生を楽しめるようにサポートするという意味でも、ヨガを社員に提供するべきだと思います。

 

ーー 新しいことに挑戦することへの恐れとどのように向き合っていますか?

 

私自身は、新しいことに挑戦することはワクワクすることだと思います。人が未知の世界に足を踏み入れることを怖いと感じる理由は、私たちは将来起きることをコントロールできないと感じているからでしょう。将来、何が起こるかなんて誰にもわからないですよね。だからまずは、その事実を受け入れることが大切です。

 

メディテーションを定期的に続けていくと、金銭的なものから自分を解き放つことができるようになります。そうすると、あなた自身と密接につながっているという感覚が芽生え、人生全般に対してもっと余裕が生まれるでしょう。例えば、もし何かに失敗したとしても、それを失敗ととらえるのではなく、次回にうまくやるための学びの場だったと考えられるようになるでしょう。

 

ーー メディテーションを学んで、何か大きな変化はありましたか?

 

ヨガを始める前の私は、とても不安で自意識過剰、いつもストレスを抱えていました。今でもストレスを全く感じないわけではありませんが、以前の自分と比べると劇的に変わったと思います。当時は、健全ではない人間関係をずるずるとひきづっていましたが、メディテーションを始めてからは、この状況を変えようと行動できるようになり、人間としてももっと成長したいと思うようになり、新しいなことにもどんどん挑戦するようになりました。

 

たった数回のメディテーションで、大きな効果や変化を望む人が多いですが、実際には、そういった変化を得るためには長い時間がかかるものです。

 

ーー メディテーションをしていて、心から気持ちいいと感じられるようになるまで、どのくらいかかりましたか?

 

私の場合は1~2年くらいです。日々の習慣にするために、歯磨きなど毎日していることの合間にメディテーションをするようにしています。ただ、メディテーションからあなたが感じられる変化は、ごくささやかなものであるということも理解してほしいのです。明らかにわかるような大きな変化が一瞬で現われる、ということではないんです。友人と食事をしているときに洞察力が高まったり、過剰な反応をしなくなったりと、自分の中にそういったしなやかさが少しずつ生まれるんです。

 

ーー メディテーションを続けたいのにサボってしまいがちな人に、どんなアドバイスをしますか?

 

さきほど、歯磨きの例をあげましたが、普段やっていることの合間にやってみるのはどうでしょうか。朝いつもトイレに行くのなら、トイレでいつもより数分長く座って呼吸に集中してみるというのはどうでしょう。メディテーションについてすぐに理解しようとする必要もありません。毎日のルーティンにどう組み入れるかが大切です。

 

また、静かな場所でメディテーションする必要もありません。もちろんそれが理想ではありますが、走り回る子どもや、おしゃべりしている同僚が近くにいてもメディテーションはできます。今あなたのいる環境で、メディテーションできる時間を見つけることが大切なんです。

 

ーー メディテーションを始めたいけれど、ちょっと怖いなと不安に思っている人にアドバイスはありますか?

 

好奇心を持つことがとても大切だと思います。メディテーションが何かわからなくても、自分の周りで起きていることに好奇心を持ち、観察し、それを受け止めてみましょう。今この瞬間に集中してみてください。メディテーションにはいろいろな種類があるので、自分がこれならできそうと感じるものからまずはトライしてみてください。メディテーションに関する本を手に取るとか、メディテーションの先生を見つけるとか、あなたの次のステップが何であれ、まずは好奇心を持つことからスタートしてみてはいかがでしょう。

 

プロフィール

ブレンダ・ウマナは、ヨガ、マインドフルネス、パブリック・ヘルスの専門家としてキャリアを築いてきたウェルネス提唱者です。コロンビア大学で公衆衛生の修士号を取得した彼女の今後の目標は、自分の知識やプラクティスを共有し、誰にとっても親しみやすくすることです。

彼女はAmazonで「Meditation on Paper」というタイトルの本をリリースしました。

ライター:プロフィール

著者:堀江知子(ほりえともこ)|タンザニア在住ライター

民放キー局にて、15年以上にわたりアメリカ文化や社会問題についての取材を行ってきた。

2022年からはタンザニアに移住しフリーランスとして活動している。

noteやTwitterのSNSや日本メディアを通じて、アフリカの情報や見解を独自の視点から発信中。

出版書籍:『40代からの人生が楽しくなる タンザニアのすごい思考法 Kindle版』

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