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グレートリセットがもたらす変革とは?経済・環境・社会の未来

 

私たちが生きる現代社会は、これまで目覚ましい発展を遂げてきました。

 

特に第二次世界大戦から現代に至るまでの発展は、日本だけでなく世界中が生きやすい社会づくりを目指してきたといえます。

 

一方、さまざまな発展の裏で危機的状況に陥っている人々や環境があるのをご存じでしょうか。

 

今回はこれらの危機に対応すべく考え出された「グレートリセット」とは一体どんなものなのか、また実際にグレートリセットが起こった場合はどんな変化があるのかについてご紹介します。

 

グレートリセットとは?

 

グレートリセットとは、2020年に開かれた世界経済フォーラムにて、クラウス・シュワブ教授が発表した論文に登場した言葉です。

 

その名の通り「重大な初期化」という意味を持ちますが、具体的には何をどう初期化するのでしょうか。

 

そもそもグレートリセットの考え方は、さまざまな点で便利になった現代社会において、それらの仕組みを一度リセットすることでより良い社会作りを目指す、といったものです。

 

そもそもの始まりは世界中で猛威を振るった「COVID-19(新型コロナウイルス感染症)」であり、私たちは非常に大きな打撃を受けました。

 

感染者数が少なくなった今もCOVID-19による影響は色濃く残っており、今後どう改革が行われるのか、また同じようなパンデミックが起こらないためにはどうすべきなのか議論がなされています。

 

グレートリセットが推奨されているのはCOVID-19に関連する内容だけではありません。

 

まずは経済・環境・社会の側面に焦点を当て、それぞれどのようにグレートリセットを行うべきなのか見ていきましょう。

 

経済的グレートリセット

経済の面でグレートリセットが必要とされているのは、主に労働者の雇用に関する問題が原因です。

 

世界は時代が進むにつれてロボットなどさまざまな技術を取り入れ、人の負担を軽減すべく進化してきました。

 

近年ではAIの広まりによって、「近いうちに失われる職業」が話題となるなど、私たち人間が担うべき職に変化が訪れています。

 

AIは正確かつスピーディな作業が可能であるため、単純作業がメインである職業は人間よりも効率的に仕事ができるでしょう。

 

さらには自動運転が進めば、タクシーやバスの運転手などもAIで代用される可能性があります。

 

こういった企業によるAI雇用が積極的に行われると、雇用の機会が減るどころか、現在働いている人々が職を失うリスクが高まります。

 

AIを運用する職種などが増える可能性も同時に高まりますが、職を失った人々が必ずしもAIを運用できるとは限りません。

 

また、現代社会で問題視されているのが「違法労働」です。

 

賃金の発生しないいわゆる「サービス残業」を強要したり、契約時の賃金とは大幅に異なる収入で働かされていたり、指定された日に休みがとれず過労で倒れたりとさまざまな問題が発生しています。

 

これらの問題はここ数年で始まったものではありませんが、労働基準監督署なども全ての企業の実態を把握しきれず、現在に至るまで問題が浮き彫りになっていないところも多数存在します。

 

そのため、一度グレートリセットを行い全てを白紙に戻すことで、新たな雇用方法を模索しようというわけです。

 

環境的グレートリセット

誰しもが自分のことと受け止め、行動していかなければならないといわれているのが「環境問題」です。

 

例えば生態系に大きな影響を及ぼす海洋プラスチック問題は、このまま進むと2050年にはプラスチックごみが魚の量を上回ると予想されています。

 

浜辺でごみ拾いなどのボランティアに協力してくれる方もたくさんいるものの、海全体のごみを減らすには至っていません。

 

また、地球温暖化も大きな問題の一つです。自動車などの乗り物から出る排気ガスはもちろん、可燃ごみを燃やす際にも大量の二酸化炭素が発生します。

 

これらのガスは通称「温室効果ガス」と呼ばれ、地球の温度を上げて生態系を壊すほか、海面上昇により島国が水没するなどさまざまな影響を及ぼします。

 

これらの環境問題はもはや、私たち一人ひとりが異なる方向を向き、自分にできることをするだけでは歯止めが利かない事態へと陥ってしまいました。

 

グレートリセットにより現在のシステムを白紙に戻し、地球全体で環境を守る方法を考えなければなりません。

 

社会的グレートリセット

グレートリセットで状況を大きく変えなければならないのは、私たちを取り巻く社会も同じです。

 

私たち人間は誰もが皆平等であり、同じような生活を送れるはずです。

 

しかし現在の社会はというと、性別や国籍・民族などを理由に所々で差別が行われ、悲しい思いをしている人が多数存在しています。

 

誰もが根底では「差別をしてはいけない」と分かっていても、経済状況によって生き方に違いが出たり、障害の有無によって生活が異なったりする点は避けられません。

 

日本人ばかりのコミュニティに一人だけ外国人がいる場合、急に日本人と同じように対応できる方は少ないでしょう。

 

悪意を持って行われる差別はもちろんのこと、自然に生まれる不平等をなくし、誰もが同じように社会と関わりを持てる日々を目指す必要があります。

 

グレートリセットによって固定観念や刷り込みを白紙に戻すことも、差別をなくす第一歩といえるでしょう。

 

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グレートリセットが起こったらどうなる?

 

さまざまな問題を抱えている私たちは、グレートリセットによってどのような変化と直面することになるのでしょうか。

 

単なる「改革」とは異なり、これまでに築き上げてきたシステムが全てゼロからの出発となるため、当然変化の度合いも大きいはずです。

 

経済・環境・社会のそれぞれにおいてどのような変化が期待されているのか、詳しく見ていきましょう。

 

経済面

私たちに関係の深い面でいえば、それぞれの企業が実態を透明化し、一人ひとりに対し公正に対応することが大切です。

 

もちろんこれは一企業だけでなく、社会全体あるいは世界中が、国際的な問題に対し同じように取り組まなければなりません。

 

そのために創設された国際機関や国際会議を有効に利用し、世界全体が同じ方向を向いて協力し合うことが大切です。

 

また、これまでは企業が自身の利益を優先とする「株主資本主義」であったのに対し、今後は従業員や顧客・取引先など企業に関わる全ての人が利益を得られるよう配慮する「ステークホルダー主義」へ変わっていくことが予想されます。

 

これにより違法労働や賃金の未払いが減るだけでなく、未だ株主資本主義を貫く企業が目立つようになり、社会全体の労働環境が改善へと向かっていくでしょう。

 

企業が自身の利益だけを重視せず、全体を見据えて経営できれば、市場は公平性を保ちやすくなります。

 

AIの導入によって職を追われても、社会全体で新たな雇用を生み出し、生活難民を減らすことにも繋がるでしょう。

 

環境面

私たちが地球を守るための第一歩として、燃やしたり埋め立てたりするごみを減らし、再び使えるものは使う、といった「3R」の考え方があります。

 

  • Reduce:リデュース|物の耐久性を高めたり過剰包装をやめたりしてごみを減らす
  • Reuce:リユース|詰替え用製品を選んだり不用品を売ったりして物を再び使う
  • Recycle:リサイクル|資源ごみを再生利用し新たな製品として使う

 

これらはあくまでも資源物やごみが出ることを前提として考えられていますが、新たな取り組みとして必要なのが「サーキュラーエコノミー」です。

 

ごみを資源に回して再生利用するのではなく、そもそも現在ある資源の中でやりくりすることで、新たな廃棄物を減らす効果が期待できます。

 

これまで私たちは、プラスチックという素材を「便利なもの」としか考えてきませんでした。

 

それゆえにプラスチックを資源として利用することも、新たにプラスチック製品を生み出すことも悪だとは思わず、意識せずに過ごしてきたはずです。

 

サーキュラーエコノミーの考えが広まれば、プラスチックの有用性を再認識することに繋がり、「限りある資源」としてより大切に使えるようになるでしょう。

 

また、ロシアがウクライナを侵攻したことによって、天然ガスをはじめとする資源の価格が高騰し話題となりました。

 

こういった資源には限りがあり、近い将来枯渇することが分かっています。

 

石油・天然ガス・石炭などに依存せず、新たなエネルギー生成の方法を見出すことこそ、環境を守るために重要です。

 

これらの天然資源に頼らずに生きるとなると、私たちの生活はさまざまな方法で生み出された電力によって支えられることとなるでしょう。

 

自動車のエネルギー源がガソリンから電気や水素へ変わりつつあるように、さまざまな面で変化が訪れるといえます。

 

社会面

社会面におけるグレートリセットは、人々の間に渦巻く差別の種を無くし、誰もが平等に生きられることを目指します。

 

第一に経済的な問題などが原因となる「教育」において、いかなる状況に置かれた子どもであっても、同じ年齢で同じ教育を受けられるように均等化することが大切です。

 

これは大人の場合「就労機会の均等化」に当たり、雇用がない・能力が足りずに雇ってもらえないといったトラブルを無くし、誰でも仕事に就きお金を稼げることを目標としています。

 

また、これらの目標を達成するためには、人々がお互いの違いを理解し、協力し合うことが大切です。

 

私たち人間は自分と違う相手に対し「よく分からない」「怖い」といった感情を持ち、それが差別へと繋がっていきます。

 

人種を超えたコミュニケーションを得ることで、相手を深く理解し、身体の違いや考え方の違い・生活の違いなどを受け入れることが重要といえます。

 

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グレートリセットを実現させるには?

グレートリセットは個人で行うものではないため、実際に行うためには世界中の国々が理解を示す必要があります。

 

そのため、具体的に何を行うのかも含め、話し合いには長い時間がかかるでしょう。

 

2050年までに「脱炭素」が完了し、二酸化炭素の排出量がゼロになる未来を目指して環境活動が行われるなど、私たちの身の回りでも少しずつ変化が始まっています。

 

こういった未来を現実のものとするためには、私たち一人ひとりの意識改革が重要だといえるでしょう。

 

グレートリセットに備える

 

グレートリセットは良いことばかりのように思えますが、実際はリセットによって何が起こるか分からない点に注意が必要です。

 

長い時間がかかるといわれているため、事前にできる限りの準備をしておきましょう。

 

第一に、グレートリセットが起こることで経済に影響が及び、資産の価値が大幅に変わる可能性があります。

 

今保有している資産が、数十年後もそのままの価値であるとは限りません。

 

今のうちから資産運用に関する正しい知識を身に着け、リスクを分散するためにもさまざまな方法で資産を分けておくと良いでしょう。

 

また、一部の人にとってはグレートリセットによって大きく職務内容が変わったり、場合によっては職を変えることとなったりする場合があります。

 

慣れ親しんだ仕事から全く新しい仕事へ変わる際は、少なからずストレスがかかることでしょう。

 

同じ状況に置かれている人と情報を共有し、協力し合って生活することが大切です。

 

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まとめ

現在のさまざまなトラブルを一掃すべく打ち出された「グレートリセット」案。

 

便利になった日常の裏で誰かが困っている現状を打破するため、私たちの生活は大きな転換期を迎えるでしょう。

 

世界中が手を取り合って行われるグレートリセットですが、影響を被ったり、環境に慣れたりするのは私たち一般市民です。

 

あらかじめ正しい知識を身に着け、来たるその日まで準備をしておくことが大切です。


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