ため息呼吸法はストレス軽減に効果的?研究で明らかになった効果とは
私たちは日常的にため息をつきます。
疲れたとき、イライラしたとき、不安なとき、あるいはホッとしたときなど。
この“ため息”という生理反応に注目し、それを意識的に行うことで心身を整える「ため息呼吸法」が、近年注目を集めています。
本記事では、「ため息呼吸法」の研究結果や方法を解説します。
ため息呼吸法とは?
ため息呼吸法とは、自然に出る“ため息”の動きを意識的に再現し、それを繰り返すことで心身を整える呼吸法です。
単なる深呼吸とは異なり、腹部から胸部へと2段階で息を吸い、ゆっくり長く吐くという特徴的な呼吸パターンを持っています。
スタンフォード大学医学部の精神科教授で、呼吸パターンと神経系の関係を研究しているデイヴィッド・スピーゲル氏は、ため息呼吸法について次のように説明しています。
「ため息呼吸法は、呼吸と心の状態をつなぐ橋渡しになります。意識的に呼吸をコントロールすることで、副交感神経が活性化され、心拍数や呼吸数が自然と落ち着き、短時間で心身を整えるセルフケアとして非常に効果的です」
近年では、職場でのストレス対策や、睡眠の質向上を目的としたセルフケア手段としても注目が集まっています。
特別な道具や知識が不要で、誰でもすぐに実践できる点も多くの支持を集める理由の一つです。
スタンフォード大学が行った比較研究の概要
呼吸法とマインドフルネス瞑想の効果を比較した研究では、以下の4つのアプローチが比較されました。
- ため息呼吸法
2段階で息を吸い、ため息のようにゆっくり長く吐く呼吸法 - 箱呼吸
吸う・止める・吐く・止めるを同じ秒数で繰り返す呼吸法 - 周期的過呼吸
浅く早い呼吸を連続して行い、意識を変化させる呼吸法 - マインドフルネス瞑想
呼吸や身体感覚に意識を向け、現在の状態に注意を向ける瞑想法
被験者はそれぞれの方法を毎日5分間実践し、ウェアラブルデバイスで心拍数と呼吸数が記録されました。
その結果、全ての手法が不安の軽減や気分の改善に一定の効果をもたらし、なかでも「ため息呼吸法」が呼吸数を最も効果的に減少させました。
5分でできる、ため息呼吸法のやり方
実践方法はとても簡単です。
以下の手順を参考にしてみてください。
- 楽な姿勢で座るか、横になってリラックスします。
- 鼻からゆっくりと息を吸い込み、お腹を膨らませます(腹式呼吸)。
- そのまま一瞬息を止め、次に胸を広げるようにもう一度少し吸い足します。
- 口または鼻から、ゆっくり長く息を吐き出します(ため息のように)。
このサイクルを5分間繰り返します。
ため息呼吸法は、スタンフォード大学が提供するアプリ「Reveri(レヴェリ)」でもガイド付きで体験できます。
※AndroidではGoogle Play、iOSではApp Storeからダウンロード可能ですが、アプリ内の案内は英語表記となっています。
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まとめ:ため息はネガティブじゃない。意識すれば、あなたを整える力になる
ため息呼吸法は、取り組みやすさと即効性の両方を兼ね備えており、日常に取り入れやすく、多くの人にとって心強いセルフケアの選択肢となるでしょう。
今日から1日5分、意識的な「ため息」を習慣にしてみませんか?
落ち着く時間を日常に取り入れることで、あなたの心と体は、静かに整っていくでしょう。
習慣化するために、スマートフォンのリマインダー機能などを活用して、毎日同じ時間に取り組むのがおすすめです。
