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山田優の愛情「愛を注ぐほど、人は強くなるから」

2022年に結婚10周年を迎え、オンオフともに充実した日々を送る山田優さん。前回のインタビューvol.1に続き、vol.2ではあらためて家族のこと、夫婦のこと、そして今、一人の女性として描いている夢について伺います。

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「めちゃ怒り、めちゃ褒める。それが私の子育てスタイル」

2012年に結婚し、現在は可愛い子供たちを含めた賑やかな生活を「この10年、嵐のような日々を駆け抜けてきた」と振り返ります。「無償の愛を教えてもらった」と家族について話す横顔はまるで聖母のようであり、ときに肝っ玉母さんのようであり。愛について語る姿に、彼女の本質が見えてくるようです。

― 現在は母親として育児に邁進する日々。子育てにおけるルールや哲学のようなものはありますか?

「1日、1ヵ月、そして1年があっという間に過ぎていくなかで、とにかく心がけているのは、やるべきことを後回しにしないこと。仕事はマネジャーがリマインドしてくれますが、家族のことは誰も教えてくれないから(笑)。洗濯しなきゃ、お茶碗を洗わなきゃ、宿題を見なきゃ・・・目の前のタスクをただこなすだけで精一杯の日々です。

哲学と呼べるほどのものはないけれど、『めちゃ怒るけど、めちゃ褒める』のがマイスタイルかな。私ね、すごくよく怒るんですよ。その場ですぐに“なぜ怒ったのか”を、子供の目を見てしっかり話します。で、話が終わったらすぐに笑顔に切り替える。長々と話をしても、子供は結局聞いていないからムダです(笑)。何より嫌なムードを引きずりたくないんですよね。

もともと忍耐強かったけれど、さらに我慢強くなったと思います。私はとにかく子供が大好きで、ずっと一緒にいて見ていても飽きない、そんなタイプでした。ただ『子供が好き』という気持ちと『自分の子供を育てる』のは別次元。『こんなに話が通じないなんて!』と頭を抱えることもあります。それと同時に、あふれんばかりの愛情が湧き出てくるのだから不思議。無償の愛と忍耐と。子育てはその繰り返しなのかもしれません」

― また今年は、結婚10周年という節目を迎えましたね。

「家族ではない人とこんなにも長く一緒にいられるなんて思っていませんでした。それが今では、なくてはならない存在になって。親友であり、恋人であり、家族であり・・・うまく言葉にできないけれど、かけがえのない存在だと思います。今、二人だけの時間をつくるのはなかなか難しくて、子供たちが学校に行っているときに少しゆっくりするぐらい。そのぶん、記念日のディナーなどは二人だけで出かけるようにしています。

夫婦仲良く、幸せに暮らすための心得は・・・そうですね、少しの思いやりといい意味での諦め、かな(笑)。まずは『ありがとう』『ごめんね』という声かけと日常のスキンシップ、そして相手の話を聞く思いやり。生まれた環境も育った環境も違う二人だから、考えていることが違うのはあたり前。わかってもらおうとするとからイライラするわけで、大半は諦めることで解決するような気がするんです。それでもストレスが溜まったら、きちんとコミュニケーション。『〇〇してくれたらうれしいな』と、具体的なアプローチを伝えることを心がけています」

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「人のために尽くすことが私の生きるエネルギーになる」

― 2019〜2020年にわたり家族でアメリカに移住しました。どんな暮らしぶりだったのでしょうか。拠点を変えて、どんなことを感じましたか?

「一言でいうと、最高でした(笑)。とても気が楽になって、深呼吸できた感じでした。私たちのことを誰も知らない土地で平凡に暮らす。ごくあたり前の穏やかな日常がそこにありました。気持ちがずっとフラットのままで、余裕すら漂っている感じ。途中からコロナ禍となって半年ぐらいは家から出られなかったけれど、家族でゆっくりと過ごせたのは本当に久しぶりでした。今でも子供たちと『アメリカに戻りたいね』と話しています。

異国の地に降り立って何者でもない自分になって、改めて気がついたのは、私はやっぱり人に尽くすのが好き、それが生きる原動力なんだということでした。家族だけで遠い国に渡り、最初はまだ慣れない環境のなかで、少しでもリラックスしてもらうためにはどうすればいいのか、すごく考えました。美味しいごはんをつくる、寛げるインテリアを整える・・・そうやって人のために動くことが私の幸せだし、逆にそうすることで私は安定が得られた。いや、本当は私だって、尽くされたいんですよ(笑)。でもやっぱり長女気質なのかな、いつもちょこちょこと動いてしまう。そんなことにも気付かされた幸せな時間でしたね」

― 愛あふれる日々のなかで、それでもストレスを抱えることもあると思います。そのときの対処法はありますか?

「韓国ドラマを観る! 漫画を読む! 今の生活から脳内だけでもエスケープして、別世界の物語を覗きにいく感じです。基本的にはラブストーリーが好き。あとは強き女性が戦い、生き抜く話も勇気をもらえるから大好きです。本当にフラストレーションが頂点に達したら・・・泣くこと。涙を我慢しないで、流してしまうんです。涙にはデトックス成分が入っていると聞くけれど、不思議なことに気持ちがスッキリするんですよね」

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「今やるべきことに集中した先に、未来への扉は開くのだと思う」

― さて、現在37歳。一人の女性としてどんなことを考えていますか? 叶えたい夢はありますか?

「若さあふれるわけでもなく、円熟味を増しているわけでもなく、なんとなく中途半端な年齢なのかなと感じます。ただこれからは数字にとらわれず、自分らしさをどれだけ楽しめるかが重要な気がしていて。若い子の話題についていけないとジェネレーションギャップを感じることもあるけれど、今の気持ちに素直になってミニスカートを楽しんでいる自分もいる。世間体や規範に縛られずに、自分らしいスタイルをつくっていけたらいいなと考えているところです。

今は子育て中心だけれど、少しずつワクワクするような仕事に携わっていけたら、とも考えています。毎回じっくりとテーマを探りながら唯一無二の世界観をつくり上げる、そんなグラフィック撮影もやりたいですよね。今は現場に大勢が集まることが難しいけれど、クリエイティブな魂は誰にも奪えないもの。オンラインやリモートのメリットも活かしながら、創作活動をすることに憧れています。映像作品も地上波だけでなく、動画配信サービスが面白いことになっていますよね。生の息遣いが感じられる舞台も、いつかまたやりたいな。今はとにかく大きく夢を描いて、その欲望を寝かせている最中。大切に温めて熟成させているところです」

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「もしかしたら昔のほうが年齢を気にしていたのかもしれないですね。『若くないとできない。今やらなきゃ!』って焦っていたこともあったかな。若いことは一つの武器だと思うし、否定はしないけれど、懸命に生きて少し年を重ねた今、若さへの執着や年齢に対するこだわりがどんどんなくなっているんです。それは、今まで出会った素敵な先輩たちが『人生はこれから』『何歳でも挑戦できるよ』と、言葉や生き様で教えてくれたから。私は私のペースで、今の環境でやるべきこと、できることに全力を注いだ先に、また素敵なギフトが用意されているはず。今はそのステージを楽しみにしているところなんです」


「今は『お母さんだから』『もう何歳だから』という縛りがなくなっているし、自分からもその概念がどんどん外れていっている」と語ってくれた優さん。そして「これからはアンテナを張り巡らすこと、時代の波をキャッチすること、そして行動することが重要だと思う」とも。妻として母として、そして一人の人間としてブラッシュアップしながら、肩肘張らず、今の自分をナチュラルに肯定する。その奥に、愛を惜しみなく注ぐ人の強さが垣間見えた気がしました。


次回Vol.3では、食のこだわり、願いを叶えるために続けていること、さらにファッションの未来まで、じっくりと伺います。


Profile
山田優(やまだゆう)
1984年沖縄県生まれ。1999年、ダンスユニット「y’s factory」としてデビューしたのち、2000年からファッション誌『CanCam』の専属モデルとして活動開始、抜群のルックスで多くのファンを魅了する。ドラマ『貧乏男子 ボンビーメン』、映画『新宿スワン』シリーズ、『食べる女』ほか、女優としても活動の幅を広げたのち、2012年に結婚、現在は母として育児に奮闘中。自分のペースで、雑誌や広告ほか、多岐にわたるジャンルで活躍している。
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PHOTO = 彦坂栄治
STYLING = 平野彩
HAIR & MAKE-UP = 福川雅顕
TEXT = 本庄真穂

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