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山田優の決断「自分の足で歩くということ」

私たちを惹きつける特別な魅力を持つひとは、誰にも負けない“個性”という輝きを放っています。各界で活躍し続けている彼女や彼に、“自分らしく”を大切にする生き方についてインタビュー。そのオリジナルなスタイルの秘密を探ります。ここから3回にわたり、モデルとして絶大な人気を誇る、山田優さんをフィーチャー。

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「言いたいことが言えない。それがずっとコンプレックスでした」

10代後半から20代半ばまでファッション誌『CanCam』にて専属モデルを務め、現在は『GINGER』ほか雑誌や広告、WEBメディアにて極上のスマイルとセンスを披露する山田優さん。プライベートでは子育てで忙しい日々を送る一方、2021年には個人事務所を立ち上げ、自分のペースで仕事に打ち込んでいます。自分の意思を強くもち、モデル、俳優としてのキャリアを築いてきた女性・・・と思いきや、過去にはコミュニケーションの悩みを抱えていたのだそう。

― モデル、俳優として20年以上のキャリアを築いてきました。この仕事につくきっかけは何だったのでしょうか。

「沖縄で生まれ育ち、歌手としてデビューしたのち上京しました。モデルデビューは『SHIBUYA 109』の前で『CanCam』編集部の方にスカウトされたのがきっかけで。歌手がモデルをやるなんて事務所が認めないだろうと思いつつ、どうしてもやりたいと直談判してモデル業をスタートしました。こういうとまるで自分の意思を上手に伝える女性のように聞こえるかもしれないけれど、実は正反対で。恥ずかしがり屋で引っ込み思案で、ずっと『言いたいのに言えない』というコンプレックスを抱えていました。

 

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仕事に対しても受け身で、『怒られるのが怖い』と言う勝手な思い込みでコミュニケーションを避けていたように思います。そんな不器用な自分に嫌気が差して、事務所に黙って髪の毛を切ったことがありましたね。ずっと短くしたくて、でも相談したら反対されると思い込んでいたから、内緒でバッサリ! もちろんタイミングは熟考しましたよ。あの仕事も終わったし、あの案件もひと段落ついたし、切るなら今でしょ、って(笑)。結果・・・もちろん大目玉をくらいました。でもとにかく気分がすっきり! 自分の意思で行動したことで、一気に視界が開けた気がしました。

何よりそれをきっかけに、事務所の方とたくさんの話し合いができたんですよね。私は何が好きなのか、何をやりたいのか、何を目指しているのか・・・。たっぷりと語り合うことで、より信頼が深まった気がします。さらにその流れで、大きな仕事が立て続けに決まったりして、髪を切るという選択が間違ってなかったことを実感できて。大きな自信にもつながったんです」


幼くてもつたなくても、意思表示をすることで周囲との関係性が少しずつ変化。仕事への意欲がますます高まるなか、ある人との出会いがさらに優さんを大きく変えていきます。

― コンプレックスを克服するべく行動を起こすなかで、影響を受けた人はいますか?

「受け身だった私が、少しずつ自分の考えを伝えられるようになったのは、夫との出会いも大きかったと思います。ドラマの共演で知り合った彼は、作品をつくるうえでとにかくコミュニケーションを大切にしていました。台本、役柄、セリフに至るまで、お互いに何を考え、どうしたいのかを徹底的にディスカッションして。それを反映、昇華させて、作品をブラッシュアップさせていくーー。そんなやり方を目の当たりにして、ものすごく刺激を受けたんですよね。

仕事のステージを上げるには、そして自分の人生を切り拓くには、しっかりと考え、相手の目を見て、きちんと話し合う。そんな当たり前のような、でも何よりも尊いことを学んで、『言われるがままのお人形』から『意志をもつ大人』へと少しずつ変化していけた気がします」

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「思い切って独立してみたら、仕事の幅が広がりました」

― そして2020年をもって事務所を退社。個人事務所を立ち上げて1年と少しが経とうとしています。

「守られた環境から独立することに迷いもありましたが、前事務所含めたいろんな方の協力もあって、少し環境を変えようと決めました。育児を優先しながら自分のペースで仕事ができるのはありがたいことだし、すべてが自分に返ってくるからやりがいがある。フットワークが軽くなって、仕事の幅も大きく広がったと思います」

ー 新たな挑戦など、仕事について考えていることは?

「私は心の底からファッションが好きで、もっと情熱を傾けていきたいという思いがあります。ただ世界は変革の真っ最中で、ファッション業界も例外ではありません。雑誌だけでなくWEB媒体、さらに今はSNSが強い影響力をもっていて、若い世代に思いを届けるためには欠かせないツールですよね。自分で『やる、やらない』を取捨選択できる今の環境は、その分野にもしっかり取り組めるのがすごく楽しい。ワクワクするものを自分の手でつかんで楽しむ。その喜びを体いっぱいで味わっています」

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「チームで、みんなで、ハッピーを目指したい」

おしゃれの着こなしから気になるビューティ情報まで、プライベートシーンが垣間見えるInstagramも人気を博し、フォロワー数は135.7万を突破(2022年3月31日現在)。環境の変化も、時代の変化も自然に受け入れて、自らを軽やかにアップデートし続ける姿が印象的です。

― 変化の激しい今、時代の波に乗るコツや心得はあるのでしょうか?

「今は変化の流れがすごく早いので、アンテナを張ってピンときたことは、とりあえず始めてみるようにしています。それが自分に合っているようだったら続けるし、そうでなければスパッとやめる。その考え方はごくシンプルです。無理をしては意味がないし、何をするにも楽しみながらでないと続かないと思うから。

意識しているのは、第三者の視点を取り入れること。悩んだときはマネジャーをはじめ、スタイリスト、ヘアメイクほか信頼できるスタッフに相談しています。自分だけではどうしても視野が狭くなりがち。それを始めることで何がもたらされるのか、周囲からはどう見られるのか、フラットな意見をもらうことで自分を客観視することが重要だと思っています。

ともすると今は、何かのきっかけで簡単に有名になれたり、突然ビジネスが広がることもある時代。でも目先のことにとらわれて仕事を受けていくのは、今の私には違うかなと感じています。それよりはずっとやってみたかったこと、刺激を受けること、自分が成長できることに目を向けたい。信頼できる人々と組んで、まだ見ぬいろんな方から意見をもらって、みんなでチームでハッピーに生きていきたい。そんなふうに考えている今日この頃ですね」


人気雑誌のメインモデルとして多くの女性を魅了し、時代を牽引してきた山田優さん。10代からキャリアを築き、独立を果たした彼女は、成熟した女性への道を着実に歩んでいるように見えます。この変化の激しい時代だからこそ、足元を見つめ、かつ未来を見渡す目をもっている。私たちはそんな彼女のこれからが楽しみでならないのです。


次回vol.2では、家族のこと、夫婦のこと、そして未来に描く夢について、たっぷりと伺います。


Profile
山田優(やまだゆう)
1984年沖縄県生まれ。1999年、ダンスユニット「y’s factory」としてデビューしたのち、2000年からファッション誌『CanCam』の専属モデルとして活動開始、抜群のルックスで多くのファンを魅了する。ドラマ『貧乏男子 ボンビーメン』、映画『新宿スワン』シリーズ、『食べる女』ほか、女優としても活動の幅を広げたのち、2012年に結婚、現在は母として育児に奮闘中。自分のペースで、雑誌や広告ほか、多岐にわたるジャンルで活躍している。
https://genuinely.jp/
Instagram @yu_yamada_


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PHOTO = 彦坂栄治
STYLING = 平野彩
HAIR & MAKE-UP = 福川雅顕
TEXT = 本庄真穂

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