水川あさみさんと「からだ」について語り合う!【対談 / 森カンナと未来人vol.1】
社会を広く見渡すユニークな視点をもち、連載エッセイ『ごきげんなさい』でもそのオリジナルな感性を披露している森カンナさん。彼女が「未来人=時代の先を走るリーダー」を招いて、あれこれと気になるテーマについて本音で語り合う新連載がスタート! 初回のゲストは、プライベートでも親交のある、俳優の水川あさみさんです。
私たちのからだは食べたものでできている
森カンナ(以下、森)「日ごろからよく一緒にいて、いろんな情報をシェアし合っている私たちだけど、今日あらためて話したいなと思ったのは、暮らしの基本となる『衣食住』について」
水川あさみ(以下、水川)「すごく大切なことだよね。今いちばん注目しているキーワードかもしれない。特に食。お互い結婚して、自分たちがつくったごはんが、家族のからだもつくることを目の当たりにして、さらに意識が高まっている気がする」
森「昔は1日2食ラーメンなんていう日もあったのに、今思うと信じられない(笑)。食に気を使うようになったのはいつぐらいから?」
水川「10年ぐらい前、かな。当時はジャンクなものも食べていたけど、朝だけはスムージーをつくるようになったのがきっかけ。最初は健康のためだったのが、からだにいいことをしていると気分も良くなると気がついて。以来少しずつ『自分のからだは食べたものでできている』という当たり前のことを実感するようになった」
森「あなたは情報を取り入れてから、行動に移すまでがすごく早いよね。『〇〇がいいらしい』と『やってみたら〇〇だった』までセットで教えてくれる(笑)」
水川「つねにアンテナを張っているし、良さそうと思ったらすぐ実践したい性格だから(笑)。でもね、何より大切なのは、それを共有できるカンナのような仲間がいること!」
森「確かに仲間でシェアし合うことで、その情報の質がどんどん高まっているかも」
水川「『すごいよかったよ!』はもちろんだけど、『やってみたけど、失敗した』『私には合うけど、〇〇な人には難しいかも』ということまで全部伝え合えるのがいいよね」
森「情報収集して、実践して、感想をシェア。いい循環ができている気がするな」
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糠床、味噌、甘酒・・・今ではすべて手づくりです
水川「私がすごく感謝しているのが、京都に住んでいるカンナのおばさんから糠床を分けていただいたこと。あれが『自分でつくる』ことを本格的に実践するようになったスタート地点だと思ってる。最初は慣れなくてダメにしたこともあったな・・・。試行錯誤を重ねて、今ようやく落ち着いてきたところ」
森「そこから発酵食に興味をもつようになって、今では糠床、味噌、甘酒、塩麹、醤油麹まで・・・すべてがお手製だよね」
水川「お味噌はもう3年目に突入。みんなで集まってみんなでつくる、その楽しいことといったら!」
森「ここまでハマった理由はどうしてなんだろう?」
水川「自分でつくって初めて、何が入っているのか、どういう工程でつくられるのか、どう発酵が進んで、どう出来上がるのか、そのすべてを見届けられるから、かな。私の場合、それを知るのが楽しいんだよね」
森「時短で便利な食品が役立つ場合もあるけど、自分が食べるものに対してもっとじっくりと向き合うと、発見や学びもあるし。そもそも、昔の人は手づくりしていたのだから、ならば自分たちもやってみよう、ということだよね」
水川「やってみると意外に簡単。思っていたほど難しいことではなかったしね。何より、自分でつくったほうが美味しく感じる。そこに手間ひまをかけておけば、調理はシンプルになるから素材そのものを美味しく味わえるのもいいんだよね」
森「からだへの効果って実感してる?」
水川「明らかに調子がいいかな。あとは体調を測るバロメーターにもなってる」
森「なるほど、バロメーターか~」
水川「私たちは高級レストランのうっとりする美味しさも、ジャンクフードの魅惑の味わいも知ってるよね。でもそれは、素材の味を生かしたごはんを『ああ、美味しい!』と感じられる健やかな舌があってこそだと思うの。シンプルな自炊ごはんに感動できるときは体調がいいときだし、逆に濃いめの味付けを求めているときは疲れているときだったりするから」
森「それ、すごくわかる気がする。自分の舌の感覚に敏感でいることって大切だよね」
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都会を謳歌し、自然を満喫する。大切なのはバランスだと思う
水川「『自分でつくる』の次のステップとして、私が目指しているのが『自分で育てる』。畑を借りているから、今はいろんな野菜を植えてトライしているところ。忙しくて足を運べないこともあるけど、自分で育てて、つくって、食べる。昔の人がやってきたスタイルを経験したくて、絶賛奮闘中」
森「私も畑で野菜を育ててみたい! スーパーマーケットでは、お肉やお魚はパックされて売られているし、野菜もきれいに陳列されているから、どう育って、どう実って、どう収穫されたのか、その背景が想像しにくいと思うの」
水川「東京に住んでいると自然に触れる機会が少ないけれど、実際に畑に足を踏み入れて、土を触っていると感謝の気持ちが湧いてくる。『いただきます』の本当の意味を知るようになるよね」
森「自然に触れるといえば、この前連れていってくれた逗子でのトレーニング、すごーく心地よかった!」
水川「海に入ったり、裸足で大地を踏みしめたり、緑あふれる場所でボーッとしたり。滋味あふれるごはんも美味しかったね」
森「ああいう場所に帰ると、いや帰るといっても自分の地元ではないけど(笑)、本来の自分に立ち戻る気がする」
水川「大切なのはバランスだよね。東京でアクティブに働いている自分と、自然豊かな場所でリラックスしている自分と。どちらも大切な自分自身だから」
森「そのとおり。どこにいても自分を見失うことなく、ナチュラルに生きていくために、豊かな感受性とプレーンな感性を備えておきたいな」
水川「お、いいこと言うね(笑)。同感です!」
健やかな思考を共有する二人は、ときにまじめに、ときに声を上げて笑いながら、「あ、うん」の呼吸で会話を進めていきます。現代社会に疑問を抱きながらも、偏った思考に陥ることなく「大切なのはバランス」と語る姿が印象的。vol.2、vol.3でさらに深まっていくトーク、どうぞお楽しみに!
次回vol.2では、今心地良いと感じるファッションについて、また心を整える暮らしぶりについて、さらに深掘りします。
Profile
水川あさみ(みずかわあさみ)
俳優。大阪府出身。完全招待制のショートムービー『太陽-TAIYO-』が特設サイトにて公開中。初監督を務めた短編映画製作プロジェクト『MIRRORLIAR FILMS』が公開待機中。またAmazon Original『モダンラブ・東京』が今秋世界同時配信。
https://am-sucre.com/
Instagram @mizukawa_asami
森カンナ(もりかんな)
俳優。富山県出身。映画『地獄の花園』『鳩の撃退法』、TBS『プロミス・シンデレラ』、フジテレビ『ラジエーションハウスII』など、数々の映画やドラマに出演。2021年には、自身初舞台となった蓬莱竜太演出『昼下がりの思春期たちは漂う狼のようだ』で、600人のなかからオーディションによって選ばれ、観客を魅了。放映中のフジテレビ 月9ドラマ『元彼の遺言状』(毎週月曜21時~)1話、2話にゲスト出演した。
https://kannamori.com/
Instagram @kanna_mori
HAIR & MAKE-UP = 岡野瑞恵
TEXT = 本庄真穂