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Advanced Mirai

2022.09.28 未来を創るコミュニティの場に。サステナブルな視点で描く建築の可能性【建築家デザイナー ファラ・タライエのIt’s My Story】

It's My Storyインタビューエシカル情報

サステナビリティをコンセプトに建築デザインを手掛ける、ファラ・タライエさんが描くのは、レボリューションが起こるコミュニティの場。ただ建築や空間をデザインするだけではない、そこを人々が集う場所にデザインする。そんなスポットが10月1日、東京・日本橋にオープンします。細部までこだわった彼女のデザインフィロソフィーとは?

 

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真のサステナビリティとは? これまでのマインドセットを変える

既存の壁や天井を活かしたミニマルなデザイン、貝殻から作られるしっくい、ペットボトルやカーペット廃材をアップサイクルした家具。建築におけるサステナビリティを追求し、自然と共存するデザインを提案する建築家デザイナー、ファラ・タライエさん。「地球環境の4割ほどの資源を使う建築が果たす役割は大きいです。素材は自然の中で何千年も生きているのに、建築では20年しか持たないというマインドセットを変えるべきなんですよね」と語ります。

新たに手掛けた日本橋のコーヒーショップ「GOOD COFFEE FARMS Cafe& Bar」&シェアオフィスの施設には、彼女のこだわりが随所に光っています。前述のとおり、既存の作りを極力活かすことで内装工事における廃棄物を約60%削減したほか、寿司屋で使われていたカウンターや木材、椅子などをアップサイクルしスタンディングデスクや階段の手すり、ハイチェアにするなど、廃棄される運命だったものにも命を吹き込んでいます。

「木材は特に高騰して希少。お寿司屋さんで大切に使われていた一枚板は、今欲しいと思ってもなかなか手に入らないんです。見つけてくるのにとても手間がかかるので努力が必要ですが、素材の循環や未来を考えた設計は、建築デザイナーの責任なんですよね」

今後、こういった余剰や廃棄予定のサステナブルな素材を一括で見られるMatinnoというアプリの計画も進めているのだとか。


アート作品がインテリア空間を華やかにアレンジ。スマホをかざすと、絵が動き出すスタートアップの技術も体験できる。


さらにファラさんのポリシーとして大事にしていることが、建物がどう使われるかというソフト面。「ハードとソフトを一緒に考えないと、機能しない場所になってしまう」と語ります。

今回の日本橋の施設は、グローバルスタートアップ企業が集う場所というコンセプトのもと、1階のコーヒーショップには、サステナブルなコーヒー豆のほか新しい技術やアイデアを展示するスペースがあったり、2~4階のシェアオフィスには、コミュニティが生まれる空間としてイベントや配信スペースとしても使えるよう工夫されています。

「特にこだわりは、シェアオフィスの壁にインテリアとして額縁を飾り若手のアーティストの絵を飾ること」

日本橋のアートギャラリーと組んで、定期的にアートを変えていくほか、スマホでアプリを起動し絵にかざすと動きだすといったスタートアップの技術が体験できるなど多角的な工夫が施されています。

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自然豊かなローマで過ごした幼少期。建築への目覚めとは?

イランのテヘラン出身で、5歳から自然豊かなイタリアのローマで育ったというファラさん。

「家の近くにある広い公園が毎日の遊び場で、葉っぱを集めてビーバーにあげたり、木登りが大好きで宿題も木の上でしたり、とかなり自由でした。土の臭いや雨上がりの情景など今でもはっきりと覚えていますね」

自由ながらも、教育熱心な親の影響で勉学に励んだファラさん。最初に建築に興味を持ったきっかけは、15歳のときイランの別荘を作っていた父親にファサードの構想を頼まれたこと。「野良猫や犬のための小屋を作ったり、と空間をデザインした初めての楽しい経験でした。教育に関してはスパルタの父でしたが、ファサードは自由にさせてくれて、今思うと寛容でしたね(笑)」

その後、高校時代を過ごした韓国でガラスやコンクリート、木などをつかった斬新な建築に魅了されます。ヨーロッパやアジアへの旅を重ねることで建築工学を追求することを決意していったそう。

「化学や芸術、生物、天文学、心理学、ITなど幅広い分野に興味があって、それらを全部活かせるのが建築だったのです。なかでも幼少期の自然の中で過ごした経験から、自然と調和する視点は欠かせないものでした」

イランの大学で建築を専攻後、漫画をきっかけに興味があった日本の東京大学大学院で建築を学び、東京大学工学部建築学科にてサスティナブル建築デザインで修士号を取得、建築家としての道をスタートさせます。

その後、10年以上にわたって建築家デザイナーとしてサステナブルなデザインを心掛けてきたファラさん。2020年には、人と環境によいインパクトを与えるデザインチームを率いたいという夢を実現し「NewNormDesign」を設立。地球環境だけではなく、働く人のマインドフルネスや女性のエンパワーメントをコンセプトにしたフランス企業の日本支社の設計や、1千平米規模のスマートシティの未来計画などにも携わっています。

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階段は天井を空けて古い躯体を露出させて資材を削減、インダストリアルな印象に。手すりは寿司屋で使われていた木材をアップサイクル。

誰も想像できないことを創造できるのが、建築家の醍醐味と語るファラさん。目的ではなく、無駄をなくし、循環できる仕組みを作る手段としてのサステナブル。

「偶然で出来上がるものが面白い。今回のケースだと階段の天井や、既存の壁に職人さんたちが自由に塗装した後など。その偶然のバランスが面白いしアートになるのです」

今後は、日本にとどまらず地球規模で、流れのまま興味のまま、今までやったことのないようなことにチャレンジしたいというファラさん。幼いころに親しんだ心のなかにある自然の情景を味方に、グローバルで、分野を超えた広い視点で活動を続ける彼女が手掛けていく新しい概念の空間、未来都市とはどんなものになるのかー-想像するだけで、私たちもワクワクと心が躍ります。

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profile
ファラ・タライエ(ふぁら・たらいえ)
建築家デザイナー、NewNormDesign代表。イランの首都テヘランで生まれ、5歳のころにローマに移住。高校時代を韓国で過ごし、その後2年間日本で過ごしたのち、建築家になることを志す。イランの大学で建築を専攻したのち、再来日し、東京大学、東京大学大学院でさらに建築を学ぶ。伊藤豊雄やリカルド・ボフィルなどの建築家に影響を受けながら、2013年に東京大学のサスティナブル建築デザイン修士号を取得。2020年にサステナビリティの要素を取り入れた自然と共存するデザインを提案する「NewNormDesign」を設立。2020年から2022年4月まで、ユニークな発想で社会問題に取り組むスタートアップを支援・促進するNPO団体ImpacTech Japanの代表も務める。2022年10月1日には、新たに内装設計・デザインを手がけた、グローバルスタートアップ企業の新拠点としてシェアオフィスが東京・日本橋にオープン。1階にはグアテマラ産のフェアトレード、環境に配慮したスペシャルティコーヒーなどを提供するカフェ&バー「GOOD COFFEE FARMS Cafe&Bar」を併設。
http://www.newnormdesign.com/


TEXT = 菅原絢子
PHOTO = 枦木功

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