グリーンサージの挑戦。障がいを持つひとの声を活かした服づくり
エシカルな取り組みで知られるファッションブラント「blueserge(ブルーサージ)」。ブルーサージが取り組む、アダプティブファッションレーベル「greenserge(グリーンサージ)」をご紹介します。
一人ひとりがファッションを楽しむための適応型設計
「アダプティブファッション」という言葉を耳にしたことはありますか? 誰もが快適に着脱でき、ファッションを楽しむことができるアダプティブなデザイン、つまり適応型設計(Adaptive Design)した服づくりへの取り組み。今、世界中で注目されているアクションです。
ブルーサージは2022年、まさにこの取り組みをスタートさせました。地球の未来を見据えた、サステナブルなモノづくりを実践するこのブランドが考えるアダプティブファッションは、とにかく本格的。「グリーンサージ」と名付けた、新たなレーベルとして育てています。
どんなふうにアクセシブルにしているのかーー。今回の撮影にもご協力いただいたブルーサージのスタッフに教えていただきました。
例えば、車いすを利用している方がコートを着たいと考えたときに生じる不自由ーー車いすに座る際に後ろに身ごろが引っ張られて着心地が悪かったり、お尻の下がモタついて邪魔だったり、車輪に裾が巻き込まれそうになったり・・・。その不自由を解消するためのアイデアを、グリーンサージの服にいくつも実装しているそう。
ブルーサージの人気アイテム、ベージュのトレンチコート。このコートを車いす利用を考えて設計したサンプルが完成しています。
立ち上がってコートを見せていただくとーー。
正面から見ると、ロング丈の普通のコート。・・・のようですが、ハの字のあしらわれたポケットにご注目。これは「車いすに座ったときに、ポケットから物がこぼれないように」という配慮から実現したパーツ。「座ったままでほとんどの生活をする方にとって、物を落としてしまうことは死活問題になります。こんなふうに角度を変えるだけで、物を落とさないポケットに生まれ変わります」。
そして、後ろ姿を見せていただくとーー。
なんと、後ろ身ごろの腰から下部分がありません・・・! これなら、座ったときに後ろに引っ張られたり、モタつく面倒もナシ。
実はコートの前身ごろのウエストから裾部分は、取り外し可能な仕様になっています。スナップボタンで着脱する仕組み。つまり、ショート丈のコートを着て、座ってからひざ掛け(ブランケット)のような裾部分を装着し、ロング丈コートに変身というわけです。
座ったとき、裾が足や車輪を邪魔することもありません。
ちなみにショートトレンチとブランケットは別売り。必要だと思う方だけがブランケットも購入するという選択ができることもエシカルです。
一人ひとりの障がいを考えた服をつくる、という挑戦
2022年の3月の時点で、日本の障害者の総数は、964.7万人(厚生労働省障害福祉課発表)。これは、人口の約7.6%に相当するそう。その内訳で、身体障がい者数は436.0万人にのぼります。
2019年の展示会からスタートしたエシカルブランド「ブルーサージ」、続けて在庫を黒染めすることで再商品化し廃棄処分ゼロを実現した「ブラックサージ」、そして「グリーンサージ」は今年2022年の立ち上げ。ブランドを率いる、アミアズ株式会社の代表取締役 財間宣彰さんにグリーンサージ誕生の背景などを伺いました。
「体に不自由がある方が、服に機能的なものを求めていくと、百貨店のユニバーサル売り場とかにある肌着みたいなものしかないのが今の状況です。『誰一人取り残さない』というSDGsの理念に基づいて、服づくりで何ができるのか?と考えたときに、ブルーサージの商品をちょっとアレンジしたり、パーツを付け足したり、足し算引き算して、それによって障がいを持つ方にとってすごく便利な服になったらいいなと考えています。車いすに乗りやすかったり、着やすくなったり、介助の方がお着替えさせやすくなったり。そこをめがけてのファッション性の高いものを届けたいと思っています」