ポリアモリーの特徴は?浮気と何が違うのか誤解されやすいポイントを解説
現在の社会は、男性・女性といった枠組みを超えた様々な恋愛観が受け入れられ始めています。
LGBTQ+と呼ばれる性的マイノリティの方々に対しても、専用のトイレが作られたり、アンケートにて性別を答える必要がなくなったりといった配慮が見られることが増えてきました。
一方、1990年代頃から始まったとされる「ポリアモリー」は、未だ世界中に受け入れられているとは限りません。
今回はポリアモリーの特徴や招きやすい誤解、本人たちがどのような悩みを抱えているのかについてご紹介します。
Contents
ポリアモリーとは?
ポリアモリーとは、複数の相手と恋愛関係にあり、その状態が許容されている状態を指します。
一見浮気のようにも思えますが、複数の相手とそれぞれ合意の上で恋愛をしているため、本人たちの中では何ら問題がないのが特徴です。
周囲に偏見の目で見られることも多く、ポリアモリーであることを隠している方も少なくありません。
日本は古くから一夫多妻制の国であるため、ポリアモリーに対して良い印象を抱かない人が多いという特徴があります。
そもそもポリアモリーという言葉を知らず、単なる浮気だと感じている方も多いでしょう。
ポリアモリーの方々は、こうした偏見の目にさらされながらも、自身の好む生き方を貫いているのです。
そもそもポリアモリーは、1990年代頃をきっかけに広まり始めました。
ギリシャ語の「ポリ(複数)」と、ラテン語の「アムール(愛)」を組み合わせた造語であり、浮気や不倫とは異なる形態として確立されています。
ポリアモリーの生き方を実践している人のことを「ポリアモリスト」、ポリアモリストが形成する家族を「ポリファミリー」などと呼びます。
日本では「複数愛」などと呼ばれることも多いため、覚えておくと良いでしょう。
ポリアモリーの特徴
ポリアモリーが一般的な浮気や不倫と違うのは、大きく分けて3つのポイントがあるためです。
それぞれの特徴をしっかりと理解し、ポリアモリー特有の考え方を理解していきましょう。
全員が合意している
ポリアモリーの特徴として挙げられるもののうち、もっとも大切なのが「それぞれの関係を全員が知っている」という点です。
A子さんがB太さん・C男さんの両方と付き合っていた場合、B太さんとC男さんはお互いの存在を知っており、さらに合意している状態がポリアモリーです。
中にはB太さんとC男さんがA子さんの予定を細かく把握しており、「今日は違う相手と会う日だな」と理解している場合もあります。
A子さんはB太さん・C男さんのいずれにも存在を隠す必要がないため、自然のままに振舞えるのが特徴です。
B太さんに対し、「昨日はC男さんと〇〇をした」と報告することもでき、ストレスのない関係性を築けるでしょう。
また、A子さんというパートナーがいるB太さん・C男さんは、それぞれ別の女性とお付き合いしている可能性もあります。
完全なるポリアモリーでは、B太さん・C男さんのそれぞれがお付き合いしている女性も、この複数愛を理解し、合意していなければなりません。
ポリアモリーに合意できる人はそれほど多いとは限らないため、ポリアモリスト同士が惹かれ合い、大きなコミュニティとなる可能性も高いでしょう。
持続的関係
ポリアモリーは必ずしも身体の関係があるとは限りません。
複数の相手がいることを合意していたとしても、一夜限りの関係ではポリアモリーとは呼べないでしょう。
何ヶ月、何年と関係が続くかは人によって異なりますが、いずれも持続的な関係を目的としており、一般的な恋愛と同じように時間をかけて信頼関係を構築しているのです。
また、ポリアモリストの中には相手へ恋愛感情を抱いている人もいれば、精神的な安心を求めていたり、経済的に支え合ったりする目的の人もいます。
結婚をするつもりはないが老後に一人で暮らすのは心配だという方や、子育てに自信がなく大勢で協力してやりたいと願っている方なども、ポリアモリーに当てはまるでしょう。
相手を所有しない
ポリアモリーでは、相手とパートナー関係にあるのみで、そこに束縛する目的はありません。
いくら複数愛に理解を示していても、相手は独立した考えを持った個人であり、尊重されるべき存在です。
「自分には複数のパートナーがいるが、あなたには自分だけを見ていてほしい」といった考えがあったとしても、相手の考えを理解した上で、お互いが納得できる答えを見出すのが特徴です。
ポリアモリスト同士の間では強固な信頼関係が構築されていますが、その根底にあるのは入念なコミュニケーションです。
相手の気持ちを知り、自分の気持ちを包み隠さずに伝えることで、お互いを尊重した関係性を築けるのではないでしょうか。
ポリアモリーへの誤解
ポリアモリーには複数のパートナーがいますが、日本ではまだまだ一般的な考えではありません。
それ故に周りへポリアモリストであることを明かすと、あらぬ誤解を生む可能性があるでしょう。
ポリアモリーに関する誤解は、口に出してしまうと相手が傷つくようなものばかりです。
相手の恋愛観に疑問を持った場合でも、安易に口に出すことはせず、ポリアモリーに関して正しい知識を付けることが大切です。
性に奔放
ポリアモリーは必ずしも性行為をするための関係ではありません。
身体的な快楽よりも精神的な安心を求めてパートナーを増やす人も多く、性に奔放であるとはいえないでしょう。
中には数々のパートナーと性行為に及ぶ方もいますが、これは私たちが特定のパートナーを選ぶのと同じで、愛する人と身体を重ねたいという思いから来る行動です。
数々の異性と性行為に及びたいだけならば、短期間の間にパートナーをコロコロと変えたり、一夜限りの関係を求めたりするでしょう。
ポリアモリーは通常の恋愛と同じく、会話やデートを重ねてお付き合いへと発展させていきます。
信頼関係を構築して初めて性行為へと繋がっていくため、慎重に性行為へ及ぶ方もたくさんいます。
複数でのセックスがすき
複数のパートナーがいるポリアモリストは、パートナー同士がお互いの存在を知っていたり、時には複数人で会ったりする場合があります。
大勢が属するコミュニティができている場合も多く、同じ考えを持った人が集うため、コミュニケーションも弾みやすいでしょう。
しかし、パートナーが大勢いるからといって、大勢で性行為へ及ぶわけではありません。
複数のパートナーと順番に会い、それぞれ1対1で性行為に及ぶ方がほとんどです。
もちろんグループセックスに同意していれば複数で性行為に及ぶ可能性もありますが、それが全てではないことを覚えておきましょう。
長く続かない
前述のA子さんを例に挙げて考えてみましょう。
A子さんにはB太さん・C男さんというパートナーがいますが、B太さんには別にD美さんという女性が、C男さんにはE奈さんという女性がそれぞれパートナーになっている場合があります。
この場合、A子さんがD美さん・E奈さんに嫉妬してしまい、関係がこじれてしまうのではと考える方も多いのではないでしょうか。
もちろん、ポリアモリスト同士の恋愛であっても、嫉妬により関係が終わってしまうことがあります。
しかしこれがすべてではなく、念入りなコミュニケーションの元、嫉妬の感情とうまく付き合っている人もたくさんいます。
ポリアモリストだからといって長続きしないとはいえず、一般的な恋愛と同じレベルで破局の可能性があるだけなのです。
遊びたいだけ
ポリアモリーを自認する方の多くは、精神的な安心を求めてパートナーを増やしています。
信頼関係を構築した上で性行為に及ぶことはあっても、身体だけで繋がる関係ではないことを覚えておきましょう。
真剣に考える対象が多いというだけで、真剣さの度合いは一般的な恋愛と変わらないため、ポリアモリー=遊びといった考えは間違いです。
関連記事:マイノリティ・マジョリティとは? 多様な社会の理解を深めるために
ポリアモリーの悩み
ポリアモリーを自認し、信頼できるパートナーができても、実際にはさまざまなデメリットに悩まされている方が多いでしょう。
ポリアモリストだからといって好き放題に生きている、と考えるのは間違いで、一人ひとり異なる悩みを抱えているものです。
続いてはポリアモリーならではの悩みをご紹介し、一人ひとりを理解するための準備をしていきましょう。
周囲が理解しづらい
先ほどもご紹介したように、日本をはじめとする各国では複数愛の考えが広まっておらず、周囲の理解が得られにくいといった特徴があります。
中には精神的な病を抱えているのではと、精神科や心療内科の受診を勧められた経験のある方も多いようです。
ポリアモリーを自認するパートナーと出会えた場合でも、家族や友人からの理解が得られず、泣く泣くパートナーとの別れを選ぶ方もいます。
婚姻制度に向かない
ポリアモリストにとって、婚姻制度はどのように利用すべきか頭を悩ませるポイントとなります。
日本では2人目のパートナーと結婚することはできないため、複数のパートナーがいる場合、誰と結婚すべきか迷ってしまうことも多いでしょう。
逢えて誰とも結婚せずにいたり、書類上は1人を選んで結婚をし他のパートナーとは事実婚をしたりといった対応を選ぶ方もいます。
誤解されやすい
周囲に理解されにくいのと同時に、誤解されやすいのも注意したいポイントです。
先ほどご紹介したような性的誤解を中心に、周りから傷つく言葉をかけられたり、不思議だからといって避けられたりする場合があります。
こういった差別は「自分とは違うものを排除する」といった人間の行動が根底にあり、なかなか完全になくせるものではありません。
ポリアモリーを理解するために
ポリアモリストであると公表している人はもちろん、未だ周りに公表できずに困っている人がより過ごしやすい環境を整えるためには、ポリアモリーについてしっかりと理解することが大切です。
身の回りにポリアモリーを自認する方がいたとき、そうでない方と同じように接するためにも、理解すべきポイントを学んでおきましょう。
ポリアモリーについて知る
ポリアモリーの大きな特徴として、「複数人のパートナーと対等に、誠実な関係を結んでいる」という点が挙げられます。
この根底を理解していないが故に、浮気症ではないかと悪口を言ったり、理解ができないと突っぱねたりしてしまうでしょう。
まずはポリアモリーを自認する人々と交流し、その考えについて知ることで、彼らが不誠実な目的で恋愛をしているのではないことが分かるはずです。
嫉妬と向き合う
ポリアモリーは複数のパートナーがいるため、精神状態によっては嫉妬の気持ちが沸き上がってしまう場合があります。
この嫉妬心は見て見ぬふりをしていても始まらず、誠心誠意向き合うことで自分自身の感情を整理することができます。
どうして嫉妬してしまうのか、パートナーにどうしてほしいのかといった希望を口に出し、モヤモヤとした気持ちと向き合ってみましょう。
また、嫉妬心が芽生えたときは、相手とコミュニケーションの機会を増やしてみると良いでしょう。
素直に嫉妬していることを伝え、相手の気持ちを考慮した上で、お互いが納得できる解決策を見出すことが大切です。
浮気との違いを理解する
記事の冒頭からここまでご紹介してきた内容を見ると、ポリアモリーが浮気ではないことが理解できるでしょう。
とはいえ文字や言葉で説明を受け理解した気になっていても、実際にポリアモリストを目の前にしたとき、心が受け付けない場合も考えられます。
どうしても本来の意味でポリアモリーが理解できないと感じた場合は、ポリアモリーを避けるのではなく、反対に積極的な対話をしてみるのがおすすめです。
「ポリアモリストの1人」として捉えるのではなく、「〇〇さん」といった個人で考えることにより、その人の本質を理解できるようになるでしょう。
個人が恋愛に関してどのように考えているのかを知ることで、複数愛全体に対してではなく、目の前の一人へしっかりと向き合えるようになります。
多様性と向き合う
今回ご紹介したポリアモリーは、多様性の中の一部です。男性が男性に恋をしたり、女性が女性に恋をしたりと、現代にはさまざまな恋愛の形があります。
ポリアモリーについて学んだことをきっかけに、様々な恋愛の多様性と向き合ってみると良いでしょう。
関連記事:ノンバーバルコミュニケーションと対人関係|恋愛においての重要性とは
まとめ
未だ日本では一般的ではなく、様々なシーンで誤解を生みやすいポリアモリー。
しかし彼・彼女たちの間では、一般的な恋愛よりも念入りなコミュニケーションが行われ、お互いへのリスペクトが存在しています。
彼ら全体を受け入れようと努力するのではなく、一人ひとりに目を向けて理解を目指すことで、あらゆる恋愛観と向き合えるでしょう。
gd2md-html: xyzzy Fri Aug 02 2024