Humming♪

一日の終わりに、まるっこい幸せを【山口乃々華 / コトノハ日和 vol.01】

言葉があるから伝えられること、伝わること。そこから広がっていく思考、癒し、つながり、希望、愛情・・・深くて力強いもの。女優 山口乃々華が、心に舞い落ちてきた“コトノハ(言葉)”を拾い集めて、じっくりと見つめ、ゆっくりと味わい、思いのままに綴っていく連載。さあ、一緒に元気になりましょう。

nonoka

今回、「Humming」でのエッセイ連載のお話をいただいたとき、読むひとの気持ちがパッと晴れていくような、軽くなるような、そして書いている私自身も楽しめるような、そんな気持ちのいい話を伝えていきたいと思った。

私の心に響く言葉や、いいなと思ったことなどにスポットを当てて、私なりに伝えていく。そんなエッセイ。

心の空間を広げるイメージで読んでもらえたらいいなと、今、私はシーンとした静かな部屋にて、くるくる回る椅子に座って、机に足をちょこんと(本当はドーン)と乗せて、思いっきりお行儀悪く、しかしリラックスした状態で、一人きりiPhoneを握りしめて文字を打っている。こうして集中している時間、好きだなぁ。

ねぇ、今日も一日ありがとう


さて、「ねぇ、今日も一日ありがとう」という言葉を選んだ私だが、正直に言うと、さほど特別な言葉ではないのだろう。名言とか、格言からいい言葉を探そうと思っていたけれど、ちょっと今の私にはどうも響かなくて。
そう、この言葉はありふれた日常のなかから切り取ったもの。けれど、「あ、いいな」と心地よかった言葉だった。


年が明けて、世間はお正月気分でにぎわっていたころ。そんななか、私はとある女性とずっと一緒に過ごしていた。実家にも帰らずに(少し時期をずらして、帰ろうと思う)怠けた数日間を同じペースで生きていた。

その友人は、私が20歳ごろに出会ったとてもチャーミングな年上の女性で、波長が合うのをお互いに感じ、仲を深めてきた。
それからまあ、いろんなことを共有してきたひとである。

例えば、深夜、あまりにもやるせないことがあったら、こんな時間に迷惑だよなぁと思いながらも電話をかけ、まとまりきっていない私の長い話を聞いてもらう。
「うんうん、大丈夫だよ、ゆっくり話して」と電話越しに慰めてもらいながら、終わりの決まっていない時間に甘えられる。そして、逆も然り。そんな友人。

彼女と過ごした数日間は、とても彩り豊かなもので、毎晩眠る前に必ず掛け合っていた言葉があった。それが「ねぇ、今日も一日ありがとう」だった。

会話のなかで自然に出てきたその言葉は、一日の締め台詞で、さ、眠りましょうね、という合図。

「ねぇ、今日も一日ありがとう」

まるっこい幸せに満ちた気持ちにさせてくれるこの言葉。
今あるものを、より満たしてくれる言葉なのだと思う。


よかったら、みなさんも誰かと一日を過ごした際に、言ってみてはいかがでしょうか。
ふたつ分の満ちた気分は、ひとつ分のそれよりもいいもので、ふっと笑顔になれるはずです。


nonoka


Profile
山口乃々華(やまぐちののか)
2014年からE-girls主演のオムニバスドラマ「恋文日和」第7話にて主演を務め女優業をスタート。映画『イタズラなKiss THE MOVIE』シリーズ、ドラマ・映画『HiGH & LOW』シリーズほか、2020年には『私がモテてどうすんだ』のヒロイン役など、数々の作品に出演。 2020年末までE-girlsとしての活動を経て、2021年より女優業として本格的に活動を開始。2021年3月、初のミュージカル『INTERVIEW~お願い、誰か助けて~』、同8月にはミュージカル『ジェイミー』(プリティ役)に出演した。ドラマでは現在TX「ビッ友×戦士 キラメキパワーズ」に出演中。書籍『ののペディア 心の記憶』(幻冬舎文庫)も好評で、文章を書くことも好き。
https://www.ldh.co.jp/management/yamaguchi_n
Instagram  @yamaguchi_nonoka_official


TEXT = 山口乃々華

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