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香りを纏い、自然を纏い生きる【イケてる農家「イケベジ」の農日誌Vol.3】

新潟県・佐渡島と兵庫県・淡路島を中心に自然栽培農家を営む「イケベジ」。今回はイケベジ発起人の一人、いもたろうさんが畑を営むことで体験したこと、学んだことをお届けします。今回は「ハーブ」のおはなし。


比類なきハーブ「ホーリーバジル」

夏もあっという間で残りわずかになってきました。農家は秋の種まきの準備に向けて、忙しくなってきた頃です。実は種まきは基本的には年に2回しかありません。この時季のためにさまざまな準備をしていくことで初めて、美味しいお野菜が育まれ、豊かな食卓を大切な人と分かち合えるのです。またこのことについては改めてお伝えできたらと思います。

さて、今回は僕が大好きなあるハーブについてお話を。
ホーリーバジルというハーブをご存知でしょうか? インドの伝承医学アーユルヴェーダで重宝され、魔除けやヒンドゥー教の豊穣の女神ラクシュミーの化身と言われ、寺院の周りによく植えられているそうです。サンスクリット語ではトゥルシーと呼ばれていて、その言葉には「比類なきもの」という意味が込められています。効能が非常に高いハーブで、ストレスホルモンであるコルチゾールを抑制する働きがあったり、抗酸化作用やストレスの緩和から睡眠の改善、抗うつ作用も期待できるハーブです。一般的にはハーブティーとして愛用されている方が多いのではないかと思います。

ホーリーバジルが生えている畑は本当に気持ちがいいんです。ミントのような清涼感と同時にスパイシーな香りが広がり、他の植物では表現できないような世界観があります。僕もそこにいると自分自身の根っこに還るような、そんな感覚になります。そんな素晴らしいハーブを去年から本格的に力を入れて栽培しており、僕にとってはどのお野菜、ハーブよりも「推し」の植物です!


香りが根っこのわたしと繋いでくれた

実は農家になってまもない頃から知っていたハーブだったのですが、より好きになったのは知人を介して淡路島で精油や芳香蒸留水を製造する「蒸留体験」がきっかけでした。植物性香料の抽出によく用いられる水蒸気蒸留は、火と水のエネルギーによって植物が持つ香りを含んだ水蒸気を冷やすことで、水分と油分を抽出する方法です。

初めて蒸留された時の香りは正直意識が吹っ飛びそうになりました(笑)。一瞬にしてホーリーバジルの香りに夢中になり、気付いたら自分の感覚がクリアになっていたのを今でも鮮明に覚えています。まさに「ありのままの自分」だったのです。種から自然と共に育んできたホーリーバジルの香りを、蒸留によって生まれた副産物を通じて、どこで何をしていてもいつでも香りを纏うことができ、この香りを通じて都会に暮らす人へも自然の感覚を届けたいと強く思うようになりました。僕はホーリーバジルから生きる喜び、希望を改めて教わりました。心から感謝しかありません。


この地球上のすべての命が比類なきもの

「イケベジ」というありのままの私で生きるコミュニティを仲間と育み始めた頃、再会したホーリーバジル。比類なきものという意味が込められた“トゥルシー”の在り方も本当に美しく、僕が自然から学ばせてもらった生き方とリンクしているのも偶然ではないと思います。ありのままでいられる世界を、自然と人が共に育んでいく。トゥルシーの香りを通してそんな営みが広がっていって欲しいなと思います。

9月9日には、買い物を通して豊かな地球を育むTells Marketさんによるイベント「MoFF 2022 – The Museum of Freewill & Future -五感で感じよう “100年先へ想い伝える” エシカル展」(https://tells-market.com/moff_2022)にイケベジメンバー全員で参加します! 畑で育まれたホーリーバジルの芳香蒸留水と精油もご紹介させていただくので、ぜひ会場でお会いしましょう。


Profile
いもたろう
イケベジ発起人、育み人。淡路島で「農」を通じて多くの「いのち」に触れる体験から、人も同じようにありのままで生きていくことで豊かになれると思うようになる。2021年春、友人とともに人も自然も共に育む場「イケベジ」をスタート。大学での講演活動や「命の繋がり・巡り」をテーマにした「育ベジRetreat」などありのままで生きる世界を広める活動を続けている。実は料理好きで、マクロビを取り入れた「いも飯」はイケベジの人気コンテンツ。
https://ikevege.com/


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