心がほぐれる田植えリトリート【イケてる八百屋「イケベジ」の農日誌vol.1】
新潟県・佐渡島と兵庫県・淡路島を中心に自然栽培農家を営む「イケベジ」による連載がスタート! 野菜を育てる栽培過程、土の中の微生物、自然環境、スタッフの気配りなど、目に見えない細部にこだわり、真摯に取り組むことを、“美しい・イケてる”と定義し活動中です。新しいことを面白がりながら挑戦していく彼らの活動のなかに、「人生がもっと豊かに、楽しくなる」ヒントが見つかるはず。
植物も人も“ありのまま”の姿は美しい
はじめまして! イケてる八百屋「イケベジ」のいもたろうと申します。今月から僕たちが育んでいるイケベジについてご紹介させていただきます。
イケベジは、昨年春からスタートした農を通じて“ありのままで在ること”の美しさから芽吹いたコミュニティです。従来の組織にあるルールやセオリーを尊重しつつ、各個人が人生を謳歌することで生まれるご縁や世界を楽しみ、育んでいく活動をしています。
現在は佐渡・淡路島を中心に生産活動を行い、東京・渋谷で開催される青山ファーマーズマーケットや駒沢公園周辺で、自然とアートから派生した「The gallery IKEVEGE」を拠点にさまざな活動を展開。農に限らず、自然から発生した美しいモノ・コト・ヒトが集まり、常に新しいご縁や世界が産まれる面白い場になっています。
多くのいのちに触れ、育む暮らし
第一回目は僕自身のお話も少しだけ。
神奈川県・横浜生まれで、現在は兵庫県淡路島でホーリーバジルの畑を営んでいます。今から約6年前に淡路島とのご縁がつながり、自然栽培と呼ばれる農業の在り方と出逢いました。当時の僕は、農業に関する知識や経験はほぼゼロ。しかしながら、農家やお客さんだけでなく、地域も自然も豊かになっていく自然栽培の可能性に魅了されて、農業の世界へ飛び込むことに。
大自然の中で多くのいのちと触れ合い、食べ物を育む暮らしは想像以上に豊かで、自分が育んだお野菜を食べて生きることは、ヒトとして自然な感覚を思い出すきっかけになりました。そして今では淡路島での暮らしをベースに、僕自身が体感したことをさまざまな形で発信させていただいています。
最高に心地よい田植え体験
さて、イケベジでは小さなお子様から大人まで農業体験ができるリトリートを提供しています。先日は2回目となる田植えリトリートを佐渡島で行いました。周りには自然のリズムに沿って生きているいのちがたくさん。それぞれのいのちが奏でるハーモニーを五感を通じて受け取ることで、一人ひとりのなかに宿る自然な感覚へ還っていく。淡路島とはまた違ったリズムが佐渡島には流れていて、とても心地良い場所です。
リトリートではまず田植えを行う前に、島を見守り続ける神様へのご挨拶へ向かいます。森の中にある参道を進み、境内へ入らせていただくと樹齢1,000年といわれる御神木が僕らを出迎えてくださりました。創立1,200年が経つ神社の神様は、自然と人が調和し育み合える暮らしを、長い間見守り支えてくださっているのだなと感じました。
そして神様へのご挨拶を済ませた夜は、五穀豊穣を祈願する佐渡の伝統芸能「鬼太鼓」をみんなで鑑賞。いよいよ明朝から田植えがスタートです!
品種は「亀ノ尾」という、コシヒカリやササニシキなどの銘柄米を生んだ品種改良の交配親としても知られるお米です。約100年前に山形県でほとんどの稲が冷害に見舞われた折に、阿部亀治さんという方が偶然見つけた3本の元気な稲から創選されたそう。そんな貴重な種を、淡路島の先輩農家さんが分けてくださったのです。まさにいのちのリレーです。そんな素晴らしいいのちの恵みが詰まった稲を3本手に取り、大切に植えていきます。
初めて田んぼに触れたときの気持ち良さ、聞こえて来る風や木々が揺れる音、そして鳥の鳴き声。目の前に広がる美しい緑を彩る野草たちのおかげで、とても穏やかな気持ちで田植えができました。ここから約5ヵ月、周りの大自然とともに育まれる稲の生長が楽しみでたまらないです。秋には稲刈りリトリートも開催予定です。一緒に稲刈りをしましょう!
Profile
いもたろう
イケベジ発起人、育み人。淡路島で「農」を通じて多くの「いのち」に触れる体験から、人も同じようにありのままで生きていくことで豊かになれると思うようになる。2021年春、友人とともに人も自然も共に育む場「イケベジ」をスタート。大学での講演活動や「命の繋がり・巡り」をテーマにした「育ベジRetreat」などありのままで生きる世界を広める活動を続けている。実は料理好きで、マクロビを取り入れた「いも飯」はイケベジの人気コンテンツ。
https://ikevege.com/
TEXT = いもたろう