感覚遮断タンクで心と体を整える方法|効果と注意点を解説
感覚遮断タンクは、感覚を極限まで静めることで、現代人が抱えるストレスや疲労を和らげる新しいリラクゼーション法として注目されています。
科学的な研究によってもその効果が裏付けられつつあり、海外では医療やメンタルケアの現場でも導入が進んでいます。
本記事では、感覚遮断タンクの仕組みや期待できる効果、初めて利用する前に知っておくべきポイントをわかりやすく紹介します。
Contents
感覚遮断タンクとは?脳と神経を休めるしくみ
感覚遮断タンクとは、光や音といった外部刺激を完全に遮断した密閉空間で、無重力に近い状態を体験できるリラクゼーションです。
外界からの情報がほとんど遮断されるため、脳が深いリラクゼーションモードに切り替わります。
近年では、感覚遮断タンクによる「フローテーション・レスト療法(Floatation-REST)」は、自律神経の働きを整える効果があるとされており、心拍や血圧の安定、筋肉の緊張の緩和などに関する報告もあります。
こうした背景から、神経系を穏やかに整えるセルフケアのひとつとして注目されています。
身体への影響と感覚遮断タンクの水の特徴
タンク内の水には、硫酸マグネシウム(エプソムソルト)が高濃度で溶け込んでおり、身体を自然に浮かせるのに十分な浮力が生まれます。
この浮力によって筋肉や関節への負担が減り、全身の緊張がやわらぎやすくなるのが特徴です。
水温は人の皮膚表面とほぼ同じ約34.5℃前後に調整されており、温度の感覚も自然と遮断されます。
その結果、長時間水中にいても寒さや熱さを感じにくく、「水に浮かんでいる」という意識すら薄れていくのが特徴です。
2001年にスウェーデンの研究者シェルグレンらが実施した感覚遮断タンクに関する実験的研究では、体験した人は緊張がゆるみ、呼吸や心拍が落ち着くことが確認されました。
その結果、心と体の両方がリラックスしやすい状態になっていたと報告されています。
感覚遮断タンクがメンタルに与える効果
2018年にアメリカのラウレート脳研究所が行った臨床研究では、不安障害を持つ人が1回のフロートセッションを体験しただけで、状態不安、筋肉の緊張、ネガティブ感情が大きく減少しました。
同時に、リラックス感、幸福感、安心感が大幅に高まったと報告されています。
また、この研究では、セッション後に心拍数と血圧が安定していたことも確認されており、感覚遮断タンクが自律神経の働きを整える一因となっている可能性が示されています。
自律神経が整うことで、感情の落ち着きや集中力の回復にもつながりやすくなります。
閉所が苦手でも大丈夫?安心して使えるタンクの仕組み
感覚遮断タンクは密閉された空間で行うため、「閉所が苦手でも大丈夫?」と不安に感じる方も少なくないでしょう。
多くの施設はタンク内部に余裕があり、圧迫感を感じにくい設計になっています。また、扉は自分で自由に開閉でき、暗さが気になる場合は照明を調整できる施設もあります。
もし、不安がある場合は、事前に施設スタッフに相談することで安心して体験ができるでしょう。
どのくらいで効果を感じられるのか?
感覚遮断タンクの効果は、1回のセッションでも実感できるケースがあります。
2022年にアメリカのラウレート脳研究所による臨床研究では、90分の感覚遮断タンク体験により、血圧や心拍数・呼吸数が低下し、心拍変動が改善されるなど、自律神経がリラックスモードへ切り替わることが確認されました。
最初は緊張して効果がわかりにくいこともありますが、続けていくうちに少しずつ変化を感じられるようになるでしょう。
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感覚遮断タンク体験前に気をつけたいこと
感覚遮断タンクの効果を最大限に引き出すには、事前の準備も大切です。以下のポイントを押さえておくと、より快適にセッションを受けられます。
1. セッション当日のシェービングは避ける
タンク内の水には高濃度のエプソムソルト(硫酸マグネシウム)が含まれており、シェービング後の肌に刺激を与えることがあります。特にカミソリ負けしやすい人は、前日までに済ませておくのがおすすめです。
2. カフェインやアルコールは控える
カフェインやアルコールは神経を刺激し、リラックスしにくくなることがあります。セッション前数時間は摂取を控えましょう。
3. 空腹・満腹は避け、軽めの食事を
空腹すぎると集中力が切れやすく、満腹すぎると不快感を感じることがあります。セッションの1~2時間前に軽食をとるのが理想です。
まとめ|感覚遮断タンクで日常の疲れをリセット
感覚遮断タンクは、外部刺激を遮断して深いリラクゼーションを促すセルフケアとして注目されています。
ストレスの軽減や睡眠の質の向上などが期待でき、研究でも一定の効果が報告されています。
初めてでも安心して利用できる工夫がされており、準備や体調に気をつければ、誰でも快適に体験できます。
継続することで心身の変化を実感しやすくなるため、無理のないペースで取り入れていくと良いでしょう。
注意点
感覚遮断タンクは、リラクゼーションやセルフケアの一環として注目を集めていますが、医療行為や治療を目的としたものではありません。
持病がある方や体調に不安がある場合は、事前に医師へ相談するようにしましょう。
本記事は情報提供を目的としており、特定の健康効果を保証するものではありません。記載された内容は一般的な情報に基づいています。実際の利用にあたっては、各施設の案内や専門家の指導に従ってください。
参考文献
Effects of flotation-REST on muscle tension pain
Exploring the acute cardiovascular effects of Floatation-REST
