もうすぐクリスマスですね。
街ではクリスマスの飾りつけが見られるようになり、一気にクリスマスの魔法が私たちの心を躍らせます。
今年のクリスマスは、自分や家族、親しい友人のためだけのショッピングやプレゼントだけではなく、ギビングバックの視点からこの特別な時間を過ごしてみるのはいかがでしょうか。そのきっかけになればと思い、今回は、アメリカのユニークなクリスマスについて、いくつかご紹介します。
アメリカで人気のクリスマスゲーム『シークレットサンタ』
アメリカでは、クリスマスになると、親しい友人や家族、職場の同僚同士で行うゲームがあります。クリスマスの陽気な雰囲気をいっそう盛り上げるこのゲームは、『シークレットサンタ』といいます。
このゲームでは、参加者がランダムにくじ引きで相手を選び、贈り物を用意します。贈り手の身元は秘密のままで、受け取る人は本当のサンタクロースのように、誰からプレゼントが来るのかわくわくしながら待ちます。
このシークレットサンタは、ただギフトをもらうだけではなく、普段お世話になっている職場の同僚や友人に、思いやりや感謝の気持ちを広げることができる素敵なアクティビティです。アメリカではクリスマスシーズンにあちこちで行われています。
20ドルの奇跡が生んだシークレットサンタ
このように、アメリカのクリスマスを盛り上げる『シークレットサンタ』ですが、本物のシークレットサンタがアメリカにいたことをご存じでしょうか。
彼の本名は、ラリー・スチュワート。アメリカのカンザスシティに住んでいた彼は25年間にわたって、クリスマスになると匿名で現金を配る活動を続けました。その姿から「シークレットサンタ」と呼ばれるようになり、多くの人々に感動を与えました。
彼がサンタになったきっかけは、自身が失業をした時の体験でした。あまりにも空腹だったラリーは食い逃げをするつもりで、レストランに入ります。支払いの時になり、店のオーナーが20ドルを差し出してラリーに言いました。「これ、君が落としましたよね?」そのお金で、ラリーは無事に支払いを終えたのです。
それから数年後、ラリーは2年連続でクリスマスの直前に仕事をクビになってしまいます。そんな寒い冬、ドライブインの屋外レストランで震えながら働いているウェイトレスを見たラリーは自分よりもさらに大変な環境にいる人たちがいることに気づきました。
「寒いのに、そのウェイトレスはジャケットも着ずに働いていたんです。彼女は、かなりの安月給でこんな寒い中で仕事をさせられていたんです」ふびんに思ったラリーは、彼女に20ドル札を渡しました。数年前に、自分を助けてくれたレストランのオーナーの20ドルを思い出して…。
20ドル札を手渡されたとたんに、このウエイトレスの唇が震えました。「私があなたにどれだけ感謝しているか、あなたには想像もつかないでしょう」そういって、彼女は涙を流しながらラリーに感謝をしました。
自分を助けてくれた20ドル、そして、自分も苦しいながらも差し出したこの20ドルが、ここまで人を助ける力になることを実感したラリー。この体験の後すぐに、ラリーは銀行で200ドルを引き出し、近所を車で回り、現金を手渡す相手を探しました。こうやってシークレットサンタが誕生したのです。
その後ラリーは、シークレットサンタとして総額130万ドルもの金額をプレゼントしました。彼の活動は、多くの人々に感動を与え、今もなお語り継がれています。
ラリーの実話は、クリスマスのようなホリデーシーズンの時こそ、困っている人々に手を差し伸べることの大切さを教えてくれます。
あなたも誰かのサンタクロースに
クリスマスは、世界中の人々が家族や友人と過ごす、一年で最も幸せな時期の一つと言えるでしょう。しかし、すべての子どもたちがクリスマスを幸せに過ごせるとは限りません。貧困や生活環境などの理由で、クリスマスプレゼントをもらえない子どももいます。
そんな子どもをサポートするために、近年注目を集めているのが、シークレットサンタになって、ギフトをもらえない子どもたちに匿名で寄付やプレゼントを贈る活動です。
もしあなたが、今年のクリスマスは、例年とは違う何か特別なことをしたいと思っているのなら、シークレットサンタのような活動に参加してみてはいかがでしょうか。あなたの思いやりが、きっと世界の誰かの笑顔につながり、今年のクリスマスをより豊かなものにしてくれるでしょう。
日本からでも、こういった活動に参加することができます。「チャリティサンタ」は、寄付により子どもたちにクリスマスプレゼントを届けたり、困難な状況にある子どもを支援しています。
サンタクロースならNPO法人チャリティーサンタ|TOPページ (charity-santa.com)
ライター:プロフィール
著者:堀江知子(ほりえともこ)|タンザニア在住ライター
民放キー局にて、15年以上にわたりアメリカ文化や社会問題についての取材を行ってきた。
2022年からはタンザニアに移住しフリーランスとして活動している。
noteやTwitterのSNSや日本メディアを通じて、アフリカの情報や見解を独自の視点から発信中。