動物と人間の物語は、いつも読む人の心を温かくします。動物は、忙しい日常に癒しと安らぎをもたらしてくれる存在。
今回は、テキサスの郵便配達員と愛犬の絆が紡いだ、心温まる実話をご紹介します。人生の深い味わいを知るあなたに、きっと響く物語です。
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テキサスの郵便配達員が、亡き飼い主の愛犬を引き取った奇跡のストーリー
「郵便配達員は犬に嫌われる」というアメリカに昔からあるイメージを覆したのは、米国テキサス州デントンという町に住む郵便配達員イアン・バークさんと、一匹の犬フロイドの実話です。
3年前、バークさんが郵便配達をしていたとき、突然元気いっぱいの子犬が後ろから駆け寄ってきました。その犬はジャーマンシェパードとボーダーコリーのミックスで、名前はフロイド。彼の飼い主はベトナム戦争の退役軍人で、車椅子で生活していました。フロイドはその飼い主にとって、単なるペット以上の存在。介助犬としての役割も果たしながら、飼い主の心の支えでもありました。
バークさんは日々の配達の中でフロイドとその飼い主と親しくなり、フロイドにはいつも優しく接しながらおやつを届けていました。フロイドは人懐っこくて、誰にでもとてもフレンドリーに接します。「フロイドはハグするのが大好き。誰にでも愛くるしい姿で友達のように接してくれるんだ」とバークさんは語ります。
“郵便配達員のバークさんは、飼い主を失いシェルターに預けられていた犬フロイドを引き取り、新しい家族として迎え入れた。”
しかし、1年半前にバークさんの配達ルートが変わり、フロイドとその飼い主との連絡は途絶えました。ある日、悲しい知らせが届きました。フロイドの飼い主が亡くなり、フロイドは市内の動物シェルターに預けられていたのです。
バークさんはすぐにシェルターへ向かい、フロイドの保護期間が切れ新しい飼い主の元に引っ越しできる日を待ちました。そして、ついにフロイドは新しい飼い主であるバークさんのもとへ移ることができました。
動物シェルターの職員であるマギーさんは、「郵便配達員と犬は仲が悪いという古い迷信がアメリカにはありますが、フロイドが素敵な家族を見つけることができて本当に安心しました」と語ります。
バークさんはフロイドの新しい飼い主になることをとても誇りに思い、また動物を家族として受け入れることの責任を真剣に受け止めています。バークさんは郵便配達の仕事中も、相変わらず道で出会う犬たちにおやつを持ってきたり、猫たちにエサを与えたりと動物たちに優しい日々を送っています。
この物語は、全米のメディアの注目を集め、多くの人に動物を保護することの大切さを伝えています。
私たちの日常は、時に忙しさややるべきことへのあせりで心に余裕がなくなりがちですが、動物との出会いはそのすきまに優しい光を差し込んでくれます。
郵便配達員と愛犬の物語は、ただの偶然ではなく、互いを必要とする心が引き寄せた奇跡かもしれません。あなたのすぐそばにも、同じように心を温めてくれる存在がいませんか?

ライター:プロフィール

著者:堀江知子(ほりえともこ)|香港在住ライター
民放キー局にて、15年以上にわたりアメリカ文化や社会問題についての取材を行ってきた。
2025年からは香港に移住しフリーランスとして活動している。noteやTwitterのSNSや日本メディアを通じて、アフリカの情報や見解を独自の視点から発信中。
出版書籍:『40代からの人生が楽しくなる タンザニアのすごい思考法 Kindle版』。
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