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2021.11.29 あふれる情熱と夢。レスリー・キーの写真に“未来”を感じる理由

SDGsインタビューエシカル情報

私たちを惹きつける特別な魅力を持つひとは、誰にも真似できない“個性”という輝きを放っています。各界で活躍し続けている彼女や彼に、“自分らしく”にこだわりを持つ生き方についてインタビュー。そのオリジナルなスタイルの秘密を探ります。
ここから2回にわたり、グローバルに活躍する写真家 レスリー・キーさんをフィーチャー。シンガポールから日本にやってきて今年で30年。「撮りたい!」と思った人物、テーマをひたすら追い続け、次々と夢を実現するレスリーさんに、その情熱の源をお伺いしました。


「私たちクリエイターが行動しないと」

レスリー

世界中のセレブリティのポートレートからファッション広告までを手掛ける写真家として活躍する一方で、自身で企画制作する写真集の売り上げを寄付したり、チャリティイベントを主催するなど、長年にわたり社会貢献活動を続けてきたレスリーさん。現在も羽田空港やGAPの店舗、赤坂サカスなどで彼の作品が展示中です。

レスリー

11月末現在、いろいろな場所でレスリーさんの写真が展示されていますよね。TBSの赤坂サカス・Sacas広場にレスリーさんが撮影された子供たちの写真が展示されています(~2022年始めまで開催予定)。TBSの「SDGsウィーク」と連動した「地球を笑顔にするプロジェクト」で、野外展示ということもあり、多くの方の目に触れているのでは。

「昨年、縁があって、児童養護施設の子供たち100人のポートレートを撮影させてもらいました。このSacas広場の展示は、私がスタートさせた『WE ARE THE LOVE』というプロジェクトの一環。このプロジェクトでは現在、養護施設の子供たちにアート教育を行うアートスペースの建設も進めていて、来年11月の完成を目指しています。

国はこれまで、子供たちを保護しても、食事と住む場所と教育をサポートするのに手一杯で、アートを教えるということまでできていなかった。私たちクリエイターが何かしないと、子供たちにアートを感じてもらえるチャンスがないと思って、行動に移しました。斎藤工さんや河瀬直美さん、大黒摩季さんなど、さまざまなアーティストの方にも協力してもらって、アートに触れる機会をつくっています」


PROJECT WE ARE THE LOVE
東京・赤羽台にある養護施設 星美ホームを訪問したレスリー・キー氏が、「子供たちが自由に自分を表現できる機会を作りたい」と考え、2020年11月に誕生したプロジェクト。“生きる力を育む子ども達の未来へ紡ぐアートプロジェクト”として、多様な人々とともに、子供たちが知見を広げ、自分たちの個性を表現する機会を提供。星美ホームの新サローネ内に建設予定の『WE ARE THE LOVE 』アートスペースは、FUJIWALABO主宰の建築家 藤原徹平氏がデザイン。子供たちがいつでもアートに触れられる場所が生まれます(2022年11月完成予定)。


“子供たちにアートを”と考えて、このプロジェクトに至ったのは、レスリーさん自身のバックグラウンドが大きく影響しているそうですね。

「私は、シンガポールの児童養護施設で育ちました。母はシングルマザーでしたが、私が13歳のときに、がんで亡くなったのです。38歳でした。13歳から私がいた施設は日本企業からの援助があり、ずっと日本を身近に感じていました。20歳で日本に来て、今年で約30年。今度は私が日本の恵まれない子供たちのために、本気で何かしたいと思ったのです」

施設で暮らす日々のなかで、ある大きな出会いがレスリーさんを日本へ、そして写真家の道へと導いた・・・これは、写真家になったきっかけを問われた際に、いつも話されているエピソードですよね。

「はい、そうですね。私は19歳まで養護施設に住んで、ソニーのウォークマンを作る工場で働いていました。そこで日本の音楽を耳にして、ユーミン(当時荒井由実、現松任谷由実)が大好きになった。ユーミンを見たい、それだけで日本に来ました。写真家になるとは思っていませんでした。

当時一緒に工場で働いていたおばさんが『ユーミンは自分で歌詞も曲もつくるシンガーソングライターだ』と教えてくれたのです。そこで私は日本語を少しずつ学んで、辞書をひきながら歌詞の意味を調べました。80年代の男性社会のなかで、彼女は女性リーダーとして、日本の経済、社会、歴史、教育、政治、全部を歌っていた。一曲一曲がまるで短編映画みたいだと思いましたよ。

レスリー

日本語学校と写真専門学校に通っていた20~24歳のころ。とにかくたくさんの作品を撮っていた日々。

でも日本語が完璧にわかるわけではないから、やっぱり歌詞には謎が多い。その謎を解きたくて、20歳から22歳まで日本に来て日本語学校でみっちりと勉強しました。23歳からは写真専門学校に通って、文化服装学院の学生などとコラボレーションしながら、ファッションと写真を学びました」

レスリー
「HANEDAダイバーシティ&インクルージョン」では、写真展「WE ARE THE LOVE」が開催中(12/20まで)。名だたるセレブリティのポートレートが並び、圧巻。

「私が撮っているのはそのひとの“時代”なのです」

セレブリティのポートレートをはじめ、レスリーさんの作品は、観る者に強いインパクトを残す個性があって、“これはレスリーの写真だ”とすぐにわかります。写真を始めたときから、今のような作風だったのでしょうか?

「音楽がずっとそばにありましたから、CDやレコードのジャケット写真が私の写真の原点。このひとのジャケットだったらこういう写真がいいだろう、このアーティストが雑誌の表紙になるならこんなふうにしたいーーーそういうイメージ、妄想をずっと若い頃から頭のなかで描いていました。だから私の写真は、カメラの前に立つ人物に思いきり集中したポートレートなのです。

そして、かつてNYに住んでいた時期があるのですが、スタイリストやヘアメイクアーティスト、モデルたちの、ファッションへの鋭い目線が私の写真にスパイスを加えてくれました。

写真を撮るときには、撮影する相手と一緒にどうやっていい時間を過ごすか、ということを基本に考えています。私は、13歳で親を失って19歳まで工場で働いていて・・・その期間はあまり他人と深く話をすることもなく生きていた。でも、カメラがあれば、誰かと一緒に過ごす宝物の時間を記録できることに気がついたのです。だから一人ひとりとの出会い、一緒に過ごせる時間を大事にしたくて」

撮影時間を特別なものにするために、どのように臨んでいるのでしょうか?

「アーティストを撮影するとき、そのひとには、その時期につくっている作品のムードが漂っています。

俳優さんならば、去年はコメディをつくっていたけれど、今は殺人犯の役を演っていたとします。携わっている作品や役柄で、同じひとなのに全然ムードが違う。だから私はいつも、そのひとが今どんな仕事をしているのかを調べて、出演作品を勉強してから撮影に挑みます。そのひとの“そのときのムード”に寄り添いたいから。私が撮っているのは、そのひとの“時代”なのです。“時代”をかたちにして残したいから、撮影する相手の“今”を理解したい。おかげでたくさんの音楽や映画やアートを学ぶことができました」


レスリーさんが来日するきっかけとなった松任谷由実さんは、彼の写真集『SUPER STARS』にこんなコメントを寄せています。

レスリーは神様かもしれない。
レスリーが「撮らせて!」と言った瞬間から、
そのひとはレスリーの友達になっている。
そして安心してレンズの前に立つ。   
〈中略〉
レスリーに作為は全く無い。人間が好きなだけ。
こんな写真集を完成させた
レスリーこそスーパースターかもしれない。 松任谷由実
(写真集前書きより一部抜粋)

人間が好きな彼は、被写体に対していつだって全力投球。だから、撮られる側も全力で応える。そんなコラボレーションが、特別な輝きを放つ作品を生み出しているのです。

レスリー

「未来に残るものをつくる」

ひととのつながりを大事にするレスリーさん。現在なんとLINEの友達登録は上限の5000人を超えているのだとか。『WE ARE THE LOVE』プロジェクトのほかさまざまな企画で、国籍業界問わず多くのひとが「レスリーのためなら」と協力を惜しみません。レスリーさんがつくるネットワークは、どんどん広がっていきますね。

「よく『口説くのが上手いね』と言われますけど(笑)、私自身に力があるわけではないです。写真のおかげで口説けるんですよ。

仕事をしたい相手にまず伝えることは、今から一緒にやろうとしていることの“ビジョン”です。あなたにとって、あなたの会社にとって、“未来に残るもの”をつくりませんか、ということ。そのために、こういうことをやるのはどうか、これが会社の実績になるのではないか。そういう私からの提案も伝えて、だからこの新しいプロジェクトを一緒にやりましょうと話します」

次々と新しい挑戦をされていますが、アイデアや情熱が枯渇することはないのでしようか?

「こんなことをやりたい、あんなこともやりたいと、ずっと考え続けてきたから・・・たくさんありすぎて、やりたいことは尽きません。夢は、なくならないものだからね  」


情熱は伝染する。レスリーさんのあふれる情熱が、たくさんのひとの気持ちを動かし、新しいものを生み出し、その先に今までにない世界が広がっていく。彼の写真は、この時代を生きているひとの記録。彼の作品は、未来に残したいメッセージ。だから私たちは、彼の写真に魅了され、その一枚一枚が語りかけてくる物語に心を奪われてしまうのです。


※インタビューvol.2では、レスリーさんの手掛けるプロジェクトについて伺います。


Profile
レスリー・キー(Leslie Kee)
写真家、映像監督。1971年シンガポール生まれ。ポートレート、ファッション、アート、広告の写真撮影、短編映画やミュージックビデオの監督も務めるほか、数々のプロジェクトを立ち上げ写真展を開催。セレブリティを撮影した『Super Stars』の売り上げをスマトラ沖地震の被災地へ、200人の女性を撮影した『LOVE&HOPE』の売り上げを東日本大震災の被災者へ寄付するほか、数々のチャリティ活動を積極的に行なっている。持続可能な開発目標(SDGs)の推進にも熱心に取り組み、東京の国際連合広報センターとの協業や、国連によるSDGsの広報活動にも関与している。Gapとのコラボレーションでは多様性を推進しSDGsをサポートするオリジナルテーマソング「This is Me ~ Rainbow ~」を監修し、2021年11月に全世界で正式にリリース。
https://signo-tokyo.co.jp/artists/leslie-kee/
Instagram:@lesliekeesuper


PHOTO = 勝吉祐介(PEACE MONKEY)
TEXT = 安井桃子

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