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アン ミカの哲学「自分を愛することは、幸せになる第一歩」

私たちを惹きつける特別な魅力を持つひとは、誰にも負けない“個性”という輝きを放っています。各界で活躍し続けている彼女や彼に、“自分らしく”を大切にする生き方についてインタビュー。そのオリジナルなスタイルの秘密を探ります。前回のインタビューでは、アン ミカさんの幼少期からモデルになるまでの激動の日々を語っていただきました。今回は、コンプレックスだらけだった自分をどうやって愛し、認められるようになったのか、じっくりとを伺います。

mika
シャツワンピース、パンツ/ともににDRAWELL(ドロウェル/ドゥーブルー) ジュエリー/すべてオート ジュエラー・アキオ モリ タンクトップ/スタイリスト私物

失敗を恐れない。そこには学びがあるから

― アンミカさんは「自分を愛する」ことが大事だとよく言われていますね。

「はい。自分を愛することは、幸せになる第一歩だと思っています。自分という存在は愛の結晶だと思いませんか? 人間は他の動物と違って、生まれてしばらくは立ち上がることも自分で食べ物を口に入れることもできません。誰かが時間をかけて、面倒をみてくれたから、今こうして生きている。一人で生きていけない存在だからこそ、存在していることそのものが愛の形だと思うんです。だからそんな自分を、自分で肯定して、愛することが大切だと思っています」

― どうしたら上手に「自分を愛する」ことができるのか・・・改めて考えると、意外と難しいような気がします。

「そうかもしれませんね。幼少期からの積み重ねがとても大事だと感じます。日本の教育から自分を愛する勉強が大切かもしれません。なぜならば、日本の学校では、答えを間違えたら恥ずかしいから手を挙げにくい、間違ったら怒られるーーずっと、そういう感覚で教育を受けてきたからです。失敗することはダメなことだと思い込んでしまっている。そんな積み重ねの影響もあり、私たちは失敗した自分を愛しにくくなっているのかもしれません。海外に出てみてそれをすごく感じましたね。

海外でいくつかの国で過ごさせていただいた際に、私は間違えたら恥ずかしいと思ってしまい、その国の言葉の上達が遅かったのですが、それに比べて相手のひとは失敗を恐れることなく、どんどん日本語を話して上手になり、私よりも話せるようになるのがとても速かったのが印象的でした。

お話を聞くと、積極的に手を挙げた子供は褒められる。もし、答えが間違えていても先生から『よく手を挙げましたね。勇気があります。でも、その答えは違いますよ。はい、他の答えがある人はいますか?』と、もう一度、手を挙げるチャンスを与えてくれるし、答えが違っても手を挙げた勇気を讃えてくれる。だから、どんどんみんなが次にチャレンジをしようという気持ちになれる。そのお話を聞いて、失敗を恐れず自己肯定感を高め、どんどんチャレンジする大切さはこうして育まれているのだと驚きました」

mika

ー  確かに日本人は、失敗したらカッコ悪いから・・・と、消極的になってしまう傾向がありますね。

「失敗を恐れなければ、挑戦できる。失敗しても、学びがある。学ぶことができれば、どんどん上達して次に行けますから。それは言語だけでなくて、すべてにおいて言えることなのだと思います。手を挙げた子供に『よく手を挙げたね、勇気があるね』と褒めてあげること。それは自分を愛する心を育てることにもつながると思うんです。そういう教育に変わっていくといいですよね。

私は親に『失敗とは“敗することを失う”と書く。負けることがなくなり、驕り高ぶったら、それが人生の“失敗”だ』と教わりました。成功者ほどたくさんの失敗をしていると言います。要は人生で転んだと感じたとき、失敗したと感じたとき、そこから立ち上がるときに、何を掴んで発見して学びにし、自分の器を広げる知恵にしていくか、ということだと思うのです」

mika

コンプレックスは、素晴らしい個性

― 自分を愛せない理由に、人と比べてしまう、ということもあると思います

「そうですね。『あのひとよりも自分は鼻が低い』とか『あの人に比べて、私はネガティブなことばかり言ってしまう嫌な性格』などと、わざわざ人と比べて自分のマイナス面にフォーカスしてしまいがちなところがありますよね。

講演会の講師をさせていただく際に、私は『自分を愛するレッスン』をみなさんにお伝えしています。隣に座っている方とペアを組んでいただき、お互いの良いところを3つ挙げ合ってもらうのです。なるべく知らない人同士でペアになってもらい、相手を褒める。ーーそうすると、情報が少ない分、第一印象が優先されることが多くなります。『肌がキレイですね、お洋服ステキですね、おでこの形がいいですね』など。そしてその3つのなかには、かなりの高確率で、言われた側のコンプレックスが含まれているんです。

『広いおでこがコンプレックスでしたが、このひとは褒めてくださった』という喜びの声が多いんですね。つまり、自分ではコンプレックスだと思っていたことが、ひとから見たら素晴らしい個性であることもある。その一つひとつの個性を磨いて輝かしていくことで、コンプレックスを受け入れていく自分であってほしいですね」

mika

―なるほど! コンプレックスは、人それぞれの突出した“特徴”ですね。

「例えば、考えてみてください、すべての芸能人からコンプレックスを消してしまったら、面白みや魅力が消えてしまうと思いませんか?

私は似顔絵を描かれるときはいつも、大きな口と離れた目がデフォルメされて描かれがちですが、それこそがきっと個性なんだと捉えています。だって小さな口のアンミカなんて、アンミカではないですよね(笑)。私が子供のころは、『女性が口を大きく開けて笑うなんて、はしたいない』と言われていた時代ですから、大きな口はずっとコンプレックスでした。けれど先祖から、親からいただいた命と個性を愛していくことが大切な気がして。

見た目だけではなくて、内面的なコンプレックスも『あら、私こんなことでグチっちゃって。お茶目』などと、問題を軽やかに受け流し、面白がれたら素敵だと思います。人生は楽しんだもの勝ち。暗闇を知っているひとこそ、光のありがたさがわかります。今、自分を愛せないというひとこそ、愛する喜びを知ったとき、とてもハッピーな振り幅が待っていると思うんです。一歩を踏み出すだけで、これからの人生がどんどん楽しくなると思いませんか?」

ー アン ミカさんは、落ち込んだとき、自分を愛せなくなりそうなとき、どんなことをされますか?

「まず、自分を甘やかしますね。自分がワクワクするような、五感を刺激するものに囲まれるようにしています。少し時間をつくって、家に好きな花を飾ったり、好きな音楽をゆっくり聴いたり、窓を開けて心地い風に触れて、ただボーッとする時間をつくるようにしています。たまの無気力で自分を解放することも、とても大切だと考えています。
そして、今は天国にいる両親の写真を見て、今生かされていることへ感謝の気持ちを持つようにしています。

そういえば旅も好きで、他の文化、他のルールに触れることで、考えが凝り固まっていたことに気が付くこともありますね。パンデミックで旅にはずっと行くことができずにいましたが、その分、東京のホテルに泊まるステイケーションを楽しんでいました。そういえば東京に住んでいるのに、東京のホテルについて全然知らなかったなと思って。この機会に、海外の方がいらした際におすすめできるホテルをいくつもリストアップできました。

自分の人生とは違うひとの人生を見ることで、自分の置かれた環境を冷静に知るために、たくさんの映画を観るようにもしています。

あとは“プロの手”に身を委ねてリラックスすることで、心も頭もほぐれますね。マッサージとか大好きです。日々ずっと力を入れっぱなしでいるのではなく、たまにはだらーんっと緩むことも、大事ですよね」


自信に満ち、華やかで、ひとを惹きつけてやまない彼女のビッグスマイルは、「自分を愛する」ことの大切さを私たちに教えてくれます。ひとを幸せに、前向きに導くアン ミカさんの哲学。次回は日々地球のためにしていること、自分を高めるために意識していること、その輝きの理由に迫ります。


Profile
アン ミカ
1993年にパリコレ初参加後、モデル業以外でも、テレビ、ラジオ、ドラマや映画、時には歌手として、さまざまな表現分野で活躍。野菜ソムリエ、漢方養生指導士中級、ベジフルビューティーアドバイザー、NARDアロマアドバイザー、化粧品検定一級、ジュエリーコーディネーター3級など20の資格を活かし、服やコスメ、ジュエリーなど商品プロデュースを展開。ポジティブな考え方、幸せな生き方を提唱する講演会も人気で、幸せに関する本も多数出版。今年も自身プロデュース『アンミカのポジティブ手帳2023』を9/29に発売予定。さらに、9月には自身初舞台出演ミュージカル「シンデレラストーリー」も控えている。
http://tencarat-plume.jp/
Instagram @ahnmikaofficial


SHOP LIST
オート ジュエラー・アキオ モリ 03-3573-2516
ドゥーブルー (ドロウェル) 03-3793-2395


PHOTO = 嘉茂雅之
STYLING = 清水恵子
HAIR & MAKE-UP = K.Furumoto (&’s management)
TEXT = 安井桃子

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