最近、朝の支度をしながらニュースを聞くのが日課になっています。世界のトレンドや日本の動きを知っておきたいと思う反面、フジテレビの不祥事やトランプ氏の関税の話題など、心がざわざわするニュースが多く、「この先どうなるんだろう」と不安になることも。
私にも小さな子どもが二人いるので、将来を思うと胸が締めつけられるような気持ちになることもあります。
でも実は、そんな不安に埋もれてしまいそうな今だからこそ、そっと心に灯をともしてくれるような“希望のニュース”が世界にはたくさんあるんです。
ハミングでは、「ポジティブなニュース」をもっともっと届けたいと思っています。
それは、世界がちゃんと良い方向に進んでいる証かもしれないから。
今日は、“戦争の道具”を“平和の音”に変えた、ウクライナの音楽家の物語をご紹介します。
重たいテーマのように思えるかもしれませんが、きっと読んだあとに、やさしい気持ちになれるはずです。
Contents
戦争のミサイルが、「希望の楽器」に変わるまで
この話の主人公は、ウクライナの作曲家ロマン・フリホリウさん。
彼はある日、2022年に自分の国に落ちた未爆発のロシア製ミサイルを目にしました。普通なら「恐怖」や「怒り」の象徴ともいえるそのミサイルに、彼は別の意味を込めたのです。
なんと爆薬を取り除き、チェロのような弦楽器に作り変えてしまったんです。
独特の響きを持つその楽器は、「地獄の矢の声(Hell’s Arrow Voice)」「生まれざる者の歌(Song of the Unborn)」という、戦争の悲しみと再生をテーマにした曲を奏でるために生まれました。
「これは私にとって単なる楽器ではありません。この楽器は、ウクライナの人々が経験した恐怖を象徴しています。この楽器に織り込まれたストーリーと、私たちの苦しみが、この楽器を特別なものしているのです」と彼は語ります。
「痛み」も、「未来への祈り」も、音楽に込めて
この楽器は2024年の秋、イギリスで開かれたチャリティディナーで初めて演奏されました。
その場には、ウクライナからイギリスやアメリカに避難し、勉強を続けている若者たちの支援を願う人たちが集まっていました。
彼の演奏には、キエフのオーケストラ「カメラータ・キエフ」も参加し、会場は静かな感動に包まれたそうです。
「ウクライナの若者たちに教育の機会を与えるため、戦争の遺物を使っています」
「この楽器をいつか博物館に展示して、世界に“ウクライナは強い国で、残酷な歴史を乗り越えた”と伝えたいんです」
フリホリフさんのそんな言葉が、とても印象的です。

Blenheim Palace
子どもたちの未来のために、私たちにできること
この取り組みは、ウクライナの若者たちが将来、国を立て直す力になれるようにという願いから始まっています。
チャリティイベントを支えた「オックスブリッジ財団」の共同代表ヘレン・クラークさんはこう話します。
「今、この瞬間にも苦しんでいるウクライナの人々がいます。でもウクライナはこの紛争を克服するでしょう。私たちは、ウクライナの若者たちが、国の再建のために必要な支援を受けられるようにしたいんです」
戦争という重い現実を前にしても、人は立ち上がることができる。 そして誰かの力になりたいと思う気持ちは、ちゃんと世界に届いている。そんなことを、このニュースは静かに教えてくれると感じます。
小さな希望を見つける目を、私たちは持っている
ニュースに心を痛める日々が続いても、私たちには「いい話に目を向ける力」もあるはずです。そしてそれは、自分や家族、社会を大切に思うやさしい気持ちの表れだと思います。
今回ご紹介したような出来事は、世界が少しずつ良い方向へ進んでいるサインかもしれません。
これからもハミングでは、そんなポジティブなニュースをお届けしていきます。
「世界って、捨てたもんじゃないな」
そんなふうに思える瞬間が、きっと誰かの心を救うと信じて。
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参照記事:https://www.bbc.com/news/articles/ckgmp1n982ko
https://www.positive.news/society/deadly-russian-rocket-is-transformed-into-musical-instrument-of-hope/

ライター:プロフィール

著者:堀江知子(ほりえともこ)|香港在住ライター
民放キー局にて、15年以上にわたりアメリカ文化や社会問題についての取材を行ってきた。
2025年からは香港に移住しフリーランスとして活動している。noteやTwitterのSNSや日本メディアを通じて、アフリカの情報や見解を独自の視点から発信中。
出版書籍:『40代からの人生が楽しくなる タンザニアのすごい思考法 Kindle版』。
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