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オフザマットヨガ「ヤマ・ニヤマ」を 知って自分らしく生きよう(後編)

Written by
桑子 麻衣子(くわこ まいこ)

Photo by Nguyen Thu Hoai on Unsplash

 

今回は、前回の『オフザマットヨガ「ヤマ・ニヤマ」を知って自分らしく生きよう(前編)』でご紹介した『ヤマ』に引き続き、『ニヤマ』についてのお話です。

 

ニヤマは勧戒(かんかい)を表す言葉で、わかりやすく言うと「すべき行い」といったところでしょう。「心地よく生きたい」ということは誰しもが願うこと。心地よさを外側に求めることも多い現代ですが、実は心地よさは自分の中にあるということを、ニヤマを実践することで気づくことができます。

 

今の自分にもっと満足したい、平安な暮らしを送りたい、他人と比べる生き方から卒業したいという方はぜひ参考にしてみてはいかがでしょうか。

 

シャウチャ(清浄)

必要なものなのかそうではないのか、あるいは、食事や生活習慣によって体の内側をきれいにし、心の清浄をしていくことを指します。

 

例えば、イライラしていている時、部屋の中を見回して見て下さい。散らかっていたり、埃がたまっているなんてことも多くないでしょうか。(筆者はよくあります)気持ちが不安定な時には、まずは身の回りの整理整頓や、掃除をしてみると、気持ちがスッキリし、それだけで満たされた気分になることも。

 

食べ物も同じで、ジャンクフードばかり食べていると罪悪感を感じたり、体が重くなったりすることもありますよね。一方で体が喜ぶもの、必要としているものを選択することで体も清浄され、軽やかさや疲れが取り除かれるなんてこともあるかもしれません。

 

サントーシャ(知足)

サントーシャは、満足すること。日本語で言う「足ることを知る」と同義で、今ここにあるもので満足すること、そして目の前で起こっている出来事や人、事実をありのままに受け入れることを指します。人は満足心を知らない限り、ずっと何かを求め続けます。何かを求め続けるということは、心が休まることから遠のくことになります。

 

特に現代では、SNSで他人と比べることも少なくありません。「○○さんは、あれを持っている」「○○さんは、こんな生活をしている」など欲望を掻き立てられることも決して珍しくありません。しかし、まずは自分がすでに充分満たされていることを知り、感謝することが、このシャントーシャの考え方です。

 

「あれが足りない、これも欲しい」を「あれもある、これもある」と言い換えてみるとよいかもしれません。また、1日1回、誰かに感謝する習慣をつけるのも良い行いです。

 

タパス(苦行)

苦痛は、多くの人が避けたいと思うものかもしれません。一方で、ヨガでは苦痛を引き起こす原因や振る舞い、感覚をありのままに受け止めることが勧められています。つまり、人生の様々な困難や問題を受け入れる強さを養うことを指しています。ここでポイントとなるのが我慢や諦めではなく、自分で納得して受け入れること。

 

苦痛の内容によっては時間がかかることもあるかもしれませんが、今あるもの、環境、人間関係は何らかの理由があって、必然的におきていること。例え苦しくても、これを乗り越えたら、きっと今よりももっと強く、更に満たされた自分になれることを忘れないでいましょう。

 

スワディヤーヤ(読誦)

読誦とは、必要なことはすべて、もともと自分の中にあるということ、それに気づくプロセスを指します。つまり、気づきをくれる本を読み、得た知識を実践して、人として成長していきましょうということ。

 

毎日学ぶ姿勢を忘れずにいれば、人は必ず新しい発見や気付きを得ることができます。それが自分自身の成長に繋がり、心地よい暮らしへと導いてくれます。

 

ちなみにヨガでは、色々な本を読むよりも、1冊の本を何度も繰り返し読むことが勧められています。知識量は多い方が良いと言われることも多いですが、心地よく生きていくために必要なことは、量ではなく質ではないでしょうか。1度読んだ本でも、2度目、3度目と回数を重ねていくことで理解が深まりますし、その時々の状況によって響き方も変わってくるのも同じ本を読み続けることの醍醐味です。

 

イシュワラプラニダーナ(神への祈念)

イーシュワラは「宇宙を動かしているもの」、プラニダーナは「自分を明け渡すこと」を意味します。「神様に祈りを捧げて、全てを受け入れること」と言うと分かりやすいかもしれません。

 

自分は一人だけの力で生きているわけではないことを、神への祈りを通して実感し、謙虚な姿勢を忘れないでいましょう。

 

例えば、インドでは呼吸は神様から与えられたギフトとされています。当たり前ですが、呼吸ができなければ、私たちは生きていけませんよね。自分が生かされている、存在していることは、すべて自分だけではなく多くの人や動植物、環境などのおかげ。当たり前のことほど見落としがちになってしまいますが、そういったことに気づかせてくれる、自分なりの神への祈りとなる習慣を身につけると良いでしょう。祈りを習慣にすることが難しい場合は、例えば毎朝呼吸を意識したヨガの練習(太陽礼拝がおすすめ)や呼吸法、呼吸に意識を向けた瞑想などもGoodです。

ライター:プロフィール

文筆家・ヨガ/アーユルヴェーダ研究家

不安症状と向き合うためにヨガやアーユルヴェーダの学びを深めるようになる。

2009年バリ島で全米ヨガアライアンス認定講師資格取得。2021年アーユルヴェーダ講師資格を取得。2013年シンガポール移住。夫と娘の3人家族。


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