リデュースとは?リユース・リサイクルとの違いやそれぞれができることを解説
誰もが聞いたことがあるであろう「地球温暖化問題」ですが、誰もが日々の生活の中で地球温暖化対策ができているかといわれればそうではないでしょう。
地球全体という大きな問題であるのと同時に、私たち一人ひとりが意識を正し、環境のために行動しなければなりません。
今回は私たち個人が環境のために行える行動の一つ「リデュース」についてご紹介します。
具体的にどんな行動をとるべきなのか、また「3R」であるリユースやリサイクルとの違いにも触れていきましょう。
Contents
リデュース(Reduce)とは?
「Reduce(リデュース)」とは、直訳すると「減らす」という意味の単語です。
環境問題においては、ゴミの出る量を減らすといった意味を持ち、私たち一人ひとりが意識しなければならない行動の一つです。
そもそも地球温暖化は様々な要因が重なってできていますが、その内の一つが「ゴミを償却する際に出る温室効果ガス」であるといわれています。
ゴミを正しく分別したり、不要なものを購入しないよう工夫したりといった取り組みに加え、そもそもゴミになるものを持たないといったリデュースの考え方が重要となります。
日本ではほとんどの地域でゴミ袋の購入に別途費用がかかる仕組みとなっているため、ゴミの量を減らすことで、家計の助けにもなるでしょう。
リデュース・リユース・リサイクル(3R)の違いや意味は?
小中学生の頃に教科書で学んだことがあるであろう「3R」。ゴミによる環境問題に関する対策として重要な考え方であり、先ほどご紹介したリデュースに加えリユース・リサイクルが当てはまります。
近年はここに「リフューズ(不要なものをもらわない)」や「リペア(修理しながら長く使う)」といったRを加え、5Rとして考えられることも増えてきました。
今回はこの中から、ゴミ問題の中心となる「3R」に関して詳しく見ていきましょう。
それぞれの違いを知り、生活の中で無意識に実践できるように学んでおくことをおすすめします。
リユース(Reuse)とは?
「Reuse(リユース)」とは、直訳すると「再利用」といった意味の単語です。
使い終わったものをそのままゴミとして出してしまうのではなく、洗ったり形を変えたりして再び使えるように工夫するといった意味を持ちます。
上の子が着た衣類を下の子が使うことも、不要なチラシを折ってゴミ箱して活用することもリユースの一部といえるでしょう。
3Rのうち、最初に取り組むべきだといえるのが「リデュース」、そして次が「リユース」です。
まずは自分の元から出るゴミを減らす努力をし、続けてゴミとして出す前に再度利用できないかを検討しましょう。
ものがものとして使われた後、さらなる使い道を探すことで、今あるものを大切にできるのもメリットといえます。
愛着のあるものはもちろん、普段であればすぐに捨ててしまうようなものを再利用することで、新たな出費を減らせるのもポイントです。
リサイクル(Recycle)とは?
「Recycle(リサイクル)」とは、「再循環」といった意味を持ちます。
ペットボトルや新聞紙などは、リサイクルされて再び製品として生まれ変わることを知っている方も多いのではないでしょうか。
ペットボトルが再びペットボトルとして使われるだけでなく、細かく粉砕した後に文具や衣類に生まれ変わることも多く、リサイクルの可能性は日々広がりを見せています。
リサイクルをする際にもっとも重要なのは、私たち一人ひとりが正しくゴミを分別し、決まったタイミングで捨てることです。
ペットボトルの回収はラベルやキャップを外して中を綺麗に洗い、乾かした状態で回収に出すのがベストです。
そのほかにも、空き瓶を色ごとに分けたり、新聞紙と雑誌を細かく分別したりと、決められたルールをしっかりと守る必要があります。
回収に出した資源ゴミを、実際にリサイクルをするのは業者の方々です。
しかしリサイクルは私たちの生活からスタートしていることを念頭に置き、限られた資源を効率的に利用できるように工夫しましょう。
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リデュースを行うメリット
「リデュースを行うと良い」と頭では分かっていても、実際にどんなメリットがあるのか意識して行動できる方はそれほど多くありません。
リデュースを行うことで環境にどんな影響を与えられるのか、その具体例を知っておきましょう。
エネルギーの使用を抑える
私たちが普段使っているものは、全て作る際にエネルギーを必要としています。
食べ物も、日用品も、娯楽品も全て、何らかのエネルギーを消費することで形づくられているといえるでしょう。
もちろん必要なものを必要なだけ作ることは重要ですが、過剰消費を抑えエネルギーを節約することで、ものづくりの観点からも地球環境へ貢献できます。
また、不要となったものをゴミとして出す際もエネルギーが消費されています。
燃やせるゴミはゴミ自身が燃料となって燃えることで効率的に焼却されていますが、温度が適温に達しないときなどは灯油や都市ガスといった補助燃料が使われています。
リデュースによってゴミが減ることで、こういった補助燃料の消費も減り、限りある資源を大切に使えるでしょう。
二酸化炭素排出を抑える
私たちが出したゴミが、一体どのように処理されているのかご存じでしょうか。
リサイクルされる資源ゴミは各工場でそれぞれの姿へと生まれ変わりますが、燃やせるゴミや燃やせないゴミはそのままゴミとして処理されることとなります。
燃やせるゴミはまとめて焼却され、燃やせないゴミは埋立地へと運ばれ、ものとしての生涯を終えるのです。
燃やして終わりであれば環境に影響を与えることもなく、誰もが好きなようにゴミを出すことでしょう。
しかしゴミを燃やす際には「二酸化炭素」を中心とする温室効果ガスが発生し、地熱が放出されるのを邪魔してしまいます。
結果地表は徐々に温められ、海面上昇や生態系の異常などさまざまなトラブルを引き起こすのです。
つまり、リデュースによってゴミの量が減ると、必要以上に二酸化炭素が増えるのを防ぎ、結果として地球温暖化を食い止める効果が期待できます。
森林を伐採して植物による二酸化炭素の使用が制限されたり、自動車や船などの乗り物から二酸化炭素を含む排気ガスが放出されていたりと、地球温暖化を加速させる要因には様々なものがあります。
とはいえ明日から急に森林伐採や自動車の利用をやめることはできないため、私たち個人でもできる方法を探すことが大切です。
リデュースによってゴミの量を減らすことは、一般人でも取り組みやすい地球温暖化対策といえるでしょう。
省資源化によるコスト削減
ゴミを減らすということは、すなわち「無駄なものを作らずに済む」ということでもあります。
私たちが使い捨ての割り箸やスプーン・フォークなどを使う機会が減ると、生産量が減り、資源を無駄に消費することがなくなります。
割り箸やスプーン・フォークを作るために使っていたコストを抑え、別の製品に回すことも可能となるでしょう。
また、私たち日本人には「おもてなしの心」が備わっているため、どうしても入念な梱包でお客様に安心してもらうよう努力したり、丁寧に書かれた取扱説明書を付けたりといった工夫をする企業が多く見られます。
ここにリデュースの考え方を取り入れることで、梱包は必要最低限になったり、取り扱い説明書が簡素で分かりやすいものになったりと、紙資源に関するコストの削減に繋がるはずです。
ごみ処理費用削減
私たちがゴミを出すときに使うゴミ袋は、製品本体の価格に加え、「ゴミ証紙代」として処理費用が上乗せされています。
各自治体はこの証紙代の中からゴミの処理にかかる費用を捻出し、私たちの出したゴミを適切な形で処理してくれています。
リデュースの考え方を多くの人が取り入れることで、ゴミの量が減り、処理場や自治体の負担軽減に繋がります。
結果としてゴミの処理にかかる費用が減り、私たちが負担する証紙代の軽減を目指せるでしょう。
わたしたちができるリデュースの取り組み
私たち一般人がすぐにでもできる取り組みがリデュースであり、3Rの中でも最初に取り組むべき課題だとされています。
生活の中でリデュースをどのように実現していくべきなのか、それぞれのシーンごとに具体例をご紹介します。
外出時にできるリデュース
外出時に意識したいリデュースは、まず「購入したものを無駄にしない」ことが大切です。
ランチやディナーで出た食事を残さずに食べきったり、目に付いたものを買うときは本当に必要かどうか一度検討したりと、後々ゴミに繋がる行動を減らすよう心掛けましょう。
ランチやディナーの量が多く残してしまいがちな方は、自宅からお弁当を持参するのもおすすめです。
また、外出時に出やすいゴミの例として挙げられるのが、ストローや紙ナプキン・使い捨ておしぼりなどです。
これらはマイストローやハンカチなどを持ち歩くことでゴミとして捨てられることを防げるでしょう。
買い物時にできるリデュース
買い物の際にどんなリデュースができるかというと、まずは普段から使っている日用品を「エコ」を謳った製品に変えてみるのがおすすめです。
詰替え用品などプラスチックを削減できるものや、リサイクル素材からできたもの、綺麗に洗うことで再びリサイクルできるものなど様々な製品が売られています。
こういった製品を積極的に選ぶことで、ゴミとして出るものを減らし、リデュースとしてのメリットが得られるでしょう。
また、近年急激に浸透しつつある「マイバッグ」も効果的です。
レジ袋の利用を極力抑え、何度も再利用できるマイバッグを使うことで、ゴミとして捨てられてしまうプラスチックの削減に繋がります。
気分の上がるようなデザインのエコバッグを一つ持っているだけで、普段のショッピングをさらに楽しめるのではないでしょうか。
自宅でできるリデュース
自宅で出るゴミを極力抑えるには、外出時にできるリデュースの中でもご紹介したように、食事をできるだけ残さず食べるといった取り組みが大切です。
出来上がった料理を完食するだけでなく、野菜を皮ごと使ったり、プラスチックのトレイを洗ってリサイクルに出したりと、1回の料理でも様々な場面でゴミを削減できます。
生ゴミは乾燥させて体積を減らしたり、畑にまいて堆肥として使ったりすることで、さらなるリデュースが期待できます。
加えて、整理整頓を心掛ける際に難しいのが「不用品の選別」です。
リデュースの観点においては、使えそうなものは直しながらなるべく長く使い、ものを大切に扱うことが大切です。
整理整頓を目指す際は「一年間使わないものは処分する」といわれることもありますが、やみくもに捨ててしまうのではなく、最後まで使い道を模索してみるのがおすすめです。
まとめ
私たち一人ひとりが心がけることで初めて意味を持つ「3R」。
その中でもっとも先に行うべきとされる「リデュース」は、今後の環境をより良くするために必要不可欠な考え方です。
意識しなくても生活に取り入れられるよう、具体例を元にリデュースのイメージを膨らませてみてはいかがでしょうか。