森カンナ「もしかしたら、本当の私はもっと・・・?」【連載 / ごきげんなさい vol.02】
俳優 森カンナさんが日々の生活のなかで見つけたこと、感じた想いを綴る連載エッセイ「ごきげんなさい」。自分を“ごきげん”にするためのヒントを探しましょう。
私は驚いた。
10月末、このサイト「Humming」がスタートして届いたURLをポチり。
なんとお洒落なページなんだこと! 文字がぶあぁんと浮き上がってきて、私が書いた文章がなんとおしゃれにみえるのだ!
私はサイト上でおしゃれ雰囲気に包まれているではないか!
もっと洒落た文章を書いた方がいいかもしれない・・・と不安に襲われた。
が、無理はいけない。まず、洒落た文章など書けやしない。そんなセンスを私は持ち合わせてはいない。そもそも洒落た文章とはなんだ!と・・・そんなことを思いながら、めでたく私の連載がスタートしたのであった。
忘れ去られた本質
世の中にはセンスのいい人が存在する。
言葉、ファッション、メイク、料理、人との付き合い方・・・さまざまだ。
人それぞれいろんなセンスを持っていて、それを仕事にしていたり趣味にしていたりする人もいる。
一方で、まだ眠らせたままになっている人もいたりして、一体どれくらいの人が自分の本来持っているセンスに気付いてあげられているのだろうと思ったりする。
まだたったの33年の人生だがこれまでいろんな人と出会ってきて、私なりに思うのは自分の内側の声を聞いて、自分の本質に気付いてそれを実行している人の放っているエネルギーは物凄いと思う。
本来人間って、きっと小さい頃は自分の本質をもっと理解していて、すでに分かっている、知っている、状態なんだけど、生きていくなかでいろんな大人、環境にそれをどんどん潰されて、気付いた頃にはもう自分が何者なのか、自分の好きなことも忘れてしまって、迷子になってしまうんだと思う。
自分が、さも何の才能も持っていない、好きなこともない人間かのように勘違いして、いろんなことを忘れ去ってしまっているんだと思う。
いろんな芽を摘まれてしまった人間の芽をまた息吹かせるのは大変で、再び自分の内側の声を聞けるようになるのは長い長い道のりなのかも知れない。
ファッションやメイクだってそうだ。
本当の自分はこれを着たい。
こんな髪をしたい。
こんなメイクをしたい。
でも私は女だし。僕は男だし。この年齢だし。
似合わないと言われたし。
と、諦めてしまって、一体どのくらいの人間が、自分が本当に着たい服を着て自分のやりたい髪型、メイクをできているのだろう。
特に日本は、本来の自分ではない洋服、髪型をしている人が多いように感じる。
私のファッション事情はというと・・・友人にはよく突っ込まれることが多い。
基本私はTシャツで過ごしたい。
冬でもコートの中はTシャツだったりする。先に店に着いて店内にTシャツでいたりするとびっくりされる。
あと、私はあまりバッグを持ちたくない。
もし私が何かの間違いで洋服を作ることになったら、内側にポッケがたくさん付いた、殺し屋が着るようなコートを作りたい。
あとまぁ、私は基本的に友人で役者の水川あさみのおさがりを着ている。
全身水川コーデの日なんかも全然ある。
と、まぁ私にもイメージというものがあるので、あまり言い過ぎるとアレなので、自分のファッション事情を語るのはこのくらいにしておく。・・・が、そんなあまり洋服にこだわりがない私だが、もしかしたら“本当の私”はもっともっとド派手な服を着たいのかもしれない。
何者かにド派手な洋服を着たい芽を摘まれて、忘れてしまったのかもしれない!!
よし・・・今日の夜は食事会だ。
周囲がザワつくような服を着てやろうじゃないの!!!
Profile
森カンナ(もりかんな)
俳優。富山県出身。映画『地獄の花園』『鳩の撃退法』、TBS『プロミス・シンデレラ』、フジテレビ『ラジエーションハウスII』など、数々の映画やドラマに出演。さらに、自身初舞台となった蓬莱竜太演出『昼下がりの思春期たちは漂う狼のようだ』では、600人のなかからオーディションによって選ばれ、観客を魅了。活躍の幅を広げている。
https://kannamori.com/
Instagram @kanna_mori