Humming♪

未来を見据えたエシカルメニュー!アルマーニ / リストランテの挑戦

「もったいない」が世界で広く知られる言葉となり、フードロスが地球環境に悪影響をもたらしていることは周知の事実。食品の廃棄を減らすための取り組みは、個人、企業を問わず、意識の高まりをみせています。そんななか、昨年注目を集めたのが、アルマーニ / リストランテの「ロスフードメニュ ー」でした。この夏、フードロス食材を救う試みに加え、新たなテーマも掲げた新メニューが登場し、 再び話題をさらっています。


新メニュー「サステナビリティ」とは?

armani

デザイナーのジョルジオ・アルマーニ氏が監修をつとめるイタリアンレストラン、アルマーニ / リストランテ。ミラノ、ドバイ、ニューヨーク、東京の4都市にあり、エリアごとの特色を活かしたこだわりのメニューが展開されています。

東京のアルマーニ / リストランテは、日本の四季折々の旬食材を使用したコース料理が特徴的。世界中の美食家たちから愛されているレストランです。

2021年に、フードロスバンクとタッグを組み、フードロス食材が主役のコースメニュー「ロスフードメニュー」を発表。エグゼクティブシェフを務めるカルミネ・アマランテ氏は、このメニューづくりをきっかけに日本の農業や食材、地球環境に対してより深い関心を持ち、食材を扱う立場としての使命を強く感じたのだそう。

その熱意が形となり、新メニュー「サステナビリティ」の誕生へとつながりました。現代社会が抱えるあらゆる問題に焦点を当てたというスペシャルメニューは、とても興味深い内容になっています。


3つの「サポート」をテーマにした新メニュー

新メニューはその名も「サステナビリティ」。3つの「サポート」をテーマに掲げています。

それは「日本米のサポート」「地方のサポート」、そして「フードロス食材のサポート」。 新メニューには、日本の農業や食材が抱える課題を解決するためのアイデアがたくさん!

テーマ1 : 日本米のサポート

armani

日本人のソウルフード的存在ともいえるお米。しかしながら昨今は、日本人のお米離れが進み、国内での需要や消費量は減る一方・・・。そして残念なことに、多くのロスが生まれています。しかも、お米を食べる人が少なくなったことで米農家が廃業に追い込まれるケースもあるのだとか。

今回の「サステナビリティ」 メニューでまずフィーチャーされたのが、日本米。 イタリアンレストランでリゾットを作る場合、通常は空輸されたイタリア米を使うことがほとんど。そこを日本米で提供するというチャレンジが成されています。リゾットの美味しさの決め手でもあるアルデンテの食感を残すため、シェフ自らフードロスバンク提供の日本米をいくつも試食し、さらにその日本米に適した調理方法を考案したのだそう。

日本米を使用するということは、調達を遠距離空輸に頼らない、つまり短距離のフードマイレージになるということもエシカルポイント。味はもちろん、環境にもやさしい一皿といえます。


テーマ2 : 地方のサポート

armani

最高の食材を求めて日本の全国各地を訪れることをシェフとしてのライフワークとしているアマランテ氏。「地方のサポート」をテーマの一つに選んだところも、彼らしい着眼点です。

今回、食材選びのスポットとして彼が選んだのは、北陸地方。コース内で使用されるメインの食材は、すべて北陸産のものというこだわりぶりです。「サステナビリティ」コースでは、この先も季節ごとに異なるエリアに注目して、日本各地方からの魅力あふれる食材を使ったメニューを完成させていく予定だとか。ぜひシーズン毎に訪れて、四季折々の味わいを楽しんでみたいですね。


テーマ3 : フードロス食材のサポート

armani

能登 にあるNOTO高農園の野菜たち。

味は良いのに、形やキズなど見た目の問題で通常ルートで出荷ができず、廃棄されてしまうーーそんな食材を救うべく、コース内の料理にも可能な限り使用しているそう。

今回のメニューについては、さらに徹底した“ゼロロス”を実現。調達された食材は、野菜の切れ端なども出汁として使用するなど、そのすべてを無駄にしない工夫がなされています。

さて、3つのテーマを知ったところでいよいよ本題! 「サステナビリティ」メニューは全6皿、その内容をみてみましょう。


旬野菜を20種類以上使った「高農園のサラダ」

armani

その日に届いた、美味しい旬野菜を日替わりで取り入れるという贅沢なサラダ。つまりレストランを訪れるたびに、いただける野菜が異なるので、まさに“一期一会”なサラダというわけです。パセリが香る「サルサヴェルデ」ソースでいただきます。

サラダの野菜たちは、伝統野菜も手掛けるNOTO 高農園のもの。化学肥料は使わず、畑に無理のない輪作栽培を採用しているそうです。


フォトジェニックな「スモーク ハマチ」

armani

前菜の一皿は、アートのように美しいこちら。福井県産のハマチに塩をふり、適度に⽔分を抜いてからスモーク。旨味をギュッとを閉じ込めたハマチを、スライスしたラディッシュで巻いて、ポロネギのフリットをトッピングしています。ソースは酸味の効いたセビーチェソース。

過剰漁獲にならず、 サステナブルな漁業を可能にするという“定置網漁”ーーつまり環境にやさしい漁法で⽔揚げされた魚を使用しています。

厳選した新潟産米の「スナップえんどうのリゾット」

armani

生産量日本一の新潟県産米を厳選して配合した「れすきゅう米」を使用したリゾット。お米のロスをサポートします。

野菜の切れ端から丁寧に取った出汁でお米を煮詰め、グリーンピースのピューレ、パルメザンチーズをからめて、繊細かつ濃厚な味わいに。仕上げにオーガニック卵のポーチドエッグをトッピング! ナポリの伝統的なパスタ 、パスタエピゼッリからインスピレーションを得たという、歴史と新しさを一皿で実感できるリゾットです。


香りも一緒に楽しむ「鰆の炭火焼 クレソンソース」

armani

メインは、福井県のプライドフィッシュに選ばれし鰆(さわら)の料理。鰆は炭⽕で焼いた後、さらに藁焼きで⾹りづけされていて、その⾹ばしさは感動もの。鰆の下にはグリーンアスパラのスライスが敷かれ、コントラストの美しさも食欲をそそります。アスパラガスの切れ端部分で取った出汁に、エシャロット、ポロネギ、クレソンを合わせたソースも絶品!


感動のアイスキャンディ「とみつ金時」

armani

福井県の農園 フィールドワークスで収穫されるさつま芋「とみつ金時」を使用したプレドルチ。スティックタイプのアイスキャンディの登場に、テーブルでは思わず歓声が上がりそうです。アイスキャンディは、上部分はとみつ金時のアイスクリーム、下部分はベルガモットのシャーベットと2つの味で構成され、甘さと酸味のバランスが抜群。

味は良いのに、形や大きさに難ありという理由で通常の販売ルートからハジかれてしまったとみつ金時を、ペースト状にして保存していたものが使用されています。


忘れられない味になる「いちご 酒粕」

armani

デザートは、⽯川県のいちご「紅ほっぺ」と福井県産の「⿊⿓」の酒粕という美味しいコラボレーション。外側はフレッシュないちご、内部には、形を理由に出荷できないいちごのピューレをシャーベットにしたものと、酒粕を使⽤したジェラートが隠れています。

酒粕は常温だと数ヵ⽉しか保存が効かないため、⿊⿓酒造ではロスを防ぐために酒粕を蒸留して焼酎をつくるなど有効活⽤に取り組んでいるそう。いちごはマイクロ⽔⼒発電による電⼒を使⽤して地域と共⽣している、いちごファームHakusanのものを使用しています。


一皿ごとに美味しさのサプライズがある、新しいコースメニューは全6皿で¥12,000(税込・サ別)。フードロス食材のレスキューにつながるだけでなく、その味わいから食材一つひとつのパワーを感じることができます。そして、日本にこんなにも豊かな食材があることにも感動するはず。「サステナビリティ」な料理を通じて、たくさんの発見と学びを得られる素晴らしい食時間を、ぜひ体験してください。

※メニュー「サステナビリティ」は8月末まで提供予定です。


アルマーニ / リストランテ
東京都中央区銀座5-5-4 アルマーニ / 銀座タワー 10階&11階
03-6274-7005
https://www.armani.com/ja-jp/experience/armani-restaurant/


TEXT = 山下優子

関連記事