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「寄付」と「寄附」の違いは何?「寄贈」との違いや使われる場面を解説

 

「社会をより良くしたい」「暮らしやすい街をつくりたい」「子どもたちに質の高い教育を受けさせたい」

 

これらを実現するためにはさまざまな方法がありますが、そのうちのひとつに寄付があります。

 

しかし、ニュースや新聞、行政機関からの文書などを見ると、「寄付」と「寄附」と異なる表記が用いられていることがあります。

 

これらの違いは何なのか、また混同しやすい言葉との違いもご紹介しましょう。

 

「寄付」と「寄附」の違いは?

 

公的機関や社会的意義のある事業などに対し、金銭やモノを提供する行為を寄付とよびます。

 

社会貢献の一環として寄付を行う個人や企業も多いです。

 

特に自然災害の多い日本では地震や台風などが起こるたびに、多くの人・企業から寄付が寄せられることが少なくありません。

 

それほど寄付という言葉は広く社会に浸透していますが、表記の仕方として「寄付」以外にも「寄附」というものもあり、どちらが正しいのか戸惑ってしまうこともあります。

 

結論からいえば「寄付」と「寄附」は同じ意味を指す言葉であり、どちらの漢字を使用したとしても間違いではありません。

 

ただし、両者は使用される場面が異なり、一般的にはシーンに応じて使い分けられています

 

「寄付」を使うべき場面と「寄附」を使うべき場面とは

 

では、「寄付」と「寄附」はどのような場面に応じて使い分けられているのでしょうか。

 

一言でいえば、公的な書面や法令に関する文言に用いるかどうか、という点です。

 

たとえば、国や自治体が発行する文書、確定申告などで提出する税務関係の書類などには「寄附」が用いられます。

 

たとえば、身近な事例として「ふるさと納税」を活用し自治体に寄付を行った場合です。

 

「ふるさと納税」で、所得税や住民税などの控除を受けることができますが、その金額は確定申告書の「寄附金控除」という欄に記載します。

 

また、政治団体や政党への献金のルールを定めた政治資金規正法においても「寄附」という表記がなされています。

 

大学や研究機関などが国・自治体などから受領したお金についても「寄附金」としてその内訳や金額が報告されています。

 

このように、公的な文書や法令に関する書類として記載する際には「寄附」を用いるのが一般的です。

 

一方、たとえばテレビのニュース番組や新聞、雑誌などのように一般的な場では「寄付」が用いられます

 

そのため、私たちが日常生活のなかで目にするのは「寄附」よりも「寄付」のほうが多いのです。

 

「寄贈」との違いは何?

 

寄付と似た言葉に「寄贈」があります。

 

一度は目にしたことがあるものの、日常生活ではあまり使うことがないため明確な違いがよく分からないという方も多いのではないでしょうか。

 

両者が決定的に異なるのは、贈る”もの”が違うという点です。

 

冒頭でもご紹介した通り、寄付は社会貢献の一環として公共性の高い団体や事業に対し、金銭やモノを贈る行為を指します。

 

これに対し、寄贈はモノを贈る行為を指し、金銭は含まれません

 

たとえば、子どもたちの教育に役立ててもらうために学校へ金銭を提供した場合、寄贈ではなく寄付と表現されます。

 

一方、金銭ではなく学習教材や書籍、タブレット端末などの現物・物品として提供した場合には、寄贈または寄付と表現されます。

 

  寄付 寄贈
金銭を贈る ×
物品を贈る

 

 

「寄付金」「義援金」「支援金」の違い

 

阪神淡路大震災や東日本大震災など、大きな災害が起こった際には復興を支援するために多くの寄付が寄せられることが少なくありません。

 

このような善意のお金は「寄付金」とよばれることもあれば「義援金」や「支援金」と表現されることもありますが、それぞれどういった違いがあるのでしょうか。

 

義援金とは

義援金とは、被災地および被災者に対して直接渡される金銭のことを指します。

 

個人や企業が直接被災者に手渡すとなると手間がかかり現実的ではありません。

 

そのため、日本赤十字社や政府など公的機関がお金を集めた後、被災状況や被災者の数などに応じて分配する仕組みとなっています。

 

義援金は集められたお金がすべて被災地に届けられるという意味では大変意義のある支援方法といえます。

 

しかし、個別に公平に分配しなければならないことから手元に届くまでには時間を要するという問題もあります。

 

支援金とは

支援金とは、被災地での救援活動や支援活動を行うNPOやNGOといった団体に渡す金銭のことを指します。

 

復興を支援するという大きな目的は義援金と共通していますが、支援金はあくまでも各種団体の活動を支援するためのお金です。

 

そのため、必ずしも義援金のように直接的に被災地支援に使われるとは限りません。

 

また、支援金を集めている団体のなかには、どういった活動にいくらを使ったのか正確に情報を公開していないところも存在します

 

寄付金とは

寄付金とは、上記で紹介した義援金や支援金を含む広い意味を指す言葉です。

 

冒頭でもご紹介した通り、社会貢献に役立てるために贈るお金であれば寄付金とよばれ、義援金や支援金などのように災害からの復興に限定されるものではありません。

 

そのため、たとえば政治団体や政党へ提供するお金や、ふるさと納税も寄付金にあたります。

 

まとめ

今回ご紹介してきたように、「寄付」と「寄附」は基本的に同じ意味を指す言葉です。

 

ただし、一般的には「寄付」と表記されることが多い一方で、法律や行政など公的な文書および場面では「寄附」と表記されることが多く、シーンに応じて使い分けられています。

 

私たちが日常生活で使用する分には、基本的にどちらを使っても間違いではありません。

 

また、寄付と似た意味をもつ言葉も多く混同することも多いため、今回ご紹介した内容を十分に理解し正しく使い分けるよう心がけましょう。


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