アロマンティックとは?特徴やアセクシャルとの違いを解説
近年は男性・女性だけでなく、自身がそのどちらにも当てはまらないとする「性的マイノリティ」への理解が深まりつつあります。
とはいえ性的マイノリティはその特徴ごとに様々な種類に分けられており、一気にそのすべてを理解しようとするのは難しいでしょう。
まずは身近に感じやすい種類から言葉の意味を調べ、どのような方がいて、どのような悩みがあるのか学ぶことが大切です。
今回は数ある性的マイノリティの中から、日本に未だ浸透していないとされる「アロマンティック」についてご紹介します。
混同されやすいアセクシャルとの違いや、自身がアロマンティックであることはどう判断すべきなのかといった点にも触れていきましょう。
Contents
アロマンティックとは?
アロマンティックとは、端的にいえば「他人に恋愛感情を抱かない」人のことを指します。
恋愛感情を抱かないからといって周りに興味がないかといえばそうではなく、他の方々と同じように友人と楽しく過ごしたり、家族を大切にしたりといった愛情はあります。
あくまでも恋愛的な「好き」を感じないだけであって、「冷たい人だ」と誤解しないよう注意が必要です。
アロマンティックの方々は恋愛感情がどのようなものなのか分からなかったり、恋愛感情に嫌悪感を抱いたりする場合があります。
恋愛映画を見たがらなかったり、恋愛的な相談に乗るのを嫌がったりする方もいるため、無理に押し付けるのはやめましょう。
アロマンティックであると自認していなくても、恋愛関係の話が苦手な方もいるため、こういった相談をする相手はしっかりと見極めることが大切です。
また、恋愛ができない理由の中には、やむを得ないものもあるでしょう。
例えば「統一教会」や「エホバの証人」といった宗教団体は、一部で恋愛を禁止しています。
こういった理由があって恋愛をしないことを選んでいる場合は、アロマンティックには当てはまりません。
アロマンティックの特徴
アロマンティックの概要が分かったところで、実際の特徴について詳しくご紹介します。
まずはアロマンティックの方々について正しいイメージを持つために、その他の性的マイノリティとどう異なるのか見ていきましょう。
恋愛感情を抱かない
アロマンティックは周りに恋愛感情を抱かないため、その類の経験がほとんどない場合が多く、恋愛話に積極的な姿勢を見せません。
とはいえ恋愛感情を抱かないだけであり、性的欲求の有無は限定されません。
アロマンティックでありながら性的欲求もない場合は、性的欲求を抱かない「アセクシャル」と重ね合わせ、「アロマンティック・アセクシャル」などと呼ばれます。
恋愛作品や恋愛の話題に共感できない
アロマンティックは自身の判断で恋愛を行わない方々であるため、他人の恋愛を見たり聞いたりするのが苦手な方が多いといえます。
アロマンティックを公表している方に無理やり恋愛話を持ち掛けたり、「恋愛経験がないの?」と過去を探るような話題をしたりするのはやめましょう。
もちろん中には他人の恋愛話くらいなら聞ける、といったアロマンティックの方もいるため、その人に合わせた対応をすることが大切です。
社会的なプレッシャーを感じがち
アロマンティックは他人と恋愛関係に発展するのを避ける傾向にあるため、生涯結婚をせずに過ごしたいと願う方も少なくありません。
しかしこの場合、理解の及ばない周囲の人々によって、「もう〇歳なんだから結婚すべきだ」と言われてしまうことがあります。
女性であれば、早く子を産むべきだと批判されることもあるでしょう。
また、結婚適齢期を過ぎても結婚をしていないことで、何らかの問題があるのではないかと偏見の目で見られてしまう場合もあります。
自分の意思で結婚をしていないのだ、といっても信じてもらえず、周囲の人間に対し不信感を持ってしまう方もいます。
恋愛感情を抱かないだけで他の感情は持ち合わせている
アロマンティックだからといって、周りの人に興味がないとは限りません。
私たちが恋愛的に好きではない方でも話したり遊んだりできるように、アロマンティックの方にも家族や友人がおり、同じように娯楽を楽しんでいます。
自分以外の他者と親しくなるために必ずしも恋愛感情が必要とは限らないため、「1人が好きな人」「周りに関心のない冷たい人」といった誤解を抱かないよう正しく理解することが大切です。
また、先程もご紹介したように、アロマンティックの中には性欲のみ持っている方もいます。
相手の了承を得て性行為のみをするパートナーになってもらうなど、工夫しながら自身の性欲と付き合っている方もいます。
アロマンティックとアセクシャルの違いは?
アロマンティックと似たような意味を持つ言葉として「アセクシャル」があります。
両者には似ていながらも明確な違いがあるため、それぞれの特徴をしっかりと学んでおきましょう。
アロマンティックとは、すなわち「恋愛感情がない」人のこと。そしてアセクシャルとは、「恋愛感情も性的欲求もない」人を指します。
両者は似ているようで異なっており、恋愛感情がなくても性的欲求はある方、そのいずれもない方、性行為がなくても恋愛関係だけはある方など様々な性的マイノリティがあることを覚えておきましょう。
- アロマンティック:恋愛感情がない
- ノンセクシャル:性的欲求がない
- アセクシャル:恋愛感情・性的欲求の両方がない
→ロマンティック・アセクシャル:恋愛感情はあるが性的欲求がない
→アロマンティック・アセクシャル:恋愛感情と性的欲求の両方がない
- リスロマンティック:恋愛感情はあるが相手から恋愛感情を持たれたくない
- バイロマンティック:男性・女性のいずれに対しても恋愛感情を抱く
- クワロマンティック:恋愛感情と友情の違いが分からない
- パンロマンティック:性別(この場合は性的マイノリティも含む)に関わらず恋愛感情を抱く
アロマンティック診断をしてみよう
自身がアロマンティックであるかどうかは、他人に診断してもらうものではありません。
しかし何らかの目安があって初めて、自分の状態がアロマンティックであると実感できる方もいるでしょう。
続いては自身の状態を正しく把握するために、参考となるアロマンティック診断をご紹介します。
以下の中で当てはまる項目が多ければ多いほど、アロマンティックの要素が強いといえるでしょう。
- 異性に興味がない
- 他の人と同じように遊んだり話したりはできるがスキンシップが極端に苦手である
- 恋愛ドラマや恋愛映画のストーリーに共感できない
- これまでに恋愛的な意味で人を好きになったことがない
- 恋人になっても何をすれば良いか分からない
- 異性を自分だけのものにしたいという欲求がない
アロマンティックの人はモテる?
アロマンティックの方は、時折「モテる」と思われることがあります。アロマンティックとモテることがどうつながるのか、その理由を見てみましょう。
アロマンティックの方の中には、幼い頃から異性にモテることが多く、恋愛関係がこりごりだと感じてしまう方がいます。
モテるが故に同性から疎ましく思われたり、複数の異性とトラブルに発展してしまったりした経験があると、自分から積極的に恋愛するのを避けるようになるでしょう。
こういった場合、自分のことを好きだと言ってくれる人よりも、「興味がない」「友達としか思えない」といった人を選んで一緒にいるようになります。
また、男性の場合は特に、恋愛に対してガツガツしていない様子が異性にモテるといった風潮があります。
本人は恋愛に興味がなく、異性に対しガツガツとしていない様子が、逆に周りから見れば魅力的に映ってしまうのです。
こういった結果、アロマンティックであることでむしろ周囲から注目されやすくなり、恋愛関係に発展する可能性が高まるばあいがあります。
いずれにしても望まない関係はしっかりと断り、自分の気持ちを大切にすると良いでしょう。
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まとめ
未だ日本国内に浸透したとはいえないアロマンティックやアセクシャルの考え方。
公表している人はまだまだ少ないため、実は身の回りにもアロマンティックを自認している方がいるかもしれません。
今後さらに彼らのような性的マイノリティが生活しやすくなるために、今のうちから正しい理解を心掛けていきましょう。